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レビュー

概要

『日本一カンタンな「投資」と「お金」の本』は、「もう投資なんてしない」と感じた経験がある人に向けて、いちばんシンプルなやり方を“続けられる形”に落とし込む1冊です。著者はファイナンシャルアドバイザーとして、1万件を超える資産運用の相談に乗ってきたと紹介されています。本書が重視するのは、小手先のテクニックよりも、続けるための設計です。

投資の情報は世の中に多いのに、やめてしまう人が多い。そこに問題がある、というスタンスが明快です。「方法は良いのに続かない」状況を、どうやって断ち切るか。その視点が、この本の読みどころになります。

読みどころ

1) 「一番シンプルな方法が一番儲かる」という軸

本書は、複雑な売買や予想を正面から勧めません。むしろ、誰でも始められるやり方を丁寧に説明し、シンプルだからこそ得られる強みを言語化します。投資の世界では、派手な話ほど“再現性”が下がりがちです。ここを最初に押さえるだけで、情報との距離が適切になります。

この軸がありがたいのは、投資情報の洪水から離れられる点です。SNSやニュースは「今すぐ動け」と煽りがちです。一方で、資産形成の結果は短期で決まりません。本書は、派手さより継続を選ぶための基準を与えてくれます。

2) 挫折の原因を「知識不足」だけにしない

投資が続かない理由は、勉強不足よりも、感情や生活の乱れに寄ることが多いです。値動きが怖い。周りと比べて焦る。生活費が足りなくなると不安になる。本書は、こうした揺れに目を向け、「続けるにはどうするか」を中心に組み立てます。

ここで語られるのは、投資の“正解”より、投資をやめるまでの典型パターンです。最初に無理な金額で始めてしまう。値下がりに耐えられず売ってしまう。上がった商品に乗り遅れた気がして買い直す。こうした行動の連鎖が、結果として続けられなさを生みます。続けられない理由が言葉になると、対策は取りやすくなります。

3) “想像以上のリターン”を狙う前に、道具を整える

資産形成は、1回の勝負ではなく積み上げです。だから必要なのは、勝つ確率を上げる秘策よりも、途中でやめない仕組みです。本書の語り口は、投資を「根性で耐えるもの」ではなく「仕組みで回すもの」として捉え直させます。

本書の紹介文の中でも、キーワードは「続けられる」ことです。途中で挫折する人が多い。だから、続けられて大きなリターンへつながる道筋を確認してほしい。ここが一貫しているので、読後の行動につなげやすいと感じました。

読後にやると効くこと

読み終えたら、次の3点だけを“運用ルール”として紙に書くのがおすすめです。

  • 何のために増やすか(目的と期限)
  • どの程度の揺れなら耐えられるか(不安の上限)
  • 不安になったときの行動(見ない、相談する、見直すなど)

この3点が決まると、投資の成否がニュースや相場の気分に左右されにくくなります。

加えて、本書の狙いに沿うなら「挫折しないための手順」も作っておくと良いです。たとえば、次のように段階を決めます。

  • 生活費が不安な月は積立額を落とす(ゼロにしない)
  • 相場が荒れたら、売買より先に“見ない時間”を決める
  • 大きな判断は、その日ではなく数日後に回す

投資の失敗は、知識不足より、判断のタイミングで起きやすいです。タイミングを遅らせるだけで、余計な売買が減り、継続しやすくなります。

また、投資を続けるには「期待値」より「体感」が重要になる場面があります。期待値が正しくても、眠れない投資は続きません。本書は、そういう現実の目線で書かれているのが強みです。

「もう投資なんてしない」を繰り返さないために

本書の紹介文は、投資に疲れた人へ語りかける形になっています。ここが大事です。投資の失敗には、損失そのものだけでなく、自己否定がつきまといます。「自分には向いていない」と結論づけてしまう。しかし実際には、向き不向きよりも、無理なやり方を選んでしまっただけ、というケースが多いです。

だから本書は、難しい手法で取り返す方向へ行きません。むしろ、やり直しが効く形で、再開できる入口を用意します。シンプルで、誰でも始められて、続けられること。ここを土台に置くから、読み終えた後に行動が残ります。

こんな人におすすめ

  • 投資を始めたが、怖くなってやめた経験がある人
  • 難しい話より、やることを絞って前に進みたい人
  • 「増やし方」より先に「続け方」を固めたい人

投資の入口でつまずくのは、知識の問題というより、続ける設計の問題であることが多いです。本書はそこに焦点を当て、遠回りに見える最短ルートを示してくれます。

「投資の勉強を続ける」よりも、「投資そのものを続ける」。その順番を取り戻したい人に、ちょうど良い温度と難易度の入門書だと思います。

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    高橋 啓介

    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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