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レビュー

概要

台風・地震・豪雨・停電・土砂災害などの直近データを踏まえた「行動」「準備」「復旧」の三部構成で、家族全員が非常持ち出し袋と避難先を即座に確認できるようにフォーマット化した防災百科。各章では「30分以内にやること」「72時間の行動」「1年後の復旧ロードマップ」がカラー図解で示されるため、1冊で短期~中長期の備えを一気に見渡せる。

読みどころ

・全国20都市で想定される震度と被害の種類をマッピングし、「都市×災害」ごとの具体的な生活課題(断水時のトイレ確保、停電時の冷凍食品管理)のフォーマットで整理。たとえば「首都直下型地震」ページでは、家族の集合場所3箇所とスマートフォンのオフライン共有方法をテンプレ化しており、非常用アプリを使った「現在地速報」を誰でも再現できるようにQRコードつき。 ・備蓄リストは、1週間分の水・食品・医薬品だけでなく、ライフラインが回復する前の「睡眠」「衛生」「こころ」のケアも含めて再定義。通気性のよいマスクやインスタント温泉湯の素、保温ブランケットを時間軸ごとに区分けし、持ち出し袋の重さや湿気で劣化しやすいものには代替期限が記載されている。 ・「自治体との対話」パートでは、ハザードマップの読み方、避難所の収容数、災害時に開設される広域支援拠点の位置を図付きで説明。さらに、過去の被災自治体で実際に使われた連携例(医療チーム、避難所運営記録、ボランティア募集)のPDFリンクをQRコード形式で掲載し、自治体への問い合わせ先がすぐに手に入る工夫がある。

類書との比較

『防災ガイド2025』(日本実業出版社)や『いざというときの防災BOOK』(マイナビ出版)も有益だが、本書は「行動テンプレート+再現性の高い図解」に特化している点が際立っている。前者は防災知識を解説的に並べる傾向が強いのに対し、本書は集合場所記入欄、避難所と在宅避難のスイッチボックス、チェックリストをページごとに分けているので、家族間での意思疎通が行いやすい。また、災害後の復旧に向けた「地域の再建」「住宅再建支援金」「心のケア相談先」の情報が1冊に集約されており、ベーシックな備蓄本では触れづらいフェーズまでカバーしている。

こんな人におすすめ

子育て世代で避難所と家庭の両方を見ないと不安な人、単身赴任中の人にとってはコンパクトながらも自治体連携まで含むため心強い。また、自治体職員や学校の防災部門がワークショップで使う素材としても使いやすい。逆に、すでに避難計画をアウトソーシングしている自治体職員には基礎的過ぎるかもしれないが、家族一人ひとりが備蓄を共有する仕組みのテンプレートとして再利用できる。

感想

実際に豪雨で断水を経験した知人が、この本の「断水時の水分補給セット」を活用して復旧までの3日間を乗り切った。読み物としての引き込みもありながら、ページのすみには「持ち出し袋チェックリスト」「避難先連絡帳」「車中泊セットの積載図」など書き込めるスペースがあり、ノートがわりにも使える。大地震のニュースを見るたびにペンを持ち出して目線を合わせるきっかけになるし、写真やイラストが多いゆえに説明的でありながら退屈せずに繰り返し読み返せる。防災の「心理的備え」も重視しているのが、他のシンプルな備蓄本との差別化になっている。

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    佐々木 健太

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