ゲーム本おすすめ5選!認知科学で読み解くゲームの「面白さ」と脳への影響

ゲーム本おすすめ5選!認知科学で読み解くゲームの「面白さ」と脳への影響

「ゲームは脳に悪い」

この言葉を、何度聞いてきただろうか。

興味深いことに、この通説は科学的に検証すると、まったく異なる様相を呈する。Daphne Bavelierらの研究によれば、アクションゲームのプレイヤーは、視覚的注意力や空間認識能力において、非プレイヤーを有意に上回るという結果が出ている。

スーパーベターになろう!

ゲーミフィケーションの第一人者が科学的に解説するゲームの力

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僕は京都大学の大学院で認知科学を研究している。専門は人間の意思決定と学習メカニズム。そんな僕にとって、ゲームは単なる娯楽ではなく、人間の認知機能を理解するための重要な研究対象だ。

「ゲーム脳」という神話の解体

2002年に出版された『ゲーム脳の恐怖』は、日本社会に大きな影響を与えた。しかし、データによると、この本の主張の多くは現在の神経科学では支持されていない。

最新研究が示すゲームの効果

Nature誌に掲載された研究では、アクションゲームのプレイヤーは以下の能力が高いことが示された。

  • 選択的注意力: 雑多な情報から必要な情報を素早く抽出する能力
  • 空間認識能力: 複数の物体を同時に追跡する能力
  • 意思決定速度: 状況を判断し、正確な決定を下す速度

これは仮説ですが、ゲームが要求する「素早い判断」と「正確な実行」の繰り返しが、脳の情報処理能力を鍛えているのではないか。

「面白さ」の認知科学

ゲームの「面白さ」とは何か。この問いに対して、認知科学は一つの答えを提示している。

人間の脳は「学習」と「予測のズレ」に快感を感じる。

新しいスキルを習得したとき、予想外の展開に遭遇したとき、困難な課題をクリアしたとき。これらの瞬間に、脳内ではドーパミンが放出される。ゲームは、この「学習と報酬」のサイクルを意図的に設計しているのだ。

ゲーム本おすすめ5選

ここからは、僕が実際に読んで「ゲームへの理解が深まった」と思った本を紹介する。認知科学の視点から見ても、学術的価値のある本を厳選した。

1. スーパーベターになろう!

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ゲーミフィケーションの第一人者による科学的ゲーム論

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著者のジェイン・マクゴニガルは、ゲームデザイナーであり研究者だ。TEDでの講演は1000万回以上再生されている。

この本の核心は「ゲーム的思考で人生を攻略する」という発想にある。

マクゴニガルは自身が重度の脳震盪から回復する際に、ゲーム的アプローチを用いた。困難を「敵」に、回復の努力を「クエスト」に見立てることで、辛い治療期間を乗り越えた。

興味深いことに、この手法には科学的根拠がある。ポジティブ心理学の研究では、困難を「挑戦」として捉え直すことで、ストレス反応が変化することが示されている。

読むべき人

  • ゲームの力を科学的に理解したい人
  • ゲーミフィケーションに興味がある人
  • 困難を乗り越える方法を探している人

2. ゲームデザインバイブル 第2版

ゲームデザインバイブル 第2版

100以上のレンズからゲームデザインを解説する決定版

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著者のJesse Schellは、カーネギーメロン大学の教授であり、元ディズニーイマジニアだ。この本は、ゲームデザインを「100以上のレンズ(視点)」から分析する。

なぜこの本が重要か。

ゲームの「面白さ」を言語化することは難しい。しかし、Schellは「驚き」「好奇心」「達成感」といった要素を体系的に整理することで、面白さの構造を明らかにしている。

認知科学の観点から見ると、これは「暗黙知の形式知化」と言える。優れたゲームデザイナーが直感的に行っていることを、誰もが理解できる形で言語化している。

読むべき人

  • ゲームデザインを学びたい人
  • 「面白さ」の構造を理解したい人
  • クリエイティブな仕事に携わる人

3. 「レベルアップ」のゲームデザイン

『ゲームデザインバイブル』が理論書なら、こちらは実践書だ。著者のScott Rogersは、多くのヒットゲームを手がけたベテランデザイナー。

この本の特徴は「読みやすさ」にある。

ユーモアを交えた文体で、複雑なゲームデザインの概念をわかりやすく解説している。レベルデザイン、敵の配置、カメラワークなど、実際のゲーム制作で必要な知識が網羅されている。

データによると、人間の学習は「楽しい」と感じるときに効率が上がる。この本自体が、その原理を体現していると言える。

読むべき人

  • ゲーム制作を始めたい人
  • 理論よりも実践を重視する人
  • 楽しみながら学びたい人

4. 幻想世界の住人たち

幻想世界の住人たち

ファンタジー世界のモンスターや種族を網羅的に解説

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一見すると「資料集」に見えるこの本だが、認知科学的に見ると興味深い側面がある。

人間は「物語」を通じて世界を理解する。

ゴブリン、ドラゴン、エルフ。これらの架空の存在は、人類が長い歴史の中で作り上げた「物語のデータベース」だ。神話や伝承から生まれたこれらの存在は、現代のゲームにも継承されている。

この本は、そうした「集合的無意識」のカタログとも言える。なぜ僕たちはドラゴンを見ると興奮し、ゴブリンを見ると警戒するのか。その答えのヒントがここにある。

読むべき人

  • ファンタジーゲームの背景を知りたい人
  • 創作活動を行う人
  • 神話や伝承に興味がある人

5. 岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。

任天堂元社長・岩田聡氏の言葉をまとめた本だ。プログラマーとして『星のカービィ』を作り、経営者として「ニンテンドーDS」「Wii」を世に送り出した人物。

この本の価値は「視点の転換」にある。

岩田氏は常に「ゲームをしない人をどうゲームに引き込むか」を考えていた。これは、従来の「コアゲーマー向け」という発想とは真逆だ。

「お客さんの驚きと喜びを増やすにはどうしたらいいか」

この問いを持ち続けた人の言葉には、ビジネスや研究にも通じる普遍性がある。

読むべき人

  • 任天堂のゲームが好きな人
  • リーダーシップに興味がある人
  • イノベーションの本質を知りたい人

ゲームと認知科学の未来

ゲームは今、学術研究の重要なツールになりつつある。

認知機能のトレーニング

高齢者の認知機能維持にパズルゲームが効果的であるという研究が増えている。また、ADHDの治療にゲームを活用する試みも始まっている。

eスポーツと脳科学

プロのeスポーツ選手の脳を調べると、「選択的注意」や「ワーキングメモリ」の能力が一般人より高いことがわかっている。これは生まれつきなのか、トレーニングの結果なのか。研究が進んでいる分野だ。

ゲーミフィケーションの応用

教育、医療、ビジネス。様々な分野でゲームの要素を取り入れる「ゲーミフィケーション」が広がっている。

まとめ:ゲームを「学問として」捉える

ゲームは単なる娯楽ではない。人間の認知機能、学習メカニズム、モチベーションを理解するための重要な窓だ。

今回紹介した5冊は、それぞれ異なる角度からゲームを分析している。

  • マクゴニガル: ゲームの力を人生に活かす
  • Schell: 面白さの構造を理論化する
  • Rogers: 実践的なデザイン手法
  • 健部: 物語の原型を知る
  • 岩田氏: クリエイターの哲学

すべての知識は、つながっている。ゲームを通じて、人間の脳と心の仕組みが見えてくる。

迷ったら、まずはジェイン・マクゴニガルの『スーパーベターになろう!』から。ゲームが持つポジティブな力を、科学的根拠とともに理解できる一冊だ。

スーパーベターになろう!

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この記事のライター

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西村 陸

京都大学大学院で認知科学を研究する博士課程学生。理系でありながら文学への造詣も深く、科学と文学の交差点で新たな知の可能性を探求。

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    元外資系コンサルタントから転身したライター。経済学の知識を活かしながら、健康・お金・人間関係の最適化を追求。エビデンスベースの実践的な知識発信を心がける。

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