レビュー
概要
『こどもSDGs(エスディージーズ) なぜSDGsが必要なのかがわかる本』は、SDGsを小学生にも伝わる言葉へ落とし込んだ入門書です。17の目標を丸暗記させるのではなく、「なぜその目標が必要なのか」を生活に引き寄せて説明する構成になっています。大人向けのSDGs本は抽象論や制度論に寄りがちですが、本書は食べ物、水、エネルギー、貧困、教育などを身近な場面に変換してくれるのが強みです。
子ども向けといっても、内容が薄いわけではありません。むしろ、大人が曖昧に理解している概念を整理し直すのに向いています。親子で一緒に読むと、ニュースで見た社会課題や学校で習った内容を家庭の会話へつなげやすい本です。
読みどころ
まず良いのは、SDGsを「世界の遠い問題」で終わらせないところです。水やごみ、食料ロス、働き方、差別、エネルギーのようなテーマを、学校や家庭での行動と結びつけて考えさせます。だから、子どもが「大変そうだけど自分には関係ない」と感じにくいです。大人にとっても、SDGsを日常の選択へ戻して考える助けになります。
次に実用的なのが、17の目標を単に羅列せず、イラストや具体例で理解させる点です。目標6なら水、目標12ならつくる責任つかう責任、目標13なら気候変動というように、難しい言葉を具体的な行動や場面へ変換します。この「翻訳」がうまいので、授業や読み聞かせの素材としても使いやすいです。
また、本書は知識を入れて終わりにしません。自分にできることを考えるワークや、家や学校で話し合える問いが入っているため、理解を自分事に変えやすいです。SDGs本を読んでも、結局「いい話だった」で終わることは多いですが、本書は行動の入口を用意してくれます。ここが、親子で読む価値につながっています。
さらに、数字やデータを必要以上に前面へ出さない点も、子ども向けとして良いところです。危機感だけをあおると子どもは疲れてしまいます。本書には「できることがある」と感じさせるバランスがあります。そのため、社会課題の本としてだけでなく、考える練習の本としても読めます。
類書との比較
子ども向けSDGs本には、図鑑のように幅広い情報を並べる本と、データを多く見せる本があります。本書はその中間で、情報量は確保しつつ、行動へ結びつけやすい構成です。ワークや問いがあるので、読むだけで終わりにしにくいのが利点です。
また、大人向けのSDGs解説本よりはるかに平易ですが、内容の骨格はきちんとしています。親が子どもに説明する前の予習本としても使いやすく、家庭用の入口としてかなり優秀だと思います。
こんな人におすすめ
SDGsを子どもにどう説明すればよいか分からない保護者におすすめです。特に、小学校高学年から中学生くらいで、学校でSDGsに触れ始めた子どもがいる家庭には相性がいいです。親子の会話のきっかけを作りやすくなります。
また、学校や図書館、学童でSDGsを扱う先生や支援者にも向いています。授業の導入やワークショップのネタとして転用しやすいからです。社会課題を「自分に関係ある話」として渡したい人に使いやすい一冊です。
加えて、自由研究や調べ学習の入口を探している家庭にも向いています。最初から大きなテーマを与えるより、本書で関心のある目標を見つけてから掘り下げたほうが、子ども自身の問いが育ちやすいです。読むだけで終わらず、次の行動へつなげやすい点はかなり実用的でした。
SDGsを家庭の会話へ持ち込みたいけれど、説教っぽくしたくない人にも合っています。問いかけの形で話を始めやすいので、親が一方的に教える空気になりにくいです。
感想
この本を読んで良かったのは、SDGsを「知っている言葉」から「説明できる言葉」に変えやすかったことです。大人でも、17の目標をなんとなく知っていても、なぜ必要なのかを子どもに話すのは意外と難しい。本書はその間を埋めてくれます。
もう1つ印象的だったのは、行動のハードルを上げすぎないことです。世界を変える壮大な話ではなく、食べ残しを減らす、無駄を見直す、相手の立場を考えるといったところから始まります。ニュースを見たときに、「これはどの目標とつながるだろう」と親子で話す入口にもなります。知識の暗記ではなく、社会を見るレンズを渡してくれる点が良かったです。親子で社会の話をする入り口として、かなりちょうどいい本だと思いました。