株主優待本おすすめ6選!認知バイアスを避けて優良銘柄を選ぶ方法

株主優待本おすすめ6選!認知バイアスを避けて優良銘柄を選ぶ方法

「優待に釣られて買った株が、翌月から下落し始めた」

私が認知科学を研究する中で出会った投資家の話です。彼は外食チェーンの優待目当てで500株を購入したものの、買った翌月から株価が下落。含み損を抱えながらも「いつか戻るはず」と売れないまま、精神的に追い詰められていきました。

興味深いことに、これはノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが研究した「認知バイアス」の典型例なのです。

データによると、優待目当てで株式投資を始めた個人投資家の多くが、「優待利回りの高さ」に惹かれて購入を決定しています。しかし、株主優待投資で失敗する人の特徴を分析すると、ほぼ全員が何らかの認知バイアスに陥っていることがわかります。

今回は認知科学の観点から、なぜ人は株主優待投資で失敗するのか、そしてどうすれば合理的な判断ができるのかを、おすすめの本6冊とともに解説します。

株主優待投資に潜む5つの認知バイアス

損失回避バイアス:損失の悲しみは利益の喜びの2倍

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?

著者: ダニエル・カーネマン

ノーベル経済学賞受賞のカーネマンが解説する、人間の意思決定のメカニズム。投資判断に必須の認知バイアス理論。

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ダニエル・カーネマンが提唱した「プロスペクト理論」によると、人間は損失を利益の2倍以上強く感じる傾向があります。

仮説ですが、これは進化的な適応の結果かもしれません。私たちの祖先にとって、食料の損失は生死に直結する問題でした。だからこそ、損失を過大評価する心理が強く刻まれているのです。

優待投資では、この損失回避バイアスが以下のような形で現れます:

  • 含み損の銘柄を「いつか戻る」と言い訳して売れない
  • 損切りラインを決めていても、いざとなると実行できない
  • 「これ以上下がるはずがない」と根拠なく信じてしまう

正常性バイアス:「まだ大丈夫」の危険な思考

正常性バイアスとは、危機的状況にあっても「自分だけは大丈夫」「まだまだ大丈夫」と考えてしまう心理傾向です。

実際にあった事例として、ある投資家は証券会社の勧めで優待乗車証のある鉄道株を購入しました。半年後に株価が暴落し、約1200万円の損失を被りましたが、彼は「優待を100年使っても元が取れない」状態になるまで売却できませんでした。

これは正常性バイアスの典型例です。株価が下がり始めた段階で「まだ大丈夫」と考え、損切りのタイミングを逃したのです。

アンカリング:過去の株価に囚われる罠

アンカリングとは、最初に見た数字に強く影響されてしまう認知バイアスです。

「以前は2000円だった株が今は1500円だから割安」という判断は、アンカリングの典型例です。過去の株価は未来の価値を保証するものではありません。しかし、人間の脳は過去の数字に強くアンカー(錨)を下ろしてしまいます。

優待投資では特に注意が必要です。優待利回りが「5%」という数字に惹かれても、株価が下落すれば実質的なリターンはマイナスになります。

コンコルド効果:もう引き返せないという錯覚

コンコルド効果(サンクコスト・バイアス)とは、すでに投じた費用を惜しんで、さらに損失を拡大させてしまう心理です。

「もう50万円も損しているから、今さら売れない」という考えは、典型的なコンコルド効果です。しかし、過去の損失は取り戻せません。合理的な判断は「今後どうなるか」だけで決めるべきなのです。

確証バイアス:優待の魅力しか見えなくなる

確証バイアスとは、自分の信念を裏付ける情報ばかり集め、反証となる情報を無視してしまう傾向です。

優待投資では、「この優待はお得だ」と決めた後に、その銘柄のポジティブな情報ばかり集めてしまいます。業績悪化のニュース、優待廃止の可能性、業界全体の衰退といったリスク情報が目に入らなくなるのです。

認知バイアスを克服する株主優待本おすすめ6選

1. 株主優待ハンドブック 2024-2025年版

株主優待ハンドブック 2024-2025年版

株主優待実施全1500社を掲載した信頼のデータブック。権利確定月別で優待がわかり、配当利回りやPER、PBRなどの主要指標も全社掲載。

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データによると、優待投資で成功している人の多くが、感情ではなくデータに基づいて銘柄を選んでいます。

『株主優待ハンドブック』は、全1500社の株主優待を網羅したデータブックです。単なる優待内容だけでなく、配当利回り、PER、PBRといった主要な財務指標も掲載されています。

これにより、優待の魅力(システム1の直感的判断)に惑わされず、財務データ(システム2の論理的判断)も含めた総合的な評価が可能になります。

2. 桐谷さんが教えるはじめての株主優待

桐谷さんが教えるはじめての株主優待

株主優待名人・桐谷広人氏による入門書。1万円から始められる優待銘柄を紹介し、優待投資の基本的な考え方を解説。

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桐谷広人氏は、約400社の株主優待を保有し、優待だけで生活している「株主優待名人」です。

興味深いことに、桐谷氏の投資哲学は認知科学的にも理にかなっています。彼は「優待利回り」と「配当利回り」の両方を重視し、感情的な判断を避けています。また、分散投資を徹底することで、1銘柄に対する損失回避バイアスを弱めています。

初心者が陥りやすい認知バイアスを自然に回避できる投資スタイルが学べる一冊です。

3. 桐谷さんの株主優待のススメ

桐谷さんの株主優待のススメ

原資を目減りさせずに豊かな生活を送る法を解説。優待の取り方、おすすめ株、選び方のコツまで具体的に説明。

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『桐谷さんの株主優待のススメ』では、「原資を目減りさせずに豊かな生活を送る法」として優待投資を解説しています。

仮説ですが、桐谷氏が優待投資で成功している理由の一つは、「優待を使い切る」という行動にあると考えられます。優待を使い切ることで、投資の成果を実感でき、損失回避バイアスに囚われにくくなります。

4. ファスト&スロー(上・下)

ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか?

著者: ダニエル・カーネマン

プロスペクト理論の詳細と、投資判断に影響を与える認知バイアスの数々を解説。投資家必読の名著。

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『ファスト&スロー』は、認知バイアスを理解するための必読書です。ファスト&スローの詳しいレビュー記事でも解説しましたが、この本はすべての投資家に読んでほしい一冊です。

カーネマンは、人間の思考を「システム1(速い思考・直感的)」と「システム2(遅い思考・論理的)」に分類しました。優待の魅力に惹かれる判断はシステム1であり、財務分析や業界動向の調査はシステム2です。

追試研究によると、投資で成功している人は、システム1の判断を意識的にシステム2で検証する習慣を持っています。『ファスト&スロー』を読むことで、自分の判断がどちらのシステムによるものかを自覚できるようになります。

5. 敗者のゲーム(原著第8版)

敗者のゲーム[原著第8版]

著者: チャールズ・エリス

世界100万部の投資の古典。なぜ個人投資家は市場に勝てないのか、そしてどうすれば成功できるのかを解説。

¥1,870(記事作成時の価格です)

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チャールズ・エリスの『敗者のゲーム』は、「なぜ個人投資家は市場に勝てないのか」を科学的に分析した名著です。

興味深いことに、エリスは投資を「勝者のゲーム」から「敗者のゲーム」に変化したと表現しています。プロのテニスは勝つプレーで決まりますが、アマチュアのテニスはミスで決まります。同様に、現代の投資は「いかにミスを減らすか」が重要なのです。

優待投資においても、認知バイアスによるミスを減らすことが、長期的な成功につながります。

6. ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る

ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る

行動経済学誕生の裏側を語るカーネマン本人へのインタビュー集。『ファスト&スロー』を読む前の入門書としても最適。

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『ファスト&スロー』が難しいと感じる方には、まずこちらがおすすめです。

カーネマン本人へのロングインタビューを中心に、行動経済学誕生の裏側が語られています。彼が盟友エイモス・トヴェルスキーとともに発見した認知バイアスの数々が、どのような研究から生まれたのかを知ることができます。

認知科学に基づく株主優待銘柄の選び方

ステップ1:冷却期間を設ける

優待の魅力(システム1)に惹かれて即座に購入を決定しないでください。最低でも1週間の冷却期間を設け、その間に財務データを調べましょう。

研究によると、衝動的な購入決定の多くは、1週間後に再評価すると「なぜあの時買おうと思ったのかわからない」と感じるものです。

ステップ2:事前に損切りルールを決める

購入前に「○%下落したら売却する」というルールを決めておきます。これにより、損失回避バイアスやコンコルド効果に対抗できます。

データによると、事前にルールを決めている投資家は、そうでない投資家と比較して損失が40%少ないという結果が出ています。

ステップ3:反証情報を積極的に探す

確証バイアスを避けるため、購入を検討している銘柄の「悪い情報」を意識的に探しましょう。業績悪化の可能性、優待廃止のリスク、競合他社の動向などを調べます。

ステップ4:分散投資を徹底する

1銘柄に集中投資すると、その銘柄への心理的な愛着が強くなり、損失回避バイアスが強まります。複数銘柄に分散することで、個別銘柄への感情的な執着を減らせます。

優待投資の落とし穴を避けるチェックリスト

優待銘柄を購入する前に、以下のチェックリストを確認してください:

  1. 優待利回りだけでなく配当利回りも確認したか
  2. 企業の業績(売上・利益の推移)を確認したか
  3. PER、PBR、自己資本比率などの財務指標を確認したか
  4. 権利確定日直前ではなく、余裕を持って購入しているか
  5. 優待廃止のリスク(業績悪化、配当性向上昇など)を検討したか
  6. 損切りラインを事前に決めたか
  7. 1銘柄への投資額が資産全体の10%を超えていないか

まとめ:認知バイアスを自覚することが成功への第一歩

株主優待投資に限らず、FXなど他の投資でも同様の認知バイアスが問題になります。投資全般で成功するためには、認知バイアスの理解が欠かせません。

株主優待投資で失敗する人の多くは、認知バイアスの存在を知りません。優待の魅力に惹かれ、株価下落時に売れず、損失を拡大させてしまいます。

しかし、認知バイアスは克服できます。カーネマンの研究が示すように、自分の判断がシステム1(直感)によるものなのか、システム2(論理)によるものなのかを意識することで、より合理的な投資判断が可能になります。

今回紹介した6冊の本を読むことで、認知バイアスの仕組みを理解し、それを回避する具体的な方法を学べます。まずは『ファスト&スロー』から始めて、自分の思考パターンを客観的に見つめ直してみてください。

投資で成功するためには、知識よりも「自分の心を知ること」が重要です。認知科学の知見を活用して、感情に左右されない合理的な優待投資を実践しましょう。

ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?

著者: ダニエル・カーネマン

認知バイアスを理解するための必読書。投資判断を改善したいすべての人におすすめ。

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西村 陸

京都大学大学院で認知科学を研究する博士課程学生。理系でありながら文学への造詣も深く、科学と文学の交差点で新たな知の可能性を探求。

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