子供と哲学する漫画おすすめ5選!考える力を育てる親子対話の入り口
「パパ、なんで人は生きてるの?」
5歳の娘から突然聞かれたとき、私は言葉に詰まりました。外資系コンサルタント時代には数字やロジックで説明することが得意だったはずなのに、この問いには答えられなかった。というより、答えがないのです。
P4C(子どものための哲学)に関する研究によると、生育段階初期に推論方法を教えることで、認知的・学術的能力が飛躍的に高まることがわかっています。オーストラリアでは1990年代後半、P4Cを導入した小学校で数学・理科・国語の学力向上が確認されました。
2児の父である私が、実際に娘と一緒に読んでいる哲学漫画を5冊ご紹介します。「答えのない問い」に向き合う力こそ、AIが発達するこれからの時代に必要な能力だと考えています。
なぜ漫画で哲学を学ぶのが効果的なのか
P4Cが証明する「考える力」の育成効果
「哲学なんて難しすぎる」と思っていませんか。実は、子供こそ哲学に向いているのです。
発達心理学者ジャン・ピアジェは、批判的思考は11〜12歳以降に身につくと考えました。しかし、東洋経済education×ICTの記事によると、初等教育の初期段階から哲学的探究を行うことは子供にとって有益だという根拠が多く報告されています。
2003年、宮崎県の公立小学校で日本初のP4C(Philosophy for Children)授業が実施され、論理的推論スキルの育成効果が確認されました。P4Cは単なる知識の詰め込みではなく、「考える力」そのものを育てる教育なのです。
漫画が脳に与える学習効果
別府大学の研究(2017年)によると、学習マンガで提示を行った方が、学習内容の理解は3週間後まで保持されやすいことがわかっています。ストーリーとイラストの組み合わせが、理解や記憶といった認知的処理を深く行わせるのです。
また、日本教育工学会の研究では、マンガによるストーリー部分を提示することが成績を有意に高めることが明らかになりました。
哲学という抽象的なテーマも、漫画なら視覚的に理解でき、キャラクターに感情移入しながら「考える」体験ができます。
子供と哲学する漫画おすすめ5選
1. 200万部突破のベストセラー:『漫画 君たちはどう生きるか』
1937年に出版された吉野源三郎の名著を、羽賀翔一が漫画化した作品です。2017年の発売から累計200万部を突破し、2018年のベストセラー総合1位を獲得しました。
主人公は中学2年生のコペル君。いじめ、友情、貧困といった身近なテーマを通じて、「人間としてどう生きるべきか」を考えます。叔父さんとの対話形式で物語が進むため、親子で読んで話し合うのに最適です。
5歳の娘にはまだ難しい内容ですが、私自身がまず読んで「どう生きるか」を考えるきっかけになりました。子供が小学校高学年になったら、一緒に読みたいと思っています。
2. 哲学者が書いた対話形式の入門書:『子どものための哲学対話』
哲学者・永井均による対話形式の哲学入門書です。「友だちって何?」「勉強しなきゃいけないの?」など、子供が抱く素朴な疑問を哲学的に掘り下げていきます。
内田かずひろのかわいいイラストが随所に入っているため、絵本のように楽しく読めます。対話形式なので、「この答え、どう思う?」と子供に問いかけやすいのもポイントです。
娘との会話で「なんで勉強するの?」と聞かれたとき、『子どものための哲学対話』の内容を参考に一緒に考えました。「答え」を教えるのではなく、「一緒に考える」姿勢が大切だと気づかされました。
3. 5歳から始められる親子会話ガイド:『5歳からの哲学』
現役の小学校教諭と大学の哲学教授が共同執筆した実践的な一冊です。タイトル通り、5歳から哲学的思考を育てるための具体的な会話例が豊富に紹介されています。
「リンゴは赤い?」という単純な問いから、「見えないものは存在する?」といった深い問いまで、子供の発達段階に合わせた哲学対話の方法がわかります。
5歳の娘と実際に試してみると、思いもよらない答えが返ってくることがあります。「大人の常識」を覆されるこの体験こそ、親子で哲学する醍醐味だと感じています。
4. 世界的ベストセラーの漫画版:『グラフィック版 ソフィーの世界』
世界67言語に翻訳されたベストセラー『ソフィーの世界』のグラフィック版です。14歳の少女ソフィーのもとに届く謎の手紙から、哲学の歴史を旅する物語が始まります。
ソクラテス、プラトン、デカルト、カントなど、哲学史上の重要人物と思想を視覚的に学べます。難しい漢字にはルビが付いているため、中学生から読み始められます。
上下巻で哲学史を網羅しているので、「哲学って何?」という疑問に包括的に答えてくれる一冊です。親が先に読んでおくと、子供への説明がしやすくなります。
5. 86の問いで日常から哲学する:『子どもテツガク』
NHK Eテレの哲学番組で指南役を務める哲学者・小川仁志による子供向け哲学本です。「なんで学校に行くの?」「お金があれば幸せ?」など、日常の86の「なぜ?」を哲学的に考えます。
イラストが豊富でポップな雰囲気なので、哲学に抵抗感がある子供でも手に取りやすいです。各問いは短くまとめられているため、毎日少しずつ読み進められます。
5歳の娘と一緒に見ていると、「この質問、私も気になる!」と目を輝かせることがあります。子供の「なぜ?」を哲学的に深める入り口として最適です。
哲学漫画比較表:年齢別おすすめ
| 書籍 | 対象年齢 | 特徴 | こんな親子におすすめ |
|---|---|---|---|
| 漫画 君たちはどう生きるか | 小学高学年〜 | 200万部ベストセラー | 生き方について考えたい |
| 子どものための哲学対話 | 小学生〜 | 対話形式で読みやすい | 哲学入門として |
| 5歳からの哲学 | 5歳〜 | 親子会話のガイド | 低年齢から始めたい |
| グラフィック版 ソフィーの世界 | 中学生〜 | 哲学史を網羅 | 本格的に学びたい |
| 子どもテツガク | 小学生〜 | 86の問いで考える | 日常から哲学したい |
子供の考える力を育てる3つのコツ
コツ1:「なぜ?」を否定しない
子供の「なぜ?」は、しばしば大人を困らせます。「なんで空は青いの?」「死んだらどうなるの?」これらは科学では完全には答えられない、まさに哲学的な問いです。
P4Cでは「知的な安全性」が重視されます。どんな問いも否定されない環境があってこそ、子供は自由に考えることができるのです。「いい質問だね」と受け止め、「パパにもわからないな、一緒に考えてみよう」という姿勢が大切です。
コツ2:漫画を読んだ後に「対話」する
漫画を読んだら、必ず感想を話し合う時間を作っています。「コペル君の気持ち、わかる?」「ソフィーだったら、あなたはどうする?」と問いかけるだけで、子供は考え始めます。
脳科学の研究によると、10歳から18歳にかけて論理的思考を司る前頭葉が発達します。この時期に「考える」体験を重ねることで、思考力の土台が築かれるのです。
コツ3:日常を「哲学する」習慣
哲学は難しい本を読むことだけではありません。「今日の夕飯、何が食べたい?」から始めて、「なんでそれが食べたいの?」「おいしいって何?」と掘り下げていく。日常の何気ない会話が、哲学の入り口になります。
5歳の娘との会話で、「友達って何?」と聞いてみたことがあります。「一緒に遊ぶ人」という答えから、「じゃあ一緒に遊ばない日は友達じゃないの?」と続けると、娘は真剣に考え始めました。この「考える」時間こそが、哲学の本質だと感じています。
まとめ:親子で「考える」時間を大切に
AIが発達し、多くの「答え」が瞬時に手に入る時代になりました。しかし、「どう生きるか」「何が正しいか」といった問いには、AIも答えを出せません。
今回紹介した5冊の中で、最初の1冊を選ぶなら『5歳からの哲学』をおすすめします。親子で哲学対話を始めるための具体的なガイドが豊富で、実践しやすいからです。
もう少し深く学びたい方は『漫画 君たちはどう生きるか』を。200万部突破の実績が示す通り、子供から大人まで「どう生きるか」を考えさせてくれる名作です。
5歳の娘、2歳の息子と一緒に、答えのない問いに向き合う時間を大切にしています。「考える力」は、これからの時代を生きる子供たちに贈る最高の財産だと信じています。
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