小説おすすめ2025決定版!本屋大賞から直木賞まで今年絶対読むべき10作品

小説おすすめ2025決定版!本屋大賞から直木賞まで今年絶対読むべき10作品

「今年こそ面白い小説に出会いたい」と思いながら、膨大な新刊の中から何を選べばいいか迷っていませんか。年間200冊以上読む私でも、新刊の選定には常に頭を悩ませます。

実は、文化庁の「国語に関する世論調査」によると、月に1冊以上本を読む人は全体の約6割。しかし「何を読めばいいかわからない」という理由で読書量が減っている人も多いのです。

だからこそ、本屋大賞や直木賞といった文学賞は、良書との出会いの羅針盤になります。全国の書店員が「いちばん売りたい本」を投票で選ぶ本屋大賞、日本文学の最高峰である直木賞・芥川賞、そしてミステリーファンが熱狂する「このミステリーがすごい!」。これらの受賞作品は、それぞれ異なる角度から「面白さ」を保証してくれます。

今回は、2024年から2025年にかけて話題を集めた小説の中から、私が実際に読んで「これは人生の見方が変わる」と感じた10作品を厳選しました。ミステリー好きも、純文学派も、「泣ける本」を探している人も、きっとあなたの次の一冊が見つかるはずです。

小説おすすめ2025年版の選定基準

今回の10作品は、以下の3つの基準で選びました。

文学賞の受賞実績

本屋大賞、直木賞、芥川賞、「このミステリーがすごい!」など、信頼できる賞を受賞またはノミネートされた作品を優先しています。これらの賞は、プロの目利きや熱心な読者によって選ばれるため、「外れが少ない」という安心感があります。

ジャンルの多様性

ミステリー、純文学、青春小説、ホラーなど、様々なジャンルからバランスよく選びました。普段読まないジャンルに挑戦するきっかけにもなるはずです。

読後の「人生が変わる」体験

私が最も重視したのは、読み終えた後に「自分の人生を振り返らずにはいられない」という体験ができるかどうか。技術的に優れているだけでなく、読者の心に深く刺さる作品を選んでいます。

おすすめ小説2025:本屋大賞受賞作

『カフネ』阿部暁子 ― 2025年本屋大賞大賞

本屋大賞2025年の大賞に輝いたのは、阿部暁子さんの『カフネ』です。

「カフネ」とはポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」を意味します。このタイトルが示すように、本作は人と人との間にある「触れる」という行為の持つ意味を深く掘り下げています。

児童養護施設で育った主人公・伊吹は、虐待が疑われる少女・朱里と出会います。かつての自分の姿を重ねた伊吹は、朱里を救うために奔走しますが、現実は決して簡単ではありません。

私がこの作品に惹かれたのは、「救う」という行為の複雑さを正面から描いている点です。善意だけでは人は救えない。でも、善意なしには何も始まらない。その葛藤を、伊吹の行動を通じて読者自身が追体験できる構成になっています。

4歳の息子を持つ父親として、子どもが安心して暮らせる社会について改めて考えさせられました。読み終えた後、思わず息子を抱きしめたくなる作品です。

カフネ

本屋大賞2025大賞受賞。児童養護施設で育った青年と虐待が疑われる少女の物語。人と人とのつながりの意味を問う感動作。

¥1,870(記事作成時の価格です)

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『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈 ― 2024年本屋大賞大賞

2024年の本屋大賞を受賞し、16冠を達成した話題作。滋賀県大津市を舞台に、我が道を行く中学生・成瀬あかりの挑戦を描いています。

コロナ禍で閉店が決まった西武大津店に毎日通い、ローカル番組の中継に映り込もうとする成瀬。一見すると突飛な行動ですが、彼女の中には確固たる信念があります。

「みんなと同じ」であることに価値を置く社会で、成瀬のように自分の信念を貫くことの難しさと尊さ。読み終えた後、「自分は本当にやりたいことをやっているだろうか」と自問せずにはいられません。

私自身、出版社を辞めて独立した経験があります。周囲の目を気にせず自分の道を選ぶことの大切さを、成瀬から改めて教わりました。2025年には文庫版も発売予定なので、まだ読んでいない方はぜひこの機会に。

成瀬は天下を取りにいく

本屋大賞2024大賞・16冠達成。滋賀県大津市を舞台に、我が道を行く中学生・成瀬あかりの痛快青春小説。

¥1,650(記事作成時の価格です)

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2025年小説おすすめ:ミステリー部門

『地雷グリコ』青崎有吾 ― このミス2025国内編1位

「このミステリーがすごい!2025年版」で国内編1位に輝いた本作は、私が2024年に読んだミステリーの中で最も衝撃を受けた一冊です。

主人公は女子高生・射守矢真兎。彼女が挑むのは「地雷グリコ」という賭博頭脳戦。敗者は死ぬという極限状況で、常人には思いつかないイカサマを駆使して戦います。

青崎有吾さんといえば『体育館の殺人』で知られる本格ミステリー作家ですが、本作はゲーム×ミステリーという新境地。読者も一緒に「どうやって勝つか」を考えながら読み進める構成が秀逸です。

特に印象的だったのは、主人公の「勝つためなら何でもする」という姿勢の裏にある、譲れない信念。単なる頭脳戦を超えた人間ドラマとしても読み応えがあります。

ミステリー好きはもちろん、『カイジ』や『DEATH NOTE』のような心理戦が好きな方にも強くおすすめします。

地雷グリコ

このミステリーがすごい!2025年版国内編1位。賭博頭脳戦を描く本格ミステリー。イカサマと論理の極限バトル。

¥1,980(記事作成時の価格です)

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『変な家2 〜11の間取り図〜』雨穴 ― 2024年ベストセラー1位

2024年の年間ベストセラー1位に輝いた、雨穴さんの『変な家2』。前作『変な家』も大ヒットしましたが、続編はさらにスケールアップしています。

不可解な11の間取り図の謎を解き明かしていくモキュメンタリー(ドキュメンタリー風フィクション)ホラー。読み進めるうちに、「これは実話なのでは?」と思わせる構成が見事です。

私は普段ホラーをあまり読まないのですが、本作は「間取り図」という身近なモチーフを使っているため、恐怖がリアルに感じられました。「あの家の間取り、なんか変だな」と思った経験がある人なら、背筋が凍るはず。

YouTubeで活躍する雨穴さんならではの、視覚的な恐怖表現も特徴。動画コンテンツと書籍の融合という新しい小説のあり方を示した作品でもあります。

変な家2 〜11の間取り図〜

2024年ベストセラー1位。不可解な11の間取り図の謎を解き明かすモキュメンタリーホラー。

¥1,540(記事作成時の価格です)

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小説おすすめ2025:直木賞・芥川賞受賞作

『ツミデミック』一穂ミチ ― 第171回直木賞受賞

2024年上半期の直木賞を受賞した『ツミデミック』は、コロナ禍という時代を鋭く切り取った6編の犯罪小説集です。

「ツミデミック」とは「罪(ツミ)」と「パンデミック」を掛け合わせた造語。現代社会の歪みから生まれる人々の罪と罰を、加害者、被害者、そして無関係な人々の視点から描いています。

一穂ミチさんは『スモールワールズ』で本屋大賞にもノミネートされた実力派。本作では、コロナ禍で浮き彫りになった人間の弱さと強さを、容赦なく、しかし深い愛情を持って描いています。

私が特に印象に残ったのは、「正しいこと」と「正しくないこと」の境界が曖昧になる瞬間。読み終えた後、自分自身の行動を振り返らずにはいられませんでした。

時事的なテーマを扱っていますが、普遍的な人間の業を描いているため、何年経っても色褪せない作品だと思います。

ツミデミック

第171回直木賞受賞。コロナ禍を舞台にした6編の犯罪小説集。現代社会の歪みから生まれる罪と罰を描く。

¥1,870(記事作成時の価格です)

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『サンショウウオの四十九日』朝比奈秋 ― 第171回芥川賞受賞

2024年上半期の芥川賞を受賞した本作は、結合双生児として生まれた姉妹を描いた純文学です。

著者の朝比奈秋さんは現役の医師。医学的知識を活かしながら、「自己とは何か」「他者とは何か」という根源的な問いに迫ります。

分離手術を前にした姉妹の意識のあり方を通して、私たちが当たり前だと思っている「自分」という存在の不確かさが浮き彫りになります。

純文学は難解なイメージがありますが、本作は物語としても引き込まれます。芥川賞作品の入門としてもおすすめです。

サンショウウオの四十九日

第171回芥川賞受賞。結合双生児として生まれた姉妹を描いた純文学。「自己とは何か」を問う衝撃作。

¥1,540(記事作成時の価格です)

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2025年おすすめ小説:実力派作家の最新作

『spring』恩田陸 ― 本屋大賞2025ノミネート

『蜜蜂と遠雷』で本屋大賞と直木賞をダブル受賞した恩田陸さんの最新作。本作は「バレエ」をテーマにしています。

恩田さんは音楽や芸術を題材にした作品を多く手がけていますが、本作ではバレエという「身体表現」に挑んでいます。言葉で表現しにくい「踊り」の美しさを、どう文章に落とし込むか。その挑戦が見事に結実しています。

私は『蜜蜂と遠雷』でクラシック音楽の世界に魅了されましたが、本作でもバレエの奥深さに引き込まれました。芸術に興味がある方はもちろん、「何かに打ち込む人々」の物語として広く楽しめます。

spring

本屋大賞2025ノミネート。『蜜蜂と遠雷』の恩田陸が描く、天才バレエダンサーの物語。

¥1,980(記事作成時の価格です)

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『黄色い家』川上未映子 ― 本屋大賞2024ノミネート

『夏物語』で国際的にも高い評価を受けた川上未映子さんの長編小説。本作は、家を失った少女たちが疑似家族を形成していく物語です。

貧困、虐待、搾取といった重いテーマを扱っていますが、川上さんの筆致は決して暗くなりすぎません。登場人物たちの必死に生きる姿が、読者の胸を打ちます。

私がこの作品で最も考えさせられたのは、「家」とは何かという問いです。血縁関係がなくても「家族」は成立するのか。物理的な「家」がなくても心の拠り所は作れるのか。

現代社会の格差問題を考える上でも、非常に示唆に富んだ作品です。

黄色い家

本屋大賞2024ノミネート・読売文学賞受賞。家を失った少女たちが疑似家族を形成していく衝撃の物語。

¥2,090(記事作成時の価格です)

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小説おすすめ2025:隠れた名作

『水車小屋のネネ』津村記久子 ― 本屋大賞2024 第2位

本屋大賞2024で第2位に輝いた本作は、「言葉を話すオウム」が登場するという一見ファンタジックな設定ながら、人と人との関わりを深く描いた物語です。

津村記久子さんは『ポトスライムの舟』で芥川賞を受賞した実力派。本作では、40年という長い時間軸の中で、複数の登場人物の人生が交差していく様子を丁寧に描いています。

私が特に印象的だったのは、「言葉を話せる」ことの意味。オウムのネネは人間の言葉を話しますが、それは本当に「理解」しているのか。逆に、私たち人間は本当に「わかり合えて」いるのか。

じっくり腰を据えて読みたい方におすすめの一冊です。

水車小屋のネネ

本屋大賞2024第2位・谷崎潤一郎賞受賞。しゃべるオウムと40年にわたる人々の人生を描く長編。

¥2,090(記事作成時の価格です)

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『存在のすべてを』塩田武士 ― 本屋大賞2024 第3位

『罪の声』でグリコ・森永事件を題材にした塩田武士さんの最新作。本作は、ある誘拐事件の真相に迫るミステリーです。

30年前に起きた誘拐事件。被害者の少年はなぜ無事に帰ってきたのか。そして、なぜ身代金は奪われたままだったのか。

私がこの作品を選んだのは、ミステリーとしての完成度の高さだけでなく、「なぜ人は真実を求めるのか」という問いが深く刺さったからです。

過去に読んだ『ねじまき鳥クロニクル』の記事でも書きましたが、私はミステリーを読むとき、「謎が解ける快感」よりも「なぜ人は謎を追うのか」という動機に興味があります。本作は、その問いに真正面から答えてくれる作品です。

存在のすべてを

本屋大賞2024第3位・渡辺淳一文学賞受賞。30年前の誘拐事件の真相に迫る本格ミステリー。

¥2,090(記事作成時の価格です)

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小説おすすめ2025の選び方ガイド

ジャンル別おすすめ

最後に、読者のタイプ別におすすめ作品をまとめます。

「泣ける本」を探している方 →『カフネ』『水車小屋のネネ』

ミステリー好きな方 →『地雷グリコ』『存在のすべてを』『変な家2』

純文学に挑戦したい方 →『サンショウウオの四十九日』『黄色い家』

元気が出る本を読みたい方 →『成瀬は天下を取りにいく』『spring』

社会問題を考えたい方 →『ツミデミック』『黄色い家』

読書時間の目安

作品ページ数読書時間目安
カフネ約400頁6〜8時間
成瀬は天下を取りにいく約250頁3〜4時間
地雷グリコ約350頁5〜7時間
変な家2約300頁4〜5時間
ツミデミック約350頁5〜7時間

まとめ:2025年のおすすめ小説は「人生を変える」一冊を

今回紹介した10作品は、どれも「読んで終わり」ではなく、読後に自分自身と向き合うきっかけを与えてくれるものばかりです。

本屋大賞受賞作の『カフネ』は人と人とのつながりを、『成瀬は天下を取りにいく』は自分らしく生きることを、『地雷グリコ』は勝負の意味を問いかけてきます。

私が年間200冊以上の本を読む理由は、「人生の見方が変わる」瞬間を求めているからです。一冊の本との出会いが、仕事の取り組み方を変えたり、家族との関係を見直すきっかけになったり。そうした経験を、一人でも多くの方に味わってほしいと思います。

まずは気になった一冊から手に取ってみてください。そして、読み終えたら、ぜひ誰かにその本について話してみてください。言葉にすることで、自分の中に何が残ったのかがより明確になるはずです。

本屋大賞2025大賞を受賞した『カフネ』は、まさに今年を代表する一冊です。「面白い本に出会いたい」と思っている方には、まずこちらから読むことをおすすめします。

カフネ

本屋大賞2025大賞受賞。児童養護施設で育った青年と虐待が疑われる少女の物語。人と人とのつながりの意味を問う感動作。

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高橋 啓介

大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。

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    西村 陸
    京都大学大学院で認知科学を研究する博士課程学生。理系でありながら文学への造詣も深く、科学と文学の交差点で新たな知の可能性を探求。
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    佐々木 健太
    元外資系コンサルタントから転身したライター。経済学の知識を活かしながら、健康・お金・人間関係の最適化を追求。エビデンスベースの実践的な知識発信を心がける。
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