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『BUTTER』柚木麻子|要約・感想【木嶋佳苗事件を基にした話題作】

『BUTTER』柚木麻子|要約・感想【木嶋佳苗事件を基にした話題作】

「若くも美しくもない女が、男たちの金と命を奪った」

この一文に、私は引き込まれた。

柚木麻子さんの『BUTTER』。木嶋佳苗事件を基にした小説だ。

読み始めたら止まらなかった。592ページを、一気に読み切った。

『BUTTER』とは

BUTTER

著者: 柚木麻子

柚木麻子著。木嶋佳苗事件を基にした長編小説。結婚詐欺殺人犯と女性記者の対話を通じて、女性の生きづらさを描く。新潮文庫。

¥940Kindle価格

Amazonの売れ筋ランキングでは、本340位/新潮文庫3位に入っています(2026年2月11日時点。順位は変動します)。

『BUTTER』は、2017年に単行本が刊行され、2020年に文庫化された長編小説。

35カ国で翻訳が決定し、英国ウォーターストーンズの「今年の本」にも選出された。日本を超える28万部を海外で売り上げた話題作だ。

著者の柚木麻子さんは、この作品を「現時点での最高傑作」と位置づけている。

『BUTTER』柚木麻子のあらすじ|ネタバレ控えめに整理

主人公の里佳は、週刊誌で働く30代の女性記者。

彼女が取材するのは、結婚詐欺の末に男性3人を殺害したとされる容疑者・梶井真奈子(通称カジマナ)。

カジマナは、若くも美しくもない。しかし、女性としての自信に満ち溢れている。

「私はブスじゃない。私を愛さない男が、見る目がないだけ」

その言葉に、里佳は動揺する。

カジマナは、取材の条件として「バターを使った料理を作ること」を要求する。

里佳はバター料理を作り、カジマナに報告する。その対話を通じて、里佳自身の価値観が揺さぶられていく——。

あらすじを一言でまとめるなら、女性記者が殺人容疑者を取材するうちに、事件の真相以上に、自分の中にある「こうあるべき女性像」と向き合わされる物語です。

単なる事件小説だと思って読むと驚きます。物語の軸は「犯人が何をしたか」だけでなく、「なぜ里佳がここまでカジマナに惹きつけられるのか」にあるからです。

木嶋佳苗事件との関連

本作は、2009年に発覚した**「首都圏連続不審死事件」**を基にしている。

婚活サイトで出会った男性から金銭を騙し取り、複数の男性を殺害したとされる事件だ。

犯人の木嶋佳苗は、料理教室に通い、高級食材で男性たちの胃袋を掴んでいたとされる。

ただし、本作は完全なフィクション。事件をそのまま描いたものではなく、柚木麻子さんが独自のテーマを込めた作品になっている。

衝撃のテーマ:女性の「生きづらさ」

この小説の核心は、殺人事件ではない。

描かれているのは、現代社会における女性の生きづらさだ。

ルッキズムへの問い

カジマナは、世間的には「美人」ではない。

しかし、彼女は自分の容姿を恥じない。むしろ、自信に満ちている。

「痩せなければ」「綺麗にならなければ」——そんな社会の圧力に、カジマナは抵抗する。

一方、主人公の里佳は、痩せていて、世間的には「まとも」な女性だ。

でも、彼女はカジマナに出会って気づく。

自分は、社会の価値観に縛られてきたのではないか——。

「食べること」への罪悪感

本作では、バター料理が重要なモチーフになっている。

カジマナは、バターをたっぷり使った料理を愛する。罪悪感なく、美味しいものを食べる。

里佳は最初、その姿に戸惑う。

「こんなに脂っこいものを食べて、太らないのか」 「女性なのに、そんなに食べていいのか」

でも、カジマナの影響で、里佳も変わっていく。

「食べること」への罪悪感を手放す——。それは、自分を解放することでもあった。

私が感じたこと

28歳、女性。この本を読んで、自分の中の「縛り」に気づいた。

痩せなければいけない?

私は、ずっと「痩せなければ」と思ってきた。

糖質制限、置き換えダイエット、ジム通い——。何度も挑戦して、何度も挫折した。

でも、なぜ痩せなければいけないのか。

「モテるため」「綺麗に見られるため」——結局、他人の目を気にしていただけかもしれない。

カジマナの「私はブスじゃない」という言葉が、頭から離れない。

美味しいものを食べていい

本書を読んでから、バターを買った。

ホットケーキにたっぷり塗って、罪悪感なく食べた。

美味しかった。それでいいと思った。

「女性らしく」「ヘルシーに」——そんな縛りを、少しだけ手放せた気がする。

注意点:重いテーマを含む

正直に書くと、この本は読む人を選ぶ。

殺人事件を扱っている。女性の生きづらさを、容赦なく描いている。

「楽しい小説」ではない。読んでいて苦しくなる場面もある。

でも、その苦しさの先に、何かが変わる感覚がある。

読書メーターのレビューでは「日本の女の生きづらさをここまで掘り下げてくれるとは」という声が多い。

こんな人におすすめ

  • 女性の生きづらさをテーマにした小説を読みたい人
  • 実際の事件を基にしたフィクションに興味がある人
  • 柚木麻子さんのファン
  • 「食」と「欲望」をテーマにした作品が好きな人
  • 海外で評価された日本文学を読みたい人

特に、「痩せなければ」「綺麗にならなければ」というプレッシャーを感じている人に読んでほしい。

カジマナという強烈なキャラクターが、その縛りを揺さぶってくれる。

まとめ:自分を解放する物語

『BUTTER』は、殺人事件の小説であり、フェミニズム小説であり、グルメ小説でもある。

柚木麻子さんの集大成と言われる理由が、読めばわかる。

592ページという長さだが、一気に読める。

読み終えたとき、自分の中の何かが変わっている。

「痩せなければ」「綺麗にならなければ」——そんな縛りに疲れた人へ。

この本が、解放のきっかけになるかもしれない。

BUTTER

著者: 柚木麻子

柚木麻子著。35カ国で翻訳、英国ウォーターストーンズ「今年の本」選出。女性の生きづらさを描いた傑作。

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この記事のライター

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森田 美優

出版社勤務を経てフリーライターに。小説からビジネス書、漫画まで幅広く読む雑食系読書家。Z世代の視点から現代的な読書の楽しみ方を発信。

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    佐々木 健太

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