『文体のひみつ』三宅香帆|要約・感想【なぜあの人の文章は読まれるのか】

『文体のひみつ』三宅香帆|要約・感想【なぜあの人の文章は読まれるのか】

「なんでこの人の文章は、つい読んでしまうんだろう」

そう思ったことはないだろうか。

SNSのタイムラインを流し見しているとき。ブログを読んでいるとき。本屋で立ち読みしているとき。

気づいたら、最後まで読んでいた——。

その「つい読んでしまう」の正体が、文体だ。

『文体のひみつ』を読んで、文章を書く意識が変わった。

『文体のひみつ』とは

文体のひみつ なぜあの人の文章はつい読んでしまうのか?

著者: 三宅香帆

三宅香帆著。村上春樹、星野源、清少納言まで、時代を超えた「読まれる文体」の秘密を解き明かす。サンクチュアリ出版刊。

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著者の三宅香帆さんは、1994年生まれの文芸評論家。

2025年には『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で新書大賞2025を史上最年少で受賞している。

本書は、2019年に刊行された『バズる文章教室』に加筆修正を施し、新たなコンセプトで再編集したもの。発売後たちまち4万5千部を突破した話題作だ。

核心のメッセージ:「正しい文章」より「読まれる文体」

本書のテーマは、この一文に集約される。

正しくてわかりやすいだけでは届かない「人の心を動かす言葉」の技術

文法的に正しい文章は書ける。わかりやすい文章も書ける。

でも、「読まれる」かどうかは別問題だ。

私もフリーライターとして文章を書いている。「正しい文章」は書けるつもりだ。

でも、「つい読んでしまう文章」が書けているかと言われると、自信がない。

本書は、その**「読まれる文体」の秘密**を解き明かしてくれる。

本書の構成:4つの「文体力」

本書は4つのチャプターで構成されている。

Chapter 1:惹きつける文体

最初の一文で、読者を惹きつける技術。

  • 星野源の「未熟力」:あえて完璧じゃない姿を見せる
  • 森鷗外の「寄添力」:読者に寄り添う視点を持つ
  • しいたけ.の「誘引力」:読者を物語に引き込む

星野源の文章が「つい読んでしまう」のは、「完璧じゃない自分」を見せているからだという。

共感を生む文体——。それが、惹きつける力になる。

Chapter 2:先を読みたくなる文体

途中で読むのをやめられない技術。

  • 村上春樹の「音感力」:リズムで読者を引っ張る
  • 司馬遼太郎の「撮影力」:映像的な描写で没入させる
  • 谷崎潤一郎の「気分力」:雰囲気で世界観を作る

村上春樹の文章は、音楽のようなリズムがある。

読んでいて気持ちいい。だから、先を読みたくなる。

Chapter 3:説得力を生む文体

読者を納得させる技術。

  • 秋元康の「裏切力」:予想を裏切って印象に残す
  • さくらももこの「配慮力」:読者の気持ちを先回りする
  • こんまりの「豪語力」:断言することで信頼を得る

こんまり(近藤麻理恵)の文章は、「ときめかないものは捨てましょう」と断言する

その「豪語」が、読者に行動を起こさせる。

Chapter 4:記憶に残る文体

読み終わっても忘れられない技術。

  • 俵万智の「合図力」:印象的なフレーズを残す
  • J・K・ローリングの「超訳力」:普遍的なテーマを物語に落とし込む
  • 清少納言の「音合わせ力」:言葉の響きで印象づける

清少納言の「春はあけぼの」が千年経っても残っているのは、言葉の響きが美しいからだ。

私が学んだ3つのポイント

1. 文章がうまい人は「設計」している

「文章を読んでいたのではなくて、著者のテクニックで読まされていたのか?」

本書を読んで、ハッとした。

「つい読んでしまう文章」には、意図的な設計がある。

たまたま面白い文章が書けるわけじゃない。計算された技術があるのだ。

2. 「自分らしさ」は文体に宿る

AI時代になって、「正しい文章」は誰でも書けるようになった。

ChatGPTに頼めば、文法的に正しい文章はすぐに出てくる。

でも、「その人らしさ」は文体にしか宿らない

本書を読んで、自分の文体を磨くことの重要性を感じた。

3. 古典と現代を並べて学ぶ

本書の面白いところは、古典と現代を並列して語っているところだ。

清少納言と星野源。谷崎潤一郎とこんまり。

時代やジャンルを超えて、「読まれる文体」に共通する技術を抽出している。

これは、新しい視点だった。

実践:私が試したこと

本書を読んで、実際に試してみたことがある。

「未熟力」を意識する

星野源のように、「完璧じゃない自分」を見せることを意識してみた。

失敗談を書く。悩んでいることを正直に書く。

すると、読者からの反応が変わった。「共感しました」というコメントが増えた。

「音感力」を意識する

村上春樹のように、文章を「音読」するようになった。

声に出して読んで、リズムが悪いところを直す。

すると、読みやすさが上がった気がする

「豪語力」を意識する

「〜かもしれません」「〜だと思います」という書き方を減らしてみた。

「〜です」「〜しましょう」と断言する。

すると、文章に説得力が出た

注意点:テクニック集ではない

本書は、「すぐ使えるテクニック集」ではない

具体的なテンプレートや、コピペで使えるフレーズは載っていない。

代わりに、「なぜこの文章は読まれるのか」という分析が書かれている。

理論を学んで、自分で実践する——。そういうタイプの本だ。

即効性を求める人には向かないかもしれない。でも、本質的な文章力を身につけたい人には最適だ。

こんな人におすすめ

  • 文章を書く仕事をしている人
  • SNSやブログで発信している人
  • 「読まれる文章」を書きたい人
  • 文章術の本を読んでも成果が出なかった人
  • 古典文学と現代の文章を両方学びたい人

特に、「正しい文章は書けるけど、読まれない」と悩んでいる人に読んでほしい。

「文体」という視点が、突破口になるかもしれない。

まとめ:AI時代こそ「文体」が武器になる

『文体のひみつ』は、AI時代のライティング入門書として読める一冊だ。

AIが「正しい文章」を書ける時代に、人間が磨くべきは「文体」だ。

その人らしさ。読者を惹きつける力。記憶に残る表現。

それらは、文体にしか宿らない。

本書を読んで、自分の文章を見直すきっかけになった。

「つい読んでしまう」文章を書けるようになりたい——。そう思う人に、ぜひ読んでほしい。

文体のひみつ なぜあの人の文章はつい読んでしまうのか?

著者: 三宅香帆

三宅香帆著。新書大賞受賞の文芸評論家が解き明かす「読まれる文体」の秘密。4万5千部突破の話題作。

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森田 美優

出版社勤務を経てフリーライターに。小説からビジネス書、漫画まで幅広く読む雑食系読書家。Z世代の視点から現代的な読書の楽しみ方を発信。

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    元外資系コンサルタントから転身したライター。経済学の知識を活かしながら、健康・お金・人間関係の最適化を追求。エビデンスベースの実践的な知識発信を心がける。

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