かがみの孤城原作深読み!映画との違いから見える辻村深月の本当のメッセージ

かがみの孤城原作深読み!映画との違いから見える辻村深月の本当のメッセージ

映画を観て「これで終わり?」と思った人、絶対に原作を読んでください

2022年12月に公開されたアニメ映画『かがみの孤城』、観ましたか?私は映画館で観て、正直言うと「あぁ、良い話だった」で終わりそうになったんです。でも、原作ファンの友人に「絶対に小説を読んで!映画では全然伝わってない」と強く勧められて、読んでみて驚愕しました。

映画は確かに美しく、わかりやすく、感動的でした。でも原作には、映画では描ききれない圧倒的な深さがあったんです。

特に衝撃だったのは、7人の不登校生それぞれの背景が、映画では本当に「さらっと」しか描かれていないこと。原作では、一人ひとりが抱える心の傷や家庭の事情が、これでもかというほど丁寧に描かれています。

この記事では、2018年本屋大賞受賞作『かがみの孤城』の原作が持つ本当の魅力と、なぜ今この物語が必要なのかを、映画と原作を両方体験した私の視点でお話しします。

原作の詳しい内容について、以下で解説していきます

かがみの孤城

2018年本屋大賞受賞。居場所を失った子どもたちが鏡の向こうの城で出会う、感動と希望の物語。辻村深月の代表作。

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なぜ『かがみの孤城』が映画化されたのか?現代社会が求める物語

『かがみの孤城』が2022年にアニメ映画化された背景には、現代社会の深刻な問題があります。

不登校児童・生徒数の急増

文部科学省の調査によると、不登校の小中学生は2022年度に約30万人を超え、過去最多を更新し続けています。コロナ禍を経て、子どもたちの心の問題はより深刻になっています。

SNS時代の新しい孤独

私たち20代が体験しているのは、SNSでつながっているのに孤独を感じる、という新しい形の孤立です。「みんなといても居場所がない」という感覚は、まさに主人公こころが抱えている気持ちそのもの。

『かがみの孤城』の映画化は、単なるエンターテイメントではなく、現代社会への問題提起だったんです。

かがみの孤城原作深読み:映画では描ききれなかった心理描写の違い

映画を観た時は「こころちゃん、よかったね」で終わった私ですが、原作では全然違いました。

7人それぞれの「行けない理由」

映画では時間の都合で、7人の不登校の理由が駆け足で説明されます。でも原作では、それぞれの家庭環境、学校での出来事、心の傷が本当に丁寧に描かれているんです。

例えば、こころがいじめにあった経緯。映画では「クラスメイトに悪口を言われた」程度の描写ですが、原作では真田さんという同級生の複雑な家庭事情まで含めて、いじめが生まれる構造そのものを描いています。

「助けたい」の本当の意味

「あなたを、助けたい」

この言葉が作品のキーフレーズなんですが、映画ではこの深い意味が十分に伝わりません。原作では、この言葉が誰から誰へのメッセージなのか、なぜこの言葉なのかが、物語の核心として描かれています。

実は、助けたいのは大人たちなんです。子どもたちを助けたい大人たちの想いが、あの鏡の城を作り出している。この構造が理解できると、物語の見え方が完全に変わります。

かがみの孤城映画と原作の違い:それぞれの良さを深読み比較

映画を批判したい訳ではありません。それぞれに良さがあるんです。

映画の良さ

  • アクセシビリティの高さ: 2時間で物語の全体像がわかる
  • 視覚的な美しさ: 鏡の城の神秘的な雰囲気が完璧に表現されている
  • 音楽の力: 久石譲さんの音楽が物語に深みを加えている

実際、映画のおかげで『かがみの孤城』を知った人も多いはず。私もその一人です。

原作の圧倒的な深さ

  • 心理描写の細やかさ: 各キャラクターの内面が手に取るようにわかる
  • 伏線の巧みさ: 読み返すたびに新しい発見がある
  • 現実問題への踏み込み: 不登校の背景にある社会問題まで描いている

個人的には、映画は「入り口」、原作は「本当の物語」だと思っています。

なぜ今、私たち若い世代に『かがみの孤城』が刺さるのか

居場所を求める気持ちへの共感

大学を卒業して社会人になって、改めて気づいたのは「居場所って、作るものなんだ」ということ。学校という決められた場所にいるだけでは、本当の居場所は見つからない。

こころたちが鏡の向こうで見つけたのは、物理的な場所ではなく、「自分を受け入れてくれる人たちとの関係」でした。これって、まさに私たちが大人になる過程で学ぶことなんですよね。

「助けを求めてもいい」というメッセージ

私たちの世代って、「自分でなんとかしなきゃ」って思いがちじゃないですか?でも『かがみの孤城』は「助けを求めてもいい」「誰かに頼ってもいい」って教えてくれます。

こころが最初は一人で抱え込んでいた問題を、最後は周りの大人たちと一緒に解決していく過程は、本当に希望があります。これは『嫌われる勇気』で語られているアドラー心理学の「課題の分離」にも通じる考え方です。

SNS疲れからの解放

Twitterで誰かの幸せそうな投稿を見て、なんとなく落ち込む。そんな経験、ありませんか?

『かがみの孤城』の7人は、SNSのない世界で、でも現代の私たちと同じような孤独を感じています。彼らが城で見つけたのは、「ありのままの自分を受け入れてくれる仲間」でした。

これって、SNSの「いいね」の数では得られない、本当のつながりなんです。

原作を読んで、私が変わったこと

正直に言うと、私も学生時代、クラスでの居場所に悩んだことがありました。みんなでいても、なんだか「一人だけ違う世界にいる」ような感覚。

『かがみの孤城』を読んで気づいたのは、その感覚って決して異常じゃないし、一人で抱え込む必要もないということ。

今では、しんどい時は素直に友人や家族に話すようになりました。ハムスターのぽんずにも、毎日愚痴を聞いてもらってます(笑)。メンタルヘルスについて考える際には、『職場の人間関係は自己肯定感が9割』のような実践的なアプローチも参考になります。

映画から入った人にこそ、原作を読んでほしい

映画『かがみの孤城』が好きだった人。 なんとなく物足りなさを感じた人。 原作も気になるけど、分厚くて躊躇している人。

ぜひ、原作を読んでください。

映画で感じた感動の10倍の深みがあります。映画では「良い話だった」で終わったものが、「人生を変える一冊」になるかもしれません。

特に、今何かに悩んでいる人、居場所を探している人には、こころたちの物語がきっと力をくれるはずです。

最後に

『かがみの孤城』は、ただのファンタジー小説ではありません。現代社会で生きづらさを感じているすべての人への、優しくて力強いメッセージです。

「あなたを、助けたい」

この言葉の本当の意味を知るために、ぜひ原作を手に取ってみてください。きっと、映画とは全く違う感動が待っています。

以上の理由から、『かがみの孤城』を多くの方に読んでいただきたいと思います。

かがみの孤城

2018年本屋大賞受賞作。累計160万部突破の感動作。映画では描ききれなかった7人の深い心の物語が、あなたを待っています。

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森田 美優

出版社勤務を経てフリーライターに。小説からビジネス書、漫画まで幅広く読む雑食系読書家。Z世代の視点から現代的な読書の楽しみ方を発信。

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