『メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問 PHPビジネス新書』レビュー
著者: たかぎなおこ
出版社: PHPビジネス新書
¥475 Kindle価格
著者: たかぎなおこ
出版社: PHPビジネス新書
¥475 Kindle価格
メタ思考トレーニングは、「物事を俯瞰して見ているか」を問う34問のワークを通じて、自分の思考の癖を変える実践書です。著者は例題を「この状況の前提は何か」「別の視点で見たらどうなるか」と問い掛けながら、読者に「今の思考」から一段高いところへ登らせる構造を採用。社会の課題やアイデア創出に必要な「次元を変える発想」を、ポジティブな問いだけでなく、否定的な立場からの仮説も用いて導きます。
各章で異なる思考のフレームを提示し、それに基づいた質問を読者に向ける。たとえば、顧客の課題を扱う章では、「なぜその課題が課題なのか」「その課題は本質的に誰にとっての課題か」というメタメタな質問が並び、問いをたどることでアイデアが深くなる筋道が描かれる。答えを出すよりも、「たどる過程」を大事にする構成です。
ワークに付属するチェックリストを使って、自分の思考が過去の習慣に縛られているかを「心のフィールドノート」として視覚化。出た答えを別の色で書き換え、再び問いを立て直す方法や、他者の視点を借りて改めて問い直す手順が具体的に示されるため、トレーニング感が強く、講座を受けているような臨場感があります。
「Aをこうしてみたらどうなるか」「Aの対角線上にあるものは何か」といった質問が、抽象度を少しずつ上げながら横断的な思考を育てる。著者が提示する「隣の文化の視点」や「ファッション体系」など身近な例を通じて、読者にも抽象度の階段を登る自信が生まれる。
思考法の入門としては西村克己『発想力の鍛え方』や『イシューからはじめよ』があるが、本書は具体的なワークの設問としての「問い」が際立つ。『イシュー〜』が問いを磨く枠組みを重視するなら、こちらは問いを実際に使い倒すための筋トレのような感覚で、問いの「再帰性」を体験的に理解できる。実務的には『ゼロ秒思考』のようなアウトプット重視と接続できるし、異文化的な視点を積極的に絡ませている点もユニーク。
34問をただ解くだけでなく、そこから自分の「思考の回転数」が上がった感覚があります。問いを重ねるたびに、最初に立てた前提が次第に摩耗し、新しい前提を立て直すことへの抵抗が薄くなりました。仕事の場面でも、部下の発言を受けたあとに「その前にどんな仮定があるのか」を即座に引き出す癖がつき、思考の幅が一段階広がったようです。