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レビュー

概要

料理と友情の物語をコントラストとして描く新作GLとして、Comic It で 2021 年 1 月から連載され、同年 6 月 15 日に第1巻が B6 判 162 ページで刊行された本作。KADOKAWA のプレスリリースは「食マンガ界の異端児」として本作を紹介し、公式 SNS の反響も高く、NHK の実写ドラマ化にまで波及。「ひとり暮らしで少食だし、それでも作りたい」という野本と、食べることで存在感を発揮する春日の対比が軸になっている。citeturn0search0turn0search6turn0search3

読みどころ

  • 第1話では、野本が「食べきれないほどご飯を作ってしまう」矛盾を抱えながら、それを春日に打ち明けることで「食べる人」が用意した料理を「作る人」が再び燃やすという奇妙な循環が芽生える。細やかな味の描写と、心持ちをシンプルに伝える線画がドライだが温かい。citeturn0search6
  • 合間に挟まれるキッチンの作業描写は、彼女たちの手順や調味料の配分まで感じさせるもので、少食であるがゆえに「つくる愉悦」を押さえきれない野本の葛藤が手に取るように伝わる。ダ・ヴィンチWeb にも「NHK 実写ドラマ化で再掲載」として注目され、リアルな視線のズレが共感を呼ぶと評されている。citeturn0search5
  • また、2 巻以降の変化に向けた布石として、「料理は自己表現」という視点を描きつつ、春日の会話が野本を励ますメンタリングになっている。公式ページや分冊版の紹介には、描き下ろし 7P などファン心理を満たす追加コンテンツが充実していて、単なる初期巻以上のボリュームがある。citeturn0search0turn0search2turn0search7

類書との比較

同じ GL で「食」から関係性を構築する『メタモルフォーゼの縁側』は年齢差と趣味を軸にするのに対し、本作はキッチンを舞台に「作る/食べる」の両側から感情を描く点で位置が変わる。『おいしそうな発明』のようなモノ作り系の J-GL とは違い、「シスターフッド」という部屋の感覚と、食卓の距離を近づける新しい交通整理が本作の魅力。citeturn0search5

こんな人におすすめ

日々の孤独な食事に物足りなさを感じている人、GL テーマに「作業の手触り」がほしい人、そして「自分の作る料理を誰かに食べてほしい」という素朴な願いを大切にしたい人に寄り添う。料理×友情の空気が、2020 年代の都市生活者にちょうどよい距離感を与えてくれる。citeturn0search6

感想

本作に触れると、野本が「土井善晴さんの“一汁一菜”」を心の中でリスペクトする瞬間に、料理はプロジェクトであることを思い出す。少食であること、ストレスがあること、だからこそ「作りたい」という欲望がドアを叩く。春日が春風のようにその欲望を受け止めると、二人の部屋が勝手に宴会場へと変わる。少女マンガらしいときめきと、現代の仕事人のリアリティが交差するこの巻には、温度の高い料理と人間の軽やかな温度差が詰まっている。citeturn0search4

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    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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