エッセイおすすめ15選【日常が変わる言葉に出会える】暮らしが整う、やさしい本まとめ
エッセイって、読んだ瞬間に人生が変わるわけじゃない。
でも、うまく言えなかった気持ちに言葉が当たったとき、ひとりじゃない感じがします。
SNSで流れてきた「刺さった一文」をきっかけに読み始めて、気づいたら生活の呼吸が少し整っていた。 エッセイには、そういう効き方があるんですよね。
- 頑張りすぎて空回りしてる
- 人間関係がちょっとしんどい
- 何がつらいのか自分でも説明できない
そんな日に、重すぎない温度で寄り添ってくれる本を15冊まとめます。
忙しい人は、まず「1冊目に迷ったら」からどうぞ。
※「SNSで話題になった本」寄りで探したい人は、こちらも参考にしてください。
1冊目に迷ったら:『あやうく一生懸命生きるところだった』
「ちゃんとしなきゃ」に疲れたとき、いちばん効きやすい1冊だと思います。
エッセイおすすめ15選【20代女性が共感した作品】
1. 『あやうく一生懸命生きるところだった』ハ・ワン
この本の核心は、「努力しない」の推奨ではなく、「自分をすり減らす努力をやめる」という線引きです。著者は、社会の速度に合わせるほど苦しくなる感覚を、等身大の語りでほどいていきます。読んでいると、成功の条件より先に「自分にとって健全なペースは何か」を考えたくなります。
心理学でいう自己への思いやり(セルフ・コンパッション)は、失敗時の回復力を上げるとされます。この本が効くのは、まさにそこです。自分を責める言葉を減らし、再起動できる言葉を増やす。SNS比較で削られやすい時代に、認知の土台を整える読書になります。
読み終えたら、まず「やらないこと」を1つ決めるのがおすすめです。次に、1日の終わりに「今日はここまでで十分」を1行書く。実践が小さいほど続くので、この本は“読後のやさしい習慣化”までセットで使うと効果が高いです。
2. 『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』クルベウ
本書は、しんどさを「気合い不足」で処理しないための言葉集です。感情を大きく語るのではなく、静かで短い文章で「それ、わかる」を積み重ねていく構成なので、疲れている日でも読み進めやすいです。無理に元気にならせない距離感がとても誠実です。
感情研究では、気持ちを正確に言語化するほどストレス反応が下がりやすいと言われます。これは感情ラベリングの効果として知られる考え方で、本書はそれを読書体験として実行させてくれます。「つらい」をもう少し細かく分けるだけで、対処の選択肢が増えます。
実践としては、夜に「大丈夫じゃないこと」を3行だけ書く方法が使いやすいです。解決策は書かなくて大丈夫。まず状態を認識する。そのあと1つだけ、自分を楽にする行動を選ぶ。この順番で読むと、本の価値が日常に残ります。
3. 『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった +かきたし』岸田奈美
この本は、家族のしんどさを正面から書きながら、読者を暗さに置き去りにしません。現実は軽くないのに、文章はユーモアを失わない。そのバランスによって、「大変なことを大変と言いながら生きる」感覚を教えてくれます。家族を理想化しないからこそ、読後の信頼感が高いです。
レジリエンス研究でも、苦しい出来事を語り直す力は回復と関連するとされます。とくにユーモアは、問題を消すのではなく、向き合う距離を調整する手段になります。本書の笑いは現実逃避ではなく、感情の圧を下げるための技術として機能しています。
読み終えたら、自分の生活で「困ったけど笑えた場面」を1つ書き出してみてください。次に「その時、誰が助けになったか」を言語化する。家族観を“正解”でなく“関係の編集”として捉え直せるようになります。
4. 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ
本書は、イギリスの学校生活を通して、階級、人種、ジェンダー、貧困といった社会問題を「生活の言葉」で見せてくれます。難解な理論より、日々の出来事として語られるので、読者は自分の感覚で考えられます。読みどころは、親子の対話が思考の足場になっている点です。
社会心理学の観点では、人は「自分の属する集団の常識」を普遍だと思いやすい傾向があります。本書はその自動運転を止め、「普通」を疑う訓練になります。相手の背景を想像することは、共感力だけでなく判断力を上げる行為でもあります。
実践として、日常で「なんでこれが普通なんだろう?」と思った場面をメモするのがおすすめです。1週間分たまると、自分の前提が見えてきます。読むだけで終わらせず、視点の更新に使うと価値が大きい一冊です。
5. 『そして生活はつづく』星野源
この本の魅力は、生活の失敗や不器用さを“ネタ”ではなく“人間の通常運転”として描くところです。うまくやれない日を否定せず、「それでも生活は続く」というタイトル通りの温度で読者を支えます。完璧主義で息切れしている人ほど刺さります。
メンタルヘルス領域で言われる行動活性化の考え方では、気分が整ってから動くより、小さく動くことで気分を回復させる方が有効な場合があります。本書はまさにその実感版です。大きな正解より、日々の小さな継続に意味を戻してくれます。
読み終えたら、毎日「今日のしょぼい成功」を1つ記録してみてください。洗濯できた、返信できた、早く寝た、で十分。生活を立て直す力は、派手な改革ではなく、地味な再開で育つと実感できます。
6. 『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』阿佐ヶ谷姉妹
本書は、劇的な事件がなくても暮らしは十分に面白いことを証明してくれるエッセイです。近所づきあい、家の中の役割、ちょっとしたすれ違いと和解。どこにでもある生活を丁寧に拾い上げることで、「平凡=退屈」という思い込みを崩してくれます。
幸福研究では、強い刺激より“安定した関係性”や“日常の儀式”が主観的幸福感に寄与しやすいと言われます。本書はまさに、儀式の力を体感できる本です。派手さはなくても、繰り返しの中に安心が育つことが伝わってきます。
実践として、家族や同居人、身近な人と「週1回の小さな定番」を作るのがおすすめです。一緒にお茶を飲む、散歩する、同じ番組を見るだけでもいい。関係は特別なイベントより、反復で強くなると実感できます。
7. 『もものかんづめ』さくらももこ
『もものかんづめ』は、日常の小さな違和感を笑いに変換する天才的な一冊です。子ども時代の記憶、大人になってからの失敗、家族とのやりとり。どのエピソードも「こんなことある?」というズレがあり、それが読者の記憶に残ります。笑えるだけで終わらない余韻が強いです。
ユーモア研究で言われる「認知の再評価」に近く、出来事の見方をずらすことでストレスの圧が下がります。本書の文章は、問題そのものを消すのではなく、問題との距離を調整してくれます。だから疲れている時にも読みやすく、再読性が高いです。
読み方のコツは、笑った場面に印をつけることです。あとで見返すと、自分がどんな時に楽になれるかが分かります。さらに、嫌な出来事に短いタイトルをつけると、気持ちが少し客観化されて扱いやすくなります。
8. 『さるのこしかけ』さくらももこ
この本は、身の回りの些細なことを“その人にしか見えない角度”で切り取る力が際立っています。大事件は起きないのに、読み終えると世界の見え方が少しズレる。さくらももこ作品の中でも、観察と脱力のバランスが特に心地よい一冊です。
認知心理学には、見慣れた対象を新しい視点で捉え直すと注意資源が回復しやすい、という考え方があります。本書の効き方はこれに近く、頭のこわばりをゆるめる“軽い再起動”として機能します。忙しい時ほど、この視点転換は有効です。
実践として、1日1回「今日気になった変なもの」をメモしてみてください。内容はなんでもOKです。観察の習慣がつくと、同じ日常でも受け取り方が変わり、気分の硬直を防げます。
9. 『たいのおかしら』さくらももこ
『たいのおかしら』は、短編の密度が高く、すきま時間でも読書満足度を得やすいエッセイです。テンポの良い文章で一気に笑わせたあと、少しだけ哀愁を残す構成が上手く、読後に不思議な余白が生まれます。短いのに「読んだ感」が強いのが特徴です。
短時間で気分を切り替えるには、認知負荷が重すぎないコンテンツが向いています。本書はまさに、注意を奪いすぎず、でも気持ちは動かしてくれる絶妙な負荷です。メンタルが落ちている日に長編が読めない時の“回復用読書”として優秀です。
おすすめは「3ページだけ読む」をルール化することです。ハードルを下げると読書再開がしやすくなります。3ページで終えてもOK、乗ってきたら続ける。生活に読書を戻す起点として使いやすい一冊です。
10. 『そういうふうにできている』さくらももこ
本書は、身体の変化や不安を、過剰に深刻化せず、かといって軽視もしないバランスで語ります。体調やライフイベントにまつわる揺れを、笑いと観察で描くことで、「不安を抱えたままでも生活は進められる」と感じさせてくれます。読後に安心感が残るタイプです。
健康心理学では、身体感覚への過度な不安は症状のつらさを増幅させることがあります。本書のように、体験を言語化して距離を取ることは、不確実性への耐性を高める手助けになります。怖がらず、無視せず、扱える形にする。この姿勢が実用的です。
読むときは「自分の体調メモ」を並行してつけると効果的です。気になる症状、安心できた行動、休めた時間を短く記録する。それだけで、体調の波に振り回されにくくなります。
11. 『すべて忘れてしまうから』燃え殻
この本は、大きな出来事ではなく、ふとした記憶の断片を集めて「生きてきた時間の手触り」を見せてくれます。都会の孤独、仕事の帰り道、誰かと過ごした夜の気配。派手さはないのに、読みながら自分の記憶が連鎖して立ち上がるのが魅力です。
記憶研究では、過去を言語化する行為は自己連続性の感覚を強めるとされます。つまり、「私は何者か」が揺れている時ほど、記憶の整理は効きます。本書は、読者に思い出す余白を渡す構造なので、読書そのものが内省の時間になります。
夜に読むなら、1篇読んだあとに「今日の一場面」を1行だけ書くのがおすすめです。写真を1枚添えると、記憶がより具体になります。自分の生活を“取りこぼさない”ための読書として使えます。
12. 『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』益田ミリ
この本は、「ひとり旅はハードルが高い」という先入観をゆるく崩してくれます。著者の視点は大げさな冒険ではなく、移動、食事、宿、ちょっとした失敗といった現実的な旅の連続です。だから、読者は「これなら自分にもできそう」と具体的に想像できます。
行動科学でいう自己効力感は、“できた経験”だけでなく“できそうだと思えるモデル”からも高まります。本書はそのモデルとして非常に優秀です。旅を特別な能力の話にせず、準備と選択の話に落とし込むので、実行までの心理的距離が短くなります。
まずは「半日ひとり外出」から始めると再現しやすいです。行き先を1つ、食べたいものを1つ、帰る時間を1つ決める。この小さい旅設計ができるようになると、週末の回復力がぐっと上がります。
13. 『ガンジス河でバタフライ』たかのてるこ
本書は、勢いと行動力で世界に飛び込むエネルギーが圧倒的です。うまくいかない場面も多いのに、著者は失敗を“物語の材料”に変えながら前に進みます。読者側も、完璧な準備がなくても一歩踏み出せる感覚をもらえます。
不安への対処として知られる曝露の考え方では、怖さをゼロにしてから動くのではなく、低い負荷で経験を積むことが有効です。本書はその実践版に近く、「やってみたら案外なんとかなる」を体感として示してくれます。行動の初速を上げたい時に強い一冊です。
読後は「小さな無茶リスト」を3つ作るのがおすすめです。初めての店に入る、知らない駅で降りる、話したことのない人に声をかける。安全を確保したうえで小さく挑戦すると、日常の閉塞感が破れやすくなります。
14. 『旅ごはん』小川糸
『旅ごはん』は、場所の記憶を食の描写で立ち上げるのが抜群にうまい本です。料理の味だけでなく、光、空気、会話まで含めて描かれるので、読者は“旅先の時間”をまるごと追体験できます。旅エッセイでありながら、暮らしの感度を上げる本でもあります。
ポジティブ心理学で重視されるサヴァリング(良い体験を味わい直す力)は、幸福感の維持に関わると言われます。本書を読むと、食べる行為が単なる栄養補給ではなく、記憶と感情を結ぶ行為だと分かります。日常の食卓を丁寧に扱いたくなるのがこの本の効き方です。
実践として、週1回だけ「ながら食べしない食事」を作るのがおすすめです。5分でいいので、香り・食感・温度を言葉にしてみる。食事の解像度が上がると、忙しい日々でも回復できる瞬間が増えます。
15. 『深夜特急1 ー 香港・マカオ〈文字拡大増補新版〉』沢木耕太郎
この本の核は、目的地より「移動の途中」に価値を置く視点です。計画通りに進む旅ではなく、偶然や不確実性にさらされながら進む旅路が描かれます。読んでいると、日常で固まりがちな時間感覚がほどけて、「別の生き方のテンポ」が見えてきます。
探索行動の研究では、新しい環境に触れることが思考の柔軟性や主体感に影響すると言われます。『深夜特急』が長く読まれるのは、単なる旅情だけでなく、読者の内側にある「まだ見ていない場所へ動きたい感覚」を刺激するからです。閉塞感が強い時ほど効きます。
日常で活かすなら、月1回の“ミニ未踏ルート”を作るのが実践的です。いつもと違う道で帰る、未訪問の街で半日過ごす、予定を詰めない時間を確保する。小さな未知を入れるだけで、生活の停滞感はかなり変わります。
エッセイを選ぶコツ(迷ったらここ)
1) いま欲しいのが「共感」か「気分転換」かを決める
- 共感がほしい:韓国エッセイ、家族の話
- 気分転換がほしい:旅エッセイ、笑える文章
2) 文章の温度感が合う作家を1人見つける
合う作家が見つかると、次に読む本が選びやすくなります。
まとめ:疲れた日は、言葉で呼吸を整える
エッセイは、気持ちを解決してくれるというより、気持ちを「置ける場所」を作ってくれる本だと思います。
まずは『あやうく一生懸命生きるところだった』から。きっと読みやすいはずです。














