ミステリー小説おすすめ7選!徹夜必至の新本格から海外ミステリーまで2025年決定版
気づいたら朝4時、ミステリー小説の魔力
「次のページだけ読んでから寝よう」。そう思ってページをめくった結果、気づいたら窓の外が明るくなっていた——。ミステリー小説を読む人なら、誰もが経験したことがあるはずです。
実は私も先日、久しぶりに徹夜してしまいました。読んでいたのは夕木春央さんの『十戒』。絶海の孤島で繰り広げられる特殊設定のミステリーに引き込まれ、翌日のカフェ取材で目の下にクマを作ることになり、インタビュー相手に心配されてしまいました。でも、あの結末を読んだときの衝撃は、寝不足なんて吹き飛ぶほどでしたね。
今回は、そんな「徹夜必至」の面白さを持つミステリー小説を7冊厳選しました。新本格ミステリーから海外ミステリーまで、初心者の方でも楽しめる読みやすい作品から、ミステリー好きを唸らせる本格派まで幅広くご紹介します。
ミステリー小説初心者にもおすすめの2作品
まずは、ミステリーをあまり読んだことがない方や、久しぶりに読書を楽しみたい方におすすめの作品から。どちらも読みやすさと驚きを両立した名作です。
『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光——紙の本でしか味わえない衝撃
SNSで「読書体験が覆る」と話題になったこの作品、個人的にはここ数年で最も衝撃を受けた一冊です。
物語は、覆面作家だった父親の遺品から見つかった原稿をめぐるミステリー。一見シンプルなストーリーなのですが、この本には「紙の本」という媒体と深く結びついた仕掛けが隠されています。電子書籍では絶対に体験できない驚きがあるんです。
25万部を超えるベストセラーになったのも納得の面白さ。読了後、思わずSNSに感想を投稿したくなりますが、ネタバレは絶対厳禁。まだ読んでいない方は、何も調べずにすぐ手に取ってほしいです。
『木挽町のあだ討ち』永井紗耶子——直木賞受賞の感動ミステリー
第168回直木賞受賞作。ミステリー専門の賞ではありませんが、その構成の巧みさは間違いなくミステリーファンも満足させる一冊です。
江戸時代、ある若衆が父の仇を討ったという事件。その真相を、芝居小屋で働く人々への聞き取りから紐解いていく——という形式で物語は進みます。証言が重なるごとに見えてくる真実と、予想外の結末に、私は電車で読んでいて危うく泣きそうになりました。
時代小説に馴染みがなくても大丈夫。むしろ歌舞伎や江戸の文化に詳しくなくても、人情話として普遍的な感動があります。ミステリーと感動を同時に味わいたい方に、心からおすすめしたい作品です。
ミステリー小説の本格派におすすめ!どんでん返し・伏線回収が巧みな3作品
ここからは、ミステリーを読み慣れた方向けの本格派作品。どれも伏線回収やロジックが緻密で、「やられた!」という快感を味わえます。
『あなたが誰かを殺した』東野圭吾——加賀恭一郎シリーズ最新作
東野圭吾さんの加賀恭一郎シリーズ最新作。別荘地で起きた殺人事件を、読者自身が探偵役となって推理するという挑戦的な形式が特徴です。
この作品の面白いところは、ミステリーを読み慣れた人ほど騙される可能性が高いこと。「犯人はこの人だろう」と思って読み進めると、見事に裏切られます。加賀恭一郎の鋭い推理が明かされる瞬間の爽快感は、さすが東野圭吾さんと唸るしかありません。
東野圭吾作品は『クスノキの番人』のような感動作も素晴らしいですが、この作品は謎解きの面白さに特化しています。久しぶりに「推理する楽しさ」を味わいたい方にぴったりです。
『十戒』夕木春央——特殊設定ミステリーの新境地
『方舟』で話題を呼んだ夕木春央さんの最新長編。絶海の孤島を舞台に、「十の戒律」に従わなければならないというルールのもとで連続殺人が発生します。
この「ルールに従わなければならない」という設定が絶妙なんですよね。推理が制限される中で、どうやって真相にたどり着くのか。終盤の怒涛の伏線回収は本当に圧巻で、読み終わった瞬間に最初から読み返したくなりました。
新本格ミステリーの最前線を体感したい方、特殊設定ミステリーが好きな方には強くおすすめします。ちなみに私は深夜2時から読み始めて、朝6時に読了しました。平日だったのに。
『エレファントヘッド』白井智之——奇書と呼ばれる本格派
記憶を失った男が、巨大な象の頭部を模した仮面を被せられた状態で目覚める——。この奇怪な導入から始まる本作は、第26回大藪春彦賞を受賞した話題作です。
白井智之さんの作品は「奇書」と呼ばれることが多いのですが、この作品は比較的読みやすいと評判。とはいえグロテスクな描写もあるので、苦手な方はご注意を。
伏線回収の鮮やかさとロジックの緻密さは本格ミステリーファンを必ず唸らせます。「普通のミステリーでは物足りない」という上級者の方に、ぜひ挑戦してほしい一冊です。
ミステリー小説好きに贈る警察ミステリーの傑作
『可燃物』米澤穂信——ミステリーランキング三冠の実力
『黒牢城』で数々のミステリー賞を総なめにした米澤穂信さん初の警察ミステリー。2023年の「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」で三冠を達成した実力派です。
群馬県警を舞台に、連続放火事件を追う刑事たちの姿を描いた短編集。ミステリーとしての謎解きの面白さはもちろん、警察内部の対立や葛藤など、人間ドラマとしても読み応えがあります。
米澤穂信さんの文章は本当に読みやすくて、気づいたら一気読みしてしまいます。普段ミステリーを読まない方にも、最初の一冊としておすすめできる完成度の高さです。
海外ミステリー小説入門におすすめ
『アガサ・クリスティー失踪事件』ニーナ・デ・グラモン——実話を基にした傑作サスペンス
海外ミステリーに挑戦したい方に、まずおすすめしたいのがこの一冊。1926年に実際に起きた、アガサ・クリスティーの11日間の失踪事件を題材にしています。
驚くべきは、語り手が夫の愛人・ナンの視点であること。妻と夫とその愛人の奇妙な関係を、史実とフィクションを巧みに織り交ぜて描いています。二転三転する展開に引き込まれ、ページをめくる手が止まりません。
クリスティーファンはもちろん、海外ミステリーにあまり馴染みがない方にも読みやすい文体です。翻訳も自然で、ストレスなく物語に入り込めます。
ミステリー小説の選び方——自分に合った一冊を見つけるコツ
7冊をご紹介しましたが、どれから読めばいいか迷っている方のために、選び方のポイントをまとめます。
初めてミステリーを読む方・久しぶりの方には、『世界でいちばん透きとおった物語』か『木挽町のあだ討ち』がおすすめ。どちらも読みやすく、でも確実に驚きがあります。
どんでん返しや伏線回収を楽しみたい方は、『十戒』か『あなたが誰かを殺した』を。特に『十戒』は文庫版が出ているので手に取りやすいです。
普通のミステリーでは物足りない上級者には、『エレファントヘッド』がぴったり。奇怪な設定と緻密なロジックの両立は、さすがの一言です。
人間ドラマも楽しみたい方は、『可燃物』をぜひ。警察ミステリーとしての面白さに加え、組織で働く人間の姿がリアルに描かれています。
ちなみに私は、ロジック重視のガチガチの本格ミステリーも好きですが、少し人情話が絡む『木挽町のあだ討ち』のような作品に特に心を掴まれます。もし同じようなタイプの方がいたら、ぜひ手に取ってみてください。
読書の秋、寝不足覚悟で一冊手に取ってみてください。私のように「気づいたら朝」という体験ができること、間違いなしです。
まとめ——ミステリー小説で味わう知的興奮
ミステリー小説の魅力は、なんといっても「知的興奮」にあると思います。伏線に気づいたときの快感、予想を裏切られたときの驚き、そして真相が明かされたときの爽快感。どれも日常では味わえない感覚です。
今回ご紹介した7冊は、どれもその知的興奮を存分に味わえる作品ばかり。初心者の方から上級者の方まで、きっとお気に入りの一冊が見つかるはずです。
個人的には、まず『世界でいちばん透きとおった物語』から読んでみてほしいです。ミステリーの枠を超えた「読書体験そのもの」を覆す仕掛けは、本を読む喜びを改めて感じさせてくれます。






