決断漫画おすすめ10選!迷わず動ける力が身につく傑作ガイド【2026年版】
「今の会社を辞めるべきか」「この人と結婚していいのか」「子どもにどんな教育を受けさせるべきか」
人生には、答えのない決断が次々と押し寄せてくる。
年間200冊以上の本を読む編集者として、そして5歳の息子を持つ父親として、私は日々「決断」と向き合っている。編集会議でどの企画を通すか、息子にどんな言葉をかけるか——小さな決断の積み重ねが、気づけば人生を形作っていく。
研究によると、私たちは1日に約35,000回もの決断を下しているという。その多くは無意識だが、重要な決断になるほど私たちは立ち止まり、悩み、時に動けなくなる。
今回は「決断力」をテーマに、読むことで背中を押してもらえる漫画10作品を厳選した。心理学の知見も交えながら、なぜこれらの作品が「決断する力」を育むのか、解説していく。
決断を妨げる3つの心理的バリア
漫画の紹介に入る前に、なぜ私たちは決断できないのかを整理しておこう。
1. 選択のパラドックス
心理学者バリー・シュワルツが提唱した概念で、選択肢が多すぎると逆に決断できなくなる現象だ。コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授による「ジャム実験」では、24種類のジャムより6種類の方が10倍も購入率が高かったという結果が出ている。
現代社会は選択肢にあふれている。転職サイトには数万件の求人、マッチングアプリには無数の候補者。選べることは幸せなはずなのに、私たちは選べなくなっている。
2. 損失回避バイアス
行動経済学者ダニエル・カーネマンの研究によると、人は利益を得る喜びより、損失を被る苦痛を約2倍強く感じる。「失敗したらどうしよう」という恐怖が、一歩踏み出すことを阻んでいる。
3. 決定疲労
スタンフォード大学の研究では、意思決定を繰り返すほど判断力が低下することが示されている。1日の終わりに重要な決断を先送りしてしまうのは、脳のエネルギーが枯渇しているからだ。
これらの心理的バリアを理解した上で、漫画の主人公たちがどのように決断を下しているか見ていこう。物語を通じて「決断のパターン」を学ぶことは、実際の意思決定にも役立つはずだ。
決断力が身につく漫画10選
1. 宇宙兄弟(小山宙哉)——「遅すぎる」は幻想だと教えてくれる
31歳で会社をクビになった六太(ムッタ)が、子どもの頃の夢——宇宙飛行士になることを目指す物語。
この作品が教えてくれるのは「始めるのに遅すぎることはない」ということだ。六太は弟のヒビトがすでに宇宙飛行士として活躍する中、ゼロから挑戦を始める。「もう30過ぎてるし」「今さら無理だ」という言い訳を、物語は静かに、しかし力強く否定してくれる。
決断を妨げる最大の敵は「タイミングが悪い」という言い訳かもしれない。宇宙兄弟を読むと、「今がベストタイミングだ」と思えるようになる。
2. ブルーピリオド(山口つばさ)——「損得」を超えた選択
成績優秀でリア充な高校生・矢口八虎が、美術に出会い、東京藝術大学という超難関を目指す物語。マンガ大賞2020を受賞した話題作だ。
「安定した進路を捨てて、合格率が極めて低い藝大を目指すなんて」——周囲からの反対は当然ある。しかし八虎は「好きなもの」を見つけてしまった。損得を計算すれば、やめておくのが正解かもしれない。でも「好き」という感情は、計算では測れない。
私たちの決断はどうしても損得勘定に左右されがちだ。しかし「好き」を基準にした決断は、たとえ失敗しても後悔が少ない。ブルーピリオドは「何を基準に決めるか」を問いかけてくる。
3. 左ききのエレン(かっぴー/nifuni)——「天才じゃない自分」を受け入れる決断
広告代理店で働くデザイナー・光一と、圧倒的な才能を持つアーティスト・エレン。「天才と凡人」の対比を容赦なく描く作品だ。
この漫画の核心は「才能の限界を認める」という決断にある。光一はどれだけ努力してもエレンには追いつけない。その現実を受け入れた上で、自分なりの居場所を見つけていく。
「諦める」と「受け入れる」は違う。自分の限界を知った上で、それでも前に進む決断——それは逃げではなく、ある種の勇気だ。
4. 凪のお暇(コナリミサト)——「空気を読む」をやめる決断
空気を読みすぎるOL・凪が、過呼吸で倒れたことをきっかけに会社を辞め、彼氏と別れ、郊外のアパートで「お暇」生活を始める物語。
現代社会では「空気を読む」ことが暗黙のルールになっている。しかし凪は「自分を殺して周囲に合わせる」生き方を続けた結果、心身ともに限界を迎えた。
「全部やめる」という極端な決断に見えるが、凪がやったのは「優先順位のリセット」だ。他人の目より自分の心を優先する——この決断ができるかどうかで、人生の質は大きく変わる。
5. 重版出来!(松田奈緒子)——「責任を取る」決断
漫画編集者として働く黒沢心の成長物語。小学館漫画賞を受賞した名作だ。
編集者の仕事は「決断の連続」だ。どの作家と組むか、どの企画を通すか、打ち切りにするか続けるか。一つの判断が作家の人生を左右することもある。
この作品が教えてくれるのは「決断には責任が伴う」ということ。しかし同時に「決断を間違えても、次の決断で取り戻せる」というメッセージもある。完璧な決断など存在しない。大事なのは、決断した後にどう行動するかだ。
6. 3月のライオン(羽海野チカ)——孤独の中での決断
孤独な天才棋士・桐山零が、川本家の三姉妹や将棋仲間との関わりを通じて成長していく物語。マンガ大賞2011、講談社漫画賞を受賞している。
将棋は究極の「決断」のゲームだ。一手ごとに無数の可能性から一つを選び、その結果を引き受ける。零は将棋盤の上で、そして人生でも、「自分で選ぶ」ことを学んでいく。
この作品のもう一つのテーマは「助けを求める決断」だ。一人で抱え込むのではなく、誰かに頼ること。それもまた重要な決断であることを、物語は教えてくれる。
7. 銀の匙 Silver Spoon(荒川弘)——「やりたいことがわからない」からの決断
受験競争から逃げ出した主人公・八軒が、北海道の農業高校で「食」と「命」に向き合いながら成長する物語。『鋼の錬金術師』の荒川弘による傑作だ。
八軒は進路に悩んでいる。夢がない。やりたいことがわからない。しかし農業高校での経験を通じて、「何がしたいか」よりも「何ができるか」「何に価値を感じるか」を見つけていく。
「やりたいことがないと決められない」と思いがちだが、行動しながら見つけていくこともできる。銀の匙は「走りながら考える」決断のあり方を教えてくれる。
8. GIANT KILLING(ツジトモ/綱本将也)——リーダーとしての決断
弱小プロサッカークラブを率いる監督・達海猛の物語。「番狂わせ」を意味するタイトル通り、意表をつく戦略で強豪を倒していく。
監督という立場は「決断を委ねられない」存在だ。誰を起用するか、どんな戦術で臨むか、すべて自分で決めなければならない。しかも結果は数万人のサポーターの前で晒される。
達海が見せるのは「根拠のある決断」だ。データ、観察、直感を組み合わせ、最善と思える選択をする。そして結果がどうあれ、次に活かす。リーダーの決断とはこういうものだと、この作品は教えてくれる。
9. ドラゴン桜(三田紀房)——「無理だ」を覆す決断
偏差値36の高校生を東京大学に合格させる——そんな「無謀」な挑戦を描いた作品。第29回講談社漫画賞、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞している。
この作品の本質は「勉強法」ではない。「無理だと思われることに挑戦する決断」だ。周囲の「絶対無理」という声、自分の中の「どうせダメだ」という声。それらを振り切って一歩踏み出すことの大切さを、ドラゴン桜は教えてくれる。
研究によると、「できる」と信じることで実際のパフォーマンスが向上する(自己効力感理論)。決断の前に「無理だ」と思うか「できるかも」と思うかで、結果は大きく変わる。
10. インベスターZ(三田紀房)——リスクと向き合う決断
成績トップで入学した中高一貫校の「投資部」で3,000億円を運用する少年の物語。『ドラゴン桜』の三田紀房による経済漫画だ。
投資は「不確実な未来に対して決断を下す」行為の連続だ。絶対に正解がわかる投資など存在しない。それでも情報を集め、分析し、最善と思える判断を下す。そして結果を引き受ける。
この作品が教えてくれるのは「リスクを取らないこともリスク」だということ。現状維持という選択も、実は大きなリスクを伴っている。すべての選択にはトレードオフがあることを理解した上で、決断することの大切さを学べる。
漫画から学ぶ「決断力」を高める5つのヒント
10作品を通じて見えてきた、決断力を高めるためのヒントを整理しよう。
1. 「正解」を探さない
『凪のお暇』の凪、『左ききのエレン』の光一が教えてくれるのは、「正解」など存在しないということ。どんな選択にもメリットとデメリットがある。大切なのは「自分が納得できるか」だ。
2. 「遅すぎる」と思わない
『宇宙兄弟』の六太は31歳から夢に挑戦した。心理学でも「何歳からでも変われる」という成長マインドセットの重要性が示されている。「もう遅い」は、たいてい言い訳だ。
3. 小さな決断から練習する
『銀の匙』の八軒は、大きな進路を決める前に、農業高校での日々の選択を通じて「決める力」を養っていった。まずはランチのメニューを3秒で決める、買い物で迷ったら直感で選ぶ、など小さな練習から始めよう。
4. 失敗を「終わり」と思わない
『重版出来!』の黒沢心、『GIANT KILLING』の達海猛が見せるのは、「決断を間違えても次で取り戻せる」という姿勢だ。一つの決断ですべてが決まるわけではない。軌道修正する覚悟があれば、恐れずに進める。
5. 助けを求めることも決断
『3月のライオン』の零が学んだように、「一人で決めなければ」と思い込む必要はない。信頼できる人に相談すること、その選択肢を選ぶこと自体が重要な決断だ。
編集長としての個人的な話
私自身、決断が得意なタイプではなかった。
大手出版社で働いていた頃、企画会議で自分の意見を言えずに終わることが何度もあった。「この企画は通らないかも」「反対されたら嫌だ」——そんな恐れが先に立っていた。
独立を決めたのは35歳のとき。妻に「やってみたら」と背中を押されたのがきっかけだった。正直、不安だらけだった。安定した収入を手放すこと、失敗したらどうしようという恐怖。
でも『宇宙兄弟』の六太の言葉を思い出した。「It’s a piece of cake!(楽勝だよ)」——全然楽勝じゃなくても、そう言い聞かせることで一歩踏み出せる。
今、5歳の息子を見ていると「決断」の原型のようなものを感じる。彼は「やりたい」と思ったことを迷わず選ぶ。大人になるにつれて、私たちは「考えすぎる」ようになったのかもしれない。
まとめ:読むことで「決断のパターン」を学ぶ
決断力は、筋肉のように鍛えることができる。
漫画を読むことは、主人公の決断を「疑似体験」することだ。六太が宇宙飛行士を目指す決断、八虎が藝大を目指す決断、凪が「お暇」を取る決断——それらを追体験することで、私たちの中に「決断のパターン」が蓄積されていく。
心理学では、これを「代理経験による自己効力感の向上」と呼ぶ。他者の成功体験を見ることで、「自分にもできるかもしれない」という感覚が育まれる。
迷ったとき、立ち止まってしまったとき、ここで紹介した10作品のどれかを手に取ってみてほしい。物語の中の決断が、あなたの背中を押してくれるはずだ。
決断力を高めることに興味があれば、行動経済学の視点から投資判断を学べる投資漫画おすすめ15選も参考になるだろう。
また、決断の前提となる「自分を信じる力」については自己肯定感漫画おすすめ10選も読んでみてほしい。
最後に、今回の10作品の中から一冊選ぶなら、私は『宇宙兄弟』をおすすめしたい。「It’s a piece of cake!」——この言葉を、いつか息子にも教えてやりたいと思っている。
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