レビュー
概要
『ジンメン』第1巻は、顔を交換される恐怖を描くサスペンスホラーで、ある小学校で次々と「人間の顔」が貼り付いた異形の存在が現れる。主人公は、その謎を探るなかで、「顔を貼る」という行為が人間の内面を暴き出す手段であり、心理的な壁を破る描写へと変化する。ホラーの要素を取り込みつつ、友情や日常の温度もしっかり描いて、純粋な恐怖だけではないバランスを保っている。
読みどころ
1) 顔と存在の間の境界
顔が貼られた人々が、本人の記憶と思考を失い、恐怖のあまり涙を流しながらも笑ってしまう描写が圧巻。顔と体の間にある「自分らしさ」が剥がれて、代わりにジンメンのような仮面が浮かぶ。コマの余白に血のしずくが漂い、人間の存在が薄くなる過程を見せる。
2) 日常との断絶
事件が起きる日常の学校生活と現象が交錯する。授業中、友人のひとりが突然ジンメンのように笑い、主人公がそれを「かなり怖い」と感じるシーンでは、日常のリズムが刻々と崩れるリアルさが際立つ。
3) サイコホラーとしての建築
廃工場、雨の校庭、夜の体育館など、背景に重厚な建築描写を入れて恐怖の舞台に深みを与える。光の取り込み方、影の落とし方が凝っていて、Psycho horror fans will appreciate.
類書との比較
他のホラー漫画、たとえば『東京喰種』や『寄生獣』と比べると、ジンメンは顔と存在の入れ替わりに重点を置き、フェイスパペット的な恐怖が心に残る。心の奥を覗く点では『声優探偵』など心理描写を置き換えつつも、より生々しい不気味さを表現。
こんな人におすすめ
- 顔が動くホラー描写に耐性がある読者
- 日常と非日常が交差する物語が好きな人
- 友情と恐怖のどちらも味わいたい少年漫画ファン
感想
1巻のラストで「顔を貼って笑う」瞬間が、読後にずっと目の端に残る。恐怖とともに、友人との距離感が解ける瞬間を丁寧に描いていて、ホラーなのにどこか寄り添いのある温度を持つ。続きを読みたくなる引きの強さを持った恐怖の導入でした。