芸術漫画おすすめ!創造性研究エビデンスで読む美的体験が脳に与える健康効果5選
「アイデアが浮かばない」「創造性が足りない」
仕事や日常生活でこうした悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。興味深いことに、文化庁の調査によると、日本人の約8割が創作活動や芸術参加をしていないというデータがあります。しかし実は、美的体験は脳の健康と創造性に大きな影響を与えることが、神経科学の研究で明らかになっています。
脳科学の研究では、芸術に触れることで「デフォルトモードネットワーク」という創造性に関わる脳の回路が活性化することがわかっています。芸術漫画を読むことは、この脳内ネットワークを刺激し、創造的思考を促進する効果的な方法なのです。
なぜ芸術漫画が創造性向上に効果的なのか
芸術漫画が創造性を高める理由は、最新の脳科学の知見で説明できます。
デフォルトモードネットワーク(DMN)と創造性
MBCC(マインドフルネス・ベース・コーチング)の研究レビューによると、脳には「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれる神経回路が存在します。この回路は、ぼんやりしている時や瞑想中に活性化し、創造的なアイデアの源泉となっています。
興味深いことに、アインシュタインが散歩中に相対性理論のアイデアを得たり、山中伸弥教授がシャワー中にiPS細胞のヒントを得たという有名なエピソードは、すべてこのDMNの働きによるものです。リラックス状態で脳が自由に発想できる環境が、創造性を高めるのです。
Lab BRAINSの研究解説では、創造性の高い人は、DMNと実行制御ネットワーク(ECN)、そしてサライアンスネットワークという3つの脳回路を同時に活用できることが示されています。芸術漫画を読むことで、これらの脳回路が連携して働く「創造的な脳の使い方」を疑似体験できるのです。
大学生向けビジネス漫画でも解説した通り、漫画には「状況モデル」を構築しやすいという特性があります。芸術漫画を読むことで、創造的なプロセスが具体的なイメージとして頭の中に描かれ、「自分も創作してみたい」という内発的動機づけが生まれるのです。
美的体験が脳の報酬系を活性化する
慶應義塾大学の川畑秀明教授らの研究によると、美しいものを見たときに脳の眼窩前頭皮質内側部(報酬系)が活性化することがわかっています。この領域が活性化すると、ドーパミンやセロトニンが分泌され、快感や幸福感が生成されます。
さらに驚くべきことに、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究では、月1回30分の美術館訪問で寿命が10年延びる可能性があることが示唆されています。50歳以上で美術館に定期的に通う人は、そうでない人と比べて死亡率が31%低いというデータもあります。
芸術漫画おすすめ5選:創造性研究の視点から選ぶ作品
創造性向上と脳の健康という観点から、特におすすめの芸術漫画を5作品厳選しました。
選定基準:創造性を刺激する3つの要素
芸術漫画を選ぶ際、以下の3つの観点を重視しました。
要素1:創作プロセスが詳細に描かれている
アイデアがどのように生まれ、形になっていくのか。その創造的プロセスが丁寧に描かれている作品は、読者の脳のDMNを刺激し、創造性を高める効果があります。
要素2:美的体験を疑似体験できる
音楽や絵画の「美しさ」が言語化・視覚化されていることで、読者は美的体験を疑似体験できます。これにより脳の報酬系が活性化し、ドーパミンが分泌されます。
要素3:初心者でも芸術の魅力がわかる
専門知識がなくても芸術の魅力が伝わる作品は、新しい趣味を始めるきっかけになります。実際に創作活動を始めることで、さらなる脳の健康効果が期待できます。
1. ブルーピリオド:美術の創造的プロセスを追体験する
山口つばさによる『ブルーピリオド』は、マンガ大賞2020で第1位を獲得した美術漫画の傑作です。
成績優秀でスクールカースト上位にいる高校生・矢口八虎が、ある日一枚の絵に心を奪われ、美術の世界に足を踏み入れる物語。興味深いのは、「なぜこの絵に心を動かされたのか」という美的体験の分析が非常に丁寧に描かれている点です。
投資漫画と行動経済学で解説したように、漫画は抽象的な概念を具体的な場面として理解させる力があります。ブルーピリオドでは、「自分の内面を表現する」という創造的プロセスが、主人公の試行錯誤を通じて可視化されています。
2. BLUE GIANT:音楽への情熱が脳を活性化する
石塚真一による『BLUE GIANT』は、世界一のジャズプレーヤーを目指す青年・宮本大の物語です。
漫画という静止画のメディアで「音楽」を表現するという挑戦的な試みが、この作品の大きな特徴です。演奏シーンでは、音が聞こえてくるような臨場感が描かれ、読者は音楽体験を疑似体験できます。
脳科学の研究では、音楽を聴くことで脳の報酬系が活性化し、ドーパミンが分泌されることがわかっています。この作品を読むことで、ジャズという芸術への興味が喚起され、実際に音楽を聴く習慣につながる可能性があります。
3. ピアノの森:才能と努力の創造的対話
一色まことによる『ピアノの森』は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞した全26巻の大作です。
森の中に捨てられたピアノで独自の演奏法を身につけた天才少年・一ノ瀬海と、正統派のピアニストを目指す雨宮修平の対比が、創造性について深い問いを投げかけます。「型を守ること」と「型を破ること」、どちらが真の創造性なのか。
この問いは、脳科学の研究で示されている「収束的思考」と「発散的思考」の対比と重なります。創造性には、自由な発想(発散)と論理的整理(収束)の両方が必要なのです。
4. のだめカンタービレ:芸術の楽しさを再発見
二ノ宮知子による『のだめカンタービレ』は、第28回講談社漫画賞少女部門を受賞し、ドラマ・映画化もされた人気作です。
変態ピアニスト・野田恵(のだめ)と指揮者を目指す千秋真一のドタバタクラシック音楽コメディ。この作品の魅力は、クラシック音楽という「敷居が高い」と思われがちな芸術を、ユーモアを交えて親しみやすく描いている点です。
芸術療法の研究では、芸術を「楽しむ」ことがメンタルヘルスに大きな効果をもたらすことが示されています。のだめカンタービレは、この「楽しさ」を存分に伝えてくれる作品です。
5. 昭和元禄落語心中:伝統芸能の奥深さに触れる
雲田はるこによる『昭和元禄落語心中』は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第38回講談社漫画賞一般部門を受賞した全10巻の作品です。
刑務所帰りの与太郎が、落語の名人・八雲に弟子入りし、落語の世界に魅了されていく物語。落語という「語り」の芸術が、漫画というビジュアルメディアでどのように表現されるのか、その試みが非常に興味深い作品です。
スポーツ漫画と運動習慣で解説したように、漫画には観察学習の効果があります。この作品を読むことで、落語という伝統芸能への興味が喚起され、実際に寄席に足を運ぶきっかけになるかもしれません。
芸術漫画の効果的な読み方:創造性を高める3つのポイント
芸術漫画を「娯楽」ではなく「創造性トレーニング」として読むために、3つの読み方を提案します。
読み方1:創作シーンで「自分ならどうするか」を考える
キャラクターが創作に取り組むシーンで、「自分ならどんな作品を作るか」を考えてみてください。この「仮想的な創作」は、脳のDMNを活性化させ、創造的思考のトレーニングになります。
実際に絵を描いたり音楽を奏でたりする必要はありません。頭の中で想像するだけでも、脳は創造的なモードに切り替わります。
読み方2:美的体験の瞬間に注目する
キャラクターが「美しい」「感動した」と感じる瞬間に注目してください。なぜそれが美しいのか、作品はどのように表現しているのかを意識的に観察することで、美的感覚が養われます。
川畑教授の研究によると、美的体験を意識的に味わうことで、脳の報酬系がより強く活性化します。「なんとなく良い」ではなく、「なぜ良いのか」を考える習慣が重要です。
読み方3:読後に「ぼんやりする時間」を作る
漫画を読み終えた後、すぐに次の活動に移るのではなく、5〜10分間ぼんやりする時間を作ってみてください。この「余韻を味わう時間」は、DMNが活性化する絶好の機会です。
STUDY HACKERの解説によると、DMNは脳のエネルギー消費の60〜80%を占める重要なネットワークです。ぼんやりすることは、脳にとって決して「無駄な時間」ではなく、創造性を育む大切な時間なのです。
まとめ:漫画で始める科学的に正しい創造性トレーニング
芸術漫画が創造性と脳の健康に効果的な理由を、神経科学の視点から解説しました。
デフォルトモードネットワークの活性化により、創造的なアイデアが生まれやすくなる。脳の報酬系の刺激により、美的体験がドーパミンを分泌させ、幸福感と健康効果をもたらす。観察学習効果により、芸術への興味が喚起され、実際の創作活動につながる。
日本人の8割が創作活動に参加していないというデータがありますが、芸術漫画を読むことは、その最初の一歩として非常に効果的です。まずは今回紹介した作品を手に取り、創造性の扉を開いてみてはいかがでしょうか。
創造性と脳の関係についてより深く学びたい方には、『脳には妙なクセがある』もおすすめです。脳科学者・池谷裕二氏が、脳の不思議な仕組みをわかりやすく解説しています。
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