レビュー
概要
『金色のガッシュ!! 完全版(1)』は、雷句誠の代表作を「完全版」として読み直せるシリーズの第1巻です。表紙は全巻描き下ろし、カラーページはカラーのまま収録。さらに描き下ろしの短編マンガ「ガッシュカフェ」も追加されています。完全版の“嬉しいポイント”が、最初からきちんと詰め込まれているんですよね。
物語は、魔界の王を決めるために「100名の魔物の子供達」が人間とコンビを組み、最後の1組になるまで戦う、という大枠で進みます。天才ゆえに妬まれて友達がいなかった清麿(きよまろ)のもとに、素っ裸で部屋の窓を割って入ってきたガッシュ。出会いの勢いの強さが、そのまま作品のテンションになっています。
この第1巻は、LEVEL1からLEVEL19までを収録。シリーズの入口としても、完全版の入門としても、かなり気持ち良い構成です。
読みどころ
1. 「コンビもの」としての初速が速い
清麿とガッシュの関係は、最初から完成しているわけではありません。むしろ、噛み合わなさや戸惑いから始まるのに、気づけば二人の間に“助け合い”が生まれていく。この初速の速さが、読み始めた瞬間に引っ張ってくれます。戦いのルールを説明しつつ、コンビの物語としても成立させるのが上手いです。
2. 「戦い」と「成長」が同じ線で描かれる
本作はバトル漫画ですが、戦う理由が「強くなるため」だけに閉じません。過酷な戦いと運命の中で、清麿とガッシュが共に助け合い、成長していく。完全版1巻の段階で、すでにその方向性が見えてきます。だから、単なる勝ち負け以上の感情が乗るんですよね。
3. おまけの「ガッシュカフェ」が効く
描き下ろし短編マンガ「ガッシュカフェ」は、戦いから少し離れた空気を入れてくれる存在です。魔物の子供達がお茶を飲みながら語り合い、意外な一面を見せ合う。第1回は「ガッシュとゴフレ」が登場します。シリアスな本編があるからこそ、この“ほっとする抜け”が嬉しい。完全版ならではの付加価値として、ちゃんと効いていました。
こんな人におすすめ
- 子どもの頃に読んでいて、今もう一度ちゃんと読み直したい人
- コンビの成長や友情が軸のバトル漫画が好きな人
- 「完全版」でカラーや追加要素も含めて味わいたい人
- 1巻から勢いがある作品で、一気に読書のスイッチを入れたい人
感想
完全版(1)を読んで思ったのは、ガッシュの物語って、派手な設定のわりに“入口の感情”がすごく人間的だということでした。清麿は天才で、だからこそ孤独で、そこにガッシュが飛び込んでくる。窓を割って入ってくるという登場の仕方はギャグみたいなのに、二人の距離が縮まる過程はきちんと切実です。
また、LEVEL1〜LEVEL19というまとまった範囲が入っているので、「この作品が何をやろうとしているのか」が早い段階で見えてきます。戦いのルール、コンビの関係、そして成長の方向性。読者が置いていかれないスピードで、でも退屈しない勢いで進んでいくのが気持ち良い。
そして、完全版の良さは“読みやすさ”にも出ています。カラーページがそのまま残っているだけで、記憶に残っていたシーンをそのまま呼び起こせます。表紙描き下ろしの特別感も嬉しい。読み終えたあと、「次のLEVELも見たい」と素直に思える1巻でした。
完全版として嬉しいのは、ただ豪華に見えるだけではなく、「当時の熱量を、今の目で追体験しやすい」ことだと思います。週刊少年サンデーで連載されていた作品が、カラーの気配を失わずに読める。テンションが上がるのに加えて、感情のピークがより分かりやすく感じられました。昔読んだ人ほど、「あ、この場面はこういう色の記憶だった」と脳内で補完しなくていいのが気持ち良いはずです。
それから、各話が「Level.○○」で番号管理されている作品って、改めて読み返すと独特です。章題というより、戦いの段階が刻まれていく感覚が強くて、「この物語は進んでいる」という手応えが残る。第1巻でLEVEL19まで入っているのも、“入口”として強い理由の1つだと感じました。
おまけの「ガッシュカフェ」も、単なるファンサービスで終わらず、作品の味を広げてくれます。魔物の子供達が戦いを離れてお茶を飲む、というだけで、本編の過酷さが浮き彫りになるんですよね。ガッシュとゴフレが出てくる第1回は、かわいさと意外性のバランスがちょうど良くて、読み終えたあとに気持ちがふっと軽くなりました。
バトル漫画の完全版は、読み直す理由が「懐かしい」だけになりがちですが、ガッシュは今読んでも“今の自分に効く”感じがありました。孤独だった清麿が、突然現れたガッシュとコンビになっていく。その始まりが、この1巻にはきちんと詰まっています。
特に、清麿の孤独は「天才だから仕方ない」で片付けられず、きちんと痛みとして描かれている点が良いです。そこへガッシュが来た瞬間、世界は急に賑やかになる。でも賑やかさは、ただの明るさではなく、戦いの始まりでもある。楽しさと怖さが同時に走り出す。そんな感覚が、1巻の段階でしっかり伝わってきました。完全版の入口として、これ以上ないスタートだと思います。