仕事にやりがいがない人へ!『イシューからはじめよ』で見つけた9割が知らない本質的解決法

仕事にやりがいがない人へ!『イシューからはじめよ』で見つけた9割が知らない本質的解決法

仕事にやりがいがないと感じる理由!なぜ「やりがい」という幻想を追いかけるのか

「今の仕事に意味を感じない」

編集長として毎日たくさんの原稿と向き合う中で、20代後半から30代の著者たちから、こんな悩みを聞くことが増えました。

リクルートの2024年4月の調査によると、仕事に喜びを感じていない人は実に**約6割(60%)**に達しています。さらにマイナビの調査では、約5割が「静かな退職」状態―つまり、キャリアアップを求めず、決められた仕事を淡々とこなすだけの状態に陥っているのです。

しかし、ここで重要な問いがあります。

私たちは本当に「やりがい」という正しい問題を解いているのでしょうか?

大手出版社で10年間編集者として働き、独立してブロガー、そして現在bookwormsの編集長として活動する中で、私はある致命的な勘違いに気づきました。それは、多くの人が「やりがいがない」という症状を問題だと思い込み、本質的なイシューを見逃しているということです。

仕事への不満から転職を考えている方は、28歳、もう限界かも…『転職の思考法』で見つけた、会社を辞める前に知っておくべき3つの真実もぜひご覧ください。転職という選択肢を考える前に、今の仕事で何ができるかを見直すヒントが見つかるかもしれません。

『イシューからはじめよ』が暴く、問題解決の致命的な間違い

この本の詳しい内容について、以下で解説していきます。

イシューからはじめよ[改訂版]――知的生産の「シンプルな本質」

累計60万部突破。問題解決の決定版。本当に解くべき問題(イシュー)を見極め、生産性を100倍にする思考法を学べる必読書。

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安宅和人氏の『イシューからはじめよ』は、累計60万部を超えるベストセラーとなり、多くのビジネスパーソンに影響を与えてきました。元マッキンゼーのコンサルタントで、現在はヤフーのCSO(チーフストラテジーオフィサー)を務める著者が提唱するのは、驚くほどシンプルな原則です。

「イシュー度」×「解の質」=「バリューのある仕事」

つまり、どれだけ一生懸命働いても、そもそも解くべき問題が間違っていれば、価値は生まれないということです。

「やりがいがない」と悩む人の多くは、次のような「解の質」を上げる努力をしています:

  • スキルアップのための資格取得
  • 転職活動
  • 副業の開始
  • 自己啓発セミナーへの参加

しかし、これらはすべて「やりがいがない」という表面的な症状への対処療法に過ぎません。

ワークエンゲージメント研究が示す「やりがい」の本質

Schaufeli & Bakker(2002)のワークエンゲージメント理論によると、仕事への熱意は以下の3要素から構成されます:

  1. 活力(Vigor):仕事中の高いエネルギーレベル
  2. 熱意(Dedication):仕事への関与と誇り
  3. 没頭(Absorption):仕事への完全な集中

興味深いことに、これらの要素は「やりがいを探す」ことでは得られません。むしろ、Deci & Ryan(2000)の自己決定理論が示すように、以下の3つの基本的心理的欲求が満たされたときに自然に生まれるのです:

  • 自律性:自分で選択し、決定できる感覚
  • 有能感:成長し、成果を出せる感覚
  • 関係性:他者とつながり、貢献できる感覚

つまり、「やりがい」は探すものではなく、正しいイシューに取り組んだ結果として生まれるものなのです。

なぜ私は出版社を辞めても「やりがい」を失わなかったのか

2014年、私は大手出版社を退職しました。周囲からは「もったいない」「安定を捨てるなんて」と言われました。しかし、私には明確なイシューがありました。

「読者と著者の距離を、もっと近づけることはできないか?」

出版社では、企画会議、営業戦略、在庫管理など、多くの仕事がありました。どれも重要な仕事です。しかし、私にとっての本質的なイシューは「知識を届ける新しい方法を作ること」でした。

独立してブロガーとなり、現在bookwormsの編集長として働く中で、収入は不安定になりました。しかし、不思議なことに「やりがい」を失うことはありませんでした。なぜなら、私は正しいイシューに取り組んでいるからです。

仕事にやりがいがない人が今すぐ実践できる「イシュー思考」3つのステップ

1. 「なぜ?」を5回繰り返す

トヨタ生産方式でも有名な「なぜなぜ分析」を、自分の仕事に適用してみましょう。

例:

  • なぜやりがいを感じないのか?→成長を感じないから
  • なぜ成長を感じないのか?→同じ作業の繰り返しだから
  • なぜ同じ作業の繰り返しなのか?→新しいチャレンジがないから
  • なぜ新しいチャレンジがないのか?→上司が任せてくれないから
  • なぜ上司は任せてくれないのか?→自分から提案していないから

本質的なイシューは「上司とのコミュニケーション」かもしれません。

2. インパクトマトリクスで優先順位をつける

『イシューからはじめよ』では、縦軸に「インパクトの大きさ」、横軸に「実現の可能性」を取った2×2のマトリクスが紹介されています。

日々の仕事を分類してみると:

  • 右上(インパクト大×実現可能):最優先で取り組むべきイシュー
  • 左上(インパクト大×実現困難):段階的にアプローチ
  • 右下(インパクト小×実現可能):効率化or自動化
  • 左下(インパクト小×実現困難):やめる勇気を持つ

多くの人は、右下の「やりやすいが価値の低い仕事」に時間を使いすぎています。

3. ジョブクラフティングで仕事を再定義する

Wrzesniewski & Dutton(2001)のジョブクラフティング理論は、与えられた仕事を能動的に再創造する方法を示しています。

具体的には:

  • タスククラフティング:仕事のやり方を変える
  • 関係性クラフティング:関わる人を変える
  • 認知的クラフティング:仕事の意味づけを変える

例えば、「報告書作成」という仕事を「組織の意思決定を支援する情報設計」と再定義することで、同じ仕事でも取り組み方が変わります。

日曜の夜に憂鬱になってしまう方は、なぜ日曜夜の涙は止まらないのか?『嫌われる勇気』で見つけた会社に行きたくない本当の理由と3つの処方箋で、月曜日への不安を解消する具体的な方法を紹介しています。

「仕事は楽しいかね?」という問いへの新しい答え

仕事は楽しいかね?

空港で出会った老人から学ぶ仕事哲学。「試してみることに失敗はない」という言葉が、多くの読者の人生を変えた名著。

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デイル・ドーテンの『仕事は楽しいかね?』では、主人公が空港で出会った老人から「試してみることに失敗はない」という言葉を学びます。

これは『イシューからはじめよ』の考え方と見事に調和します。正しいイシューを見つけるためには、仮説を立てて試してみる必要があるのです。

エビデンスが示す「やりがい」の処方箋

論文や調査データを見ると、明確な傾向が見えてきます:

  1. 問題の本質を見極めた人ほど、仕事の満足度が高い
  2. 小さな実験を繰り返す人ほど、成長実感を得やすい
  3. 自分で仕事を再定義した人ほど、エンゲージメントが向上する

内部リンクの関連記事もご覧ください:なぜ49%の日本人がAIに仕事を奪われる不安を抱くのか?編集長が3冊の本で見つけた科学的解決法では、変化の時代における不安への対処法を詳しく解説しています。

結論:「やりがい」は見つけるものではなく、作るもの

「やりがいがない」と悩んでいる人に、私は問いかけたい。

あなたは本当に解くべき問題(イシュー)に取り組んでいますか?

6割の人が仕事に喜びを感じていないという統計は、確かに深刻です。しかし、それは「やりがいを探す」という間違った問題設定をしているからかもしれません。

『イシューからはじめよ』が教えてくれるのは、価値ある仕事とは「正しい問題」×「質の高い解」の掛け算だということ。そして研究が示すのは、やりがいは自律性・有能感・関係性から生まれるということ。

編集長として年間200冊以上の本を読み、多くの著者と対話してきた経験から言えることは、「やりがい」は天から降ってくるものではありません。それは、正しいイシューに向き合い、小さな実験を繰り返し、自分の仕事を主体的に再定義した先に、自然と生まれてくるものなのです。

今日から、あなたも「イシュー思考」を始めてみませんか?

イシューからはじめよ[改訂版]――知的生産の「シンプルな本質」

本記事で紹介した問題解決の思考法を体系的に学べる必読書。あなたの仕事観を根本から変える一冊です。

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高橋 啓介

大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。

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    出版社勤務を経てフリーライターに。小説からビジネス書、漫画まで幅広く読む雑食系読書家。Z世代の視点から現代的な読書の楽しみ方を発信。
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    西村 陸
    京都大学大学院で認知科学を研究する博士課程学生。理系でありながら文学への造詣も深く、科学と文学の交差点で新たな知の可能性を探求。
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    佐々木 健太
    元外資系コンサルタントから転身したライター。経済学の知識を活かしながら、健康・お金・人間関係の最適化を追求。エビデンスベースの実践的な知識発信を心がける。
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