環境漫画おすすめ10選!SDGsと地球の未来を学ぶ傑作ガイド【2026年版】
2050年までにカーボンニュートラルを目指す時代。環境問題への関心がかつてないほど高まっている。
私は年間200冊以上の本を読む編集長として、様々なジャンルの書籍に触れてきた。その中で気づいたのは、環境問題を学ぶ入口として「漫画」が非常に優れているということだ。特にSF作品は、環境破壊の行き着く先を鮮烈に描き出し、読者に深い問いを投げかけてくる。
4歳の息子と公園で遊んでいると、「この木、100年後もあるの?」と聞かれることがある。その問いに答えるために、私自身が環境について深く考えるきっかけをくれたのも漫画だった。
今回は、環境・SDGsをテーマに含む漫画を「宇宙・地球環境を考える漫画」「環境破壊後の未来を描く漫画」「自然との共生を描く漫画」の3カテゴリに分けて10作品を紹介する。
宇宙・地球環境を考える漫画
まずは、宇宙という壮大なスケールから地球環境を見つめ直す作品を紹介する。
1. プラネテス
宇宙開発が進んだ2070年代、主人公たちは「スペースデブリ」と呼ばれる宇宙ゴミの回収を仕事としている。地球の軌道上には、使用済みのロケット部品や人工衛星の破片が無数に浮遊しており、これらは宇宙船との衝突事故を引き起こす危険因子となっている。
この作品が秀逸なのは、宇宙開発という夢のある話題の裏側に潜む「持続可能性の問題」を正面から描いている点だ。地球上の環境問題と同様に、人類の活動は宇宙空間にも「ゴミ」を生み出し続けている。作者の幸村誠は、この問題を通じて「発展とは何か」「責任ある行動とは何か」を問いかけてくる。
宇宙に対する純粋な憧れと、環境への責任感が同居する稀有な作品だ。
2. 宇宙兄弟
子供の頃に宇宙飛行士になることを誓った兄弟、六太と日々人の物語。弟が先に夢を叶えてしまった兄が、遅れて宇宙飛行士を目指す姿を描く。
一見すると環境漫画とは思えないかもしれない。しかし、この作品には「地球を外から見る」という体験が持つ意味が繰り返し描かれている。宇宙から地球を見た飛行士たちが感じる「オーバービュー効果」、それは地球という惑星の美しさと儚さを同時に認識する体験だ。
実際の宇宙飛行士たちの多くが環境問題への関心を深めるのは、この視点の変化によるものだという。『宇宙兄弟』は、その感覚を読者にも追体験させてくれる。
3. 銀河鉄道999
松本零士による不朽の名作。機械の体をタダでくれるという星を目指して、少年・鉄郎が銀河鉄道999号で宇宙を旅する。
この作品の環境的テーマは「機械化」と「人間性」の対比にある。機械の体を手に入れることで永遠の命を得られる世界観の中で、「自然な生」とは何かが繰り返し問われる。それは現代の技術文明と自然環境の関係性に対する問いかけでもある。
また、旅の途中で訪れる様々な星々は、環境破壊や文明の崩壊を経験したものも多く、地球の未来を暗示するエピソードも含まれている。
4. 地球へ…
竹宮惠子によるSF大作。環境破壊によって住めなくなった地球を離れ、コンピュータに管理された社会で生きる人類。その中で生まれた超能力を持つ新人類「ミュウ」たちが、人類の故郷である地球を目指す物語。
1970年代に描かれたこの作品は、環境破壊による地球離脱という設定を持つ先駆的SF。人間と自然、人間とテクノロジーの関係を深く掘り下げ、第9回星雲賞コミック部門を受賞した。
環境破壊後の未来を描く漫画
続いて、環境破壊や災害後の世界を舞台にした作品を紹介する。これらは「もし環境問題を放置したら」という問いに対する壮絶な回答となっている。
5. Dr.STONE
全人類が謎の光で石化し、約3700年が経過した世界。科学少年・千空が石化から目覚め、ゼロから文明を再建しようとする壮大な物語。
この作品の魅力は、「科学の発展」を肯定的に描きながらも、自然環境との関係を常に意識している点にある。石化から目覚めた人類がいない3700年の間に、地球の自然は完全に回復している。その美しい自然環境の中で、千空たちは再び科学文明を築いていく。
「科学は人類を幸せにするか」という問いに対して、『Dr.STONE』は「正しく使えば」という条件付きの肯定を示す。環境問題を考える上で、科学技術との付き合い方を学べる作品だ。
6. 7SEEDS
巨大隕石の衝突により人類がほぼ絶滅した未来。選ばれた若者たちが冷凍保存から目覚め、激変した地球環境でサバイバルを強いられる。
田村由美による全35巻の大作は、環境激変後の地球をリアルに描き出す。かつて日本だった場所は、気候変動により全く異なる生態系に置き換わっている。登場人物たちが直面する過酷な環境は、気候変動が進行した未来の地球の姿を想像させる。
「7SEEDS計画」という名前自体が、種子を保存することで植物を未来に残す取り組みを想起させる。実際にノルウェーのスヴァールバル世界種子貯蔵庫は、まさにこの発想で運営されている。
7. 火の鳥
手塚治虫のライフワークとして知られる『火の鳥』は、過去から未来までの膨大な時間軸の中で「生命とは何か」を問い続ける作品。
特に「未来編」「復活編」などでは、環境破壊によって滅びゆく地球や、人類の愚かさが繰り返し描かれる。不死鳥は再生の象徴であり、どれほど文明が滅びても生命は続いていくという希望と、同時に人類への警告が込められている。
漫画の神様が生涯をかけて描いた環境と生命への眼差しは、時代を超えて読者の心に響く。
自然との共生を描く漫画
最後に、人間と自然の関係性を静かに、しかし深く描いた作品を紹介する。
8. 蟲師
「蟲」と呼ばれる、動物でも植物でもない原初の生命体。それらと人間の関わりを描く連作短編集。主人公のギンコは「蟲師」として各地を旅し、蟲によって引き起こされる怪異を解決していく。
この作品が描く自然観は、日本古来の里山的な共生の思想に根ざしている。蟲は善でも悪でもなく、ただ存在している。人間がその存在を理解し、適切な距離を保つことで共存が可能になる。
環境問題を「征服」や「保護」ではなく「共生」の視点から捉える感性を養える稀有な作品だ。
9. もやしもん
農業大学を舞台に、菌が肉眼で見えるという特殊能力を持つ主人公・沢木惣右衛門直保の物語。発酵食品や微生物の世界を楽しく学べる異色の漫画。
環境問題を考える上で、微生物の存在は極めて重要だ。土壌の分解者として、発酵食品の製造者として、微生物は人間の生活を支えている。『もやしもん』は、目に見えないこの小さな生き物たちへの理解を深めてくれる。
「かもすぞ」という可愛らしい菌たちのセリフは、微生物を身近に感じさせる魔法の言葉だ。
10. へんなものみっけ!
市役所から自然史博物館に異動してきた主人公が、博物館の仕事や生き物の不思議に触れていく物語。
生物多様性という言葉を聞いてもピンとこない人は多いだろう。しかしこの作品を読むと、一つ一つの生き物がいかに独自の進化を遂げ、生態系の中で役割を果たしているかが実感できる。博物館の標本一つ一つに込められた物語を知ることで、自然への敬意が芽生える。
環境教育の入口として、子供から大人まで楽しめる作品だ。
環境漫画から得られる3つの教訓
これらの作品を読み通して、私は3つの教訓を得た。
1. 環境問題は「現在」の問題である SF作品が描く未来は、決して遠い話ではない。『7SEEDS』の気候変動、『プラネテス』の宇宙ゴミ問題は、すでに現実として進行している。
2. 科学技術は道具であり、使い方次第 『Dr.STONE』が示すように、科学は環境を破壊することも、再生することもできる。重要なのは、どのような目的で使うかだ。
3. 共生の視点が不可欠 『蟲師』『もやしもん』が描くように、人間は自然の一部であり、征服者ではない。この感覚を取り戻すことが、持続可能な未来への第一歩となる。
まとめ
環境漫画は、複雑な環境問題を感情に訴える形で伝えてくれる。データや論文では伝わりにくい「このままではいけない」という危機感や、「変えていける」という希望を、物語の力で読者の心に届けてくれる。
息子が「この木、100年後もあるの?」と聞いたとき、私は「守っていこうね」と答えた。その約束を果たすために、まずは知ることから始めよう。漫画という入口は、決して軽いものではない。
SDGs達成目標年である2030年まであと数年。環境問題を自分事として考える最初の一歩として、ぜひこれらの作品を手に取ってほしい。
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