『世界秩序が変わるとき』要約|新自由主義終焉と「力の時代」の到来

『世界秩序が変わるとき』要約|新自由主義終焉と「力の時代」の到来

出版社で20年以上、ビジネス書の編集に携わってきた高橋です。

「なぜ今、世界はこれほど混乱しているのか?」

ウクライナ戦争、ガザ紛争、トランプ再選——次々と起こる世界的な変動に、私たちは何を見ているのか。その答えを、金融のプロが明かしたのが『世界秩序が変わるとき』です。

本書は発売から累計15万部を突破。著者は、あのジョージ・ソロスを顧客に持つ伝説のヘッジファンドアドバイザー。金融市場の最前線から見た「世界秩序の転換点」を解説しています。


作品情報|なぜ金融のプロが世界秩序を語るのか

基本情報

  • 作品名: 世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ
  • 著者: 齋藤ジン
  • 出版社: 文藝春秋(文春新書)
  • 発売日: 2024年12月
  • ページ数: 255ページ
  • 価格: 1,050円(税込)

著者について

齋藤ジン氏は、アメリカで長年ヘッジファンド向けの資金運用コンサルタントとして活躍してきた人物。

顧客にはジョージ・ソロスも名を連ねます。ソロスといえば、1992年のポンド危機で「イングランド銀行を破った男」として知られる伝説の投資家。その彼を大儲けさせたアドバイザーが本書の著者です。

金融市場は世界情勢の変化を最も敏感に反映する場所。そこで何十年も戦ってきた著者だからこそ見える「世界秩序の転換点」があります。


本書の核心|新自由主義の終焉

「新自由主義」とは何だったのか

1980年代以降、世界を支配してきた思想が新自由主義(ネオリベラリズム)です。

  • 自由貿易の推進
  • 規制緩和
  • 民営化
  • グローバル化

「市場に任せれば、すべてがうまくいく」——この信念が世界経済を動かしてきました。

なぜ終焉を迎えたのか

本書によれば、新自由主義は以下の矛盾を抱えていました。

1. 格差の拡大 グローバル化の恩恵は一部の富裕層に集中。中間層は縮小し、社会の分断が深まりました。

2. 国家の復権 コロナ禍で「市場」ではなく「国家」が経済を救いました。政府の役割が再評価されています。

3. 地政学の復活 ウクライナ戦争は、経済的相互依存が平和を保証しないことを証明しました。


「力こそ正義」の時代

ゲームのルールが変わった

新自由主義時代のルールは「Win-Win」でした。貿易で皆が豊かになる。経済的相互依存が戦争を防ぐ。

しかし今、そのルールは崩壊しています。

本書が指摘する新しいルールは**「力こそ正義」**。

  • ロシアはウクライナに軍事侵攻
  • 中国は台湾への圧力を強化
  • アメリカは「アメリカ・ファースト」へ回帰

経済ではなく、軍事力・地政学的影響力が国際関係を決定する時代に突入しています。

トランプ再選の意味

本書では、トランプ再選を「新自由主義の棺桶への最後の釘」と表現しています。

  • 保護主義の強化
  • 同盟関係の見直し
  • 二国間取引(ディール)への移行

「ルールに基づく国際秩序」から「力による秩序」への転換が決定的になりました。


日本への警告

無防備な日本

本書は日本に対して厳しい警告を発しています。

「日本は新自由主義時代の優等生だった。しかし、ゲームのルールが変わった今、その優等生ぶりが裏目に出る」

  • 防衛力の軽視
  • エネルギー安全保障の脆弱性
  • 同盟依存の外交

「力の時代」において、日本は極めて無防備な状態にあると著者は指摘します。

生き残るための処方箋

本書が示す日本の生き残り戦略。

1. 現実を直視する 「話し合えばわかる」という幻想を捨てる。国際社会は本質的にジャングルである。

2. 抑止力を強化する 防衛費の増額だけでなく、技術・経済力を含めた総合的な国力を高める。

3. 同盟を再構築する アメリカ一辺倒ではなく、多角的な安全保障ネットワークを構築する。


編集長の視点|なぜ今読むべきか

金融のプロならではの視点

本書の強みは、地政学の専門家ではなく、金融のプロが書いているところです。

金融市場は「ポジショントーク」が通用しない世界。間違った予測は即座に損失として跳ね返ってきます。

その厳しい世界で何十年も生き残ってきた著者の分析は、アカデミックな議論とは一線を画す説得力があります。

2025年以降の世界を読む

ウクライナ戦争の行方、米中対立の深化、中東情勢——2025年以降、世界はさらに不安定化する可能性があります。

その時、何を基準に情勢を読むべきか。本書はその「思考の枠組み」を提供してくれます。


こんな人におすすめ

  • 「なぜ世界はこれほど混乱しているのか」を理解したい
  • 投資判断のために国際情勢を把握したい
  • 日本の安全保障に関心がある
  • 新自由主義・グローバリズムの限界を知りたい
  • ウクライナ・ガザ・トランプ後の世界を読み解きたい

まとめ|「ゲームチェンジ」に備える

『世界秩序が変わるとき』の核心は、**「ゲームのルールが変わった」**という認識です。

新自由主義時代の常識——自由貿易、経済的相互依存、ルールに基づく国際秩序——はもはや通用しません。

「力こそ正義」の時代に、日本はどう生き残るか。本書はその問いに、金融のプロならではの冷徹な視点で答えています。

混乱する世界を読み解く「思考の枠組み」を手に入れたい方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

この記事のライター

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高橋 啓介

大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。

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    出版社勤務を経てフリーライターに。小説からビジネス書、漫画まで幅広く読む雑食系読書家。Z世代の視点から現代的な読書の楽しみ方を発信。
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    西村 陸

    京都大学大学院で認知科学を研究する博士課程学生。理系でありながら文学への造詣も深く、科学と文学の交差点で新たな知の可能性を探求。
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    佐々木 健太

    元外資系コンサルタントから転身したライター。経済学の知識を活かしながら、健康・お金・人間関係の最適化を追求。エビデンスベースの実践的な知識発信を心がける。

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