ルッキズムに悩む人におすすめの本!外見コンプレックスと向き合う湊かなえ『カケラ』体験談

Instagram で美しい人を見るたび、胸が苦しくなる私たちへ
実は、私も毎日のようにInstagramを開いては、美しい女性たちの投稿を見て勝手に落ち込んでいるんです。「なんで私はこんなに…」って。
そんな時に出会ったのが、湊かなえさんの最新作『カケラ』でした。ルッキズムの問題を扱ったこの本を読んだ瞬間、「これ、私のことが書かれてる…」と震えが止まらなくなったんです。
外見コンプレックスに悩む現代女性の心を、ここまで鋭く、そして痛いほどリアルに描いた本に出会ったのは初めてでした。まさにルッキズムに悩む人におすすめしたい作品の筆頭です。
ルッキズム本『カケラ』と書店で出会った衝撃の瞬間
いつものように渋谷の大型書店をぶらぶらしていたとき、平積みされた『カケラ』の表紙が目に飛び込んできました。湊かなえさんの新作だということは知っていましたが、「美容整形」「外見コンプレックス」というキーワードを見た瞬間、手が震えたんです。
この本の詳しい内容について、以下で解説していきます。
外見コンプレックスに悩む現代女性の心を鋭くえぐる湊かなえの問題作。美容整形の闇と人間の内面を多角的に描いた衝撃の心理サスペンス。
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Amazonで見るあらすじを簡単に説明すると、美容外科医の橘久乃のもとに、幼なじみから「太っていた同級生・横網八重子とその娘・有羽が心中した事件について聞きたい」という相談が持ち込まれます。章ごとに語り手が変わり、それぞれの主観から事件の真相が明かされていく構成になっています。
読み始めた瞬間、「これ、まさに今の私たちの話だ」と感じました。SNSで美しい人を見て落ち込み、自分の外見に悩み、時には整形を考えてしまう…そんな現代女性の心の内が、恐ろしいほど正確に描かれていたんです。
心理描写の鋭さに震えが止まらなくなった場面
個人的に一番震えたのは、美容外科医の久乃が患者の心理を分析する場面でした。「美しくなりたい」という願いの裏に隠された、複雑で深い心の闇が描かれているんです。
実は私も、大手出版社で働いていた頃、同僚の女性たちと自分を比較して落ち込むことが多かったんですよね。「あの子はスタイルがいいから」「この人は顔が小さいから」って、毎日のように思っていました。
『カケラ』の登場人物たちの心情は、まさにあの頃の私の気持ちそのものでした。特に、「他人からどう見られているか」を過度に気にしてしまう心理描写は、読んでいて苦しくなるほどリアルでした。
湊かなえさんの文章の巧みさは、読者を物語の中に引き込み、まるで自分がその場にいるような感覚にさせることです。『カケラ』でも、各登場人物の内面描写が非常に繊細で、「信頼できない語り手」という手法を使って読者を疑心暗鬼にさせます。
「この人の言っていることは本当なのかな?」と思いながら読み進めるうちに、真実が少しづつ明かされていく構成は、さすが湊かなえさんだと感じました。
外見コンプレックス本が描く20代女性の現代的な悩み
この本を読んで一番感じたのは、「現代の若い世代が抱える外見への圧力」の深刻さです。
Instagram、TikTok、Twitter…私たちは毎日、完璧に見える人たちの写真や動画を目にしています。そして無意識のうちに、「私もあんな風になりたい」「なんで私はこんななんだろう」と自分を責めてしまうんですよね。
実際、私も友人とカフェ巡りをしているとき、隣のテーブルに座った美しい女性を見て「私なんて…」と落ち込んだことが何度もあります。Netflix で韓国ドラマを見ていても、美しい女優さんたちを見ては複雑な気持ちになることも。
『カケラ』の登場人物たちも、まさに同じような感情を抱えています。周りからの評価、SNSでの「いいね」の数、就活や婚活での見た目の影響…これらすべてが、現代を生きる私たちにとって避けて通れない問題なんです。
特に印象的だったのは、「美しさ」の基準が時代とともに変化し、それに振り回される人々の姿でした。昔は「健康的な美しさ」が良しとされていたのに、今は「細さ」や「完璧さ」が求められる。そんな社会の変化に戸惑いながらも、その基準に合わせようと必死になる女性たちの心情が痛いほど伝わってきました。これは『不安を解消する本』Z世代の不安にどう向き合うかでも書いた現代社会の構造的な問題とも深く関連しています。
湊かなえワールドの技巧の巧みさ
『告白』や『贖罪』で見せた多視点構造は、『カケラ』でも健在です。ただし、今回は以前の作品よりもさらに現代的で身近な問題を扱っているため、読者との距離感がぐっと近くなっています。
青山学院大学で文学を学んだ私から見ても、この構成の巧みさは本当に見事だと思います。各章で語り手が変わることで、一つの事件を多角的に見ることができ、「真実とは何か」を読者に問いかけています。
『告白』では学校という閉鎖的な空間での復讐劇が描かれましたが、『カケラ』では美容医療という現代的な舞台設定により、より多くの読者が「自分事」として感じられる作品になっています。
特に素晴らしいのは、湊かなえさんが単純な「加害者」「被害者」の構図を作らないことです。登場人物全員が複雑な事情を抱えており、読者は最後まで誰を信じていいのかわからない状態で読み進めることになります。
この「信頼できない語り手」という手法は、現代のSNS社会における情報の曖昧さとも重なります。私たちは毎日、誰かの「主観的な真実」をSNSで目にしていますが、それが本当の真実なのかはわからない。『カケラ』は、そんな現代社会の縮図でもあるんです。『嫌われる勇気』をZ世代なりに解釈したら、人間関係が楽になったでも書きましたが、他者からの評価に振り回されすぎることの危険性を改めて感じました。
外見コンプレックスと上手に付き合う方法
『カケラ』を読んで、私なりに外見コンプレックスとの付き合い方について考えてみました。
まず大切なのは、「完璧な美しさ」なんて存在しないということを受け入れることです。SNSで見る美しい写真も、多くの場合は加工やフィルターが使われています。リアルな私たちと比較すること自体が間違っているんですよね。
それから、自分の価値を外見だけで測らないことも重要です。私の場合、大学で文学を学んだことや、出版社での経験、今のライターとしての仕事…これらすべてが私を形作っています。外見は私という人間の一部でしかありません。これは以前『自己肯定感を上げるOUTPUT読書術』で20代の自信不足を解消の記事でも詳しく書いた、自己肯定感を高める基本的な考え方でもあります。
最後に、家で飼っているハムスターのぽんずを見ていると、純粋な愛情って外見とは関係ないんだなって思うんです。ぽんずは私の外見なんて気にせず、ただ私を慕ってくれる。そんな純粋な関係性こそが、本当に大切なものなのかもしれません。
同世代の皆さんへ〜本は人生を2倍楽しくする魔法〜
『カケラ』を読んで、改めて実感したことがあります。それは、本には私たちの悩みを言語化し、客観視させてくれる力があるということです。
私も長い間、外見コンプレックスを一人で抱え込んでいました。でも、『カケラ』を読むことで、「これは私だけの悩みじゃないんだ」「みんな同じように苦しんでいるんだ」ということがわかったんです。
本は人生を2倍楽しくする魔法だと私は思っています。辛いときには共感してくれる物語を、迷ったときには道しるべとなる言葉を、本は私たちに与えてくれます。
特に同世代の皆さんには、『カケラ』のような現代的な悩みを扱った作品を通じて、自分の感情と向き合ってほしいと思います。きっと、新しい視点や気づきが得られるはずです。
外見コンプレックスで悩んでいる方、SNSで他人と比較して落ち込んでしまう方、美容整形を考えている方…すべての女性に読んでもらいたい一冊です。湊かなえさんの鋭い心理描写が、きっとあなたの心にも響くと思います。
以上の理由から、この本を多くの方に読んでいただきたいと思います。
外見コンプレックスに悩む現代女性の心を鋭くえぐる湊かなえの問題作。美容整形の闇と人間の内面を多角的に描いた衝撃の心理サスペンス。
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