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レビュー

概要

『NEW GAME!』第1巻は、高校を卒業したばかりの涼風青葉が、憧れていたゲーム会社イーグルジャンプへ入社し、キャラクターデザイナーとして働き始めるところから始まる仕事コメディです。青葉は子どもの頃に大好きだったゲームの続編制作へ関われることになり、緊張しながらも夢の現場へ飛び込みます。会社ものではありますが、重苦しい職場ドラマではなく、好きな仕事に向き合う楽しさと難しさを、やわらかい空気で描くのが作品の魅力です。

この第1巻で描かれるのは、華やかな成功よりも「新人が仕事を覚えていく最初の段差」です。青葉は絵が描けるからすぐ活躍するわけではなく、会社の流れ、チェックの受け方、先輩との距離感など、働くうえでの基本から少しずつ学んでいきます。ゲーム制作の専門用語が多少出てきても、青葉と一緒に読者が知っていける構成なので入りやすいです。

読みどころ

いちばんの読みどころは、仕事の現場を「かっこよく見せる場」ではなく、「好きだから頑張れる場」として描いていることです。青葉は憧れの先輩・八神コウに会えて舞い上がりますが、実際の仕事は修正の連続です。ラフを出し、直しを受け、意図を汲みながら描き直す。その積み重ねがあるからこそ、少し認められた時の嬉しさが生きます。

周囲のキャラクターがただ可愛いだけでなく、それぞれ違う役割を持っているのも良い点です。寡黙だけれど頼れる滝本ひふみ、ディレクターとして全体を見る八神コウ、しっかり者の遠山りん、自由度の高い篠田はじめなど、先輩たちの働き方が違うので、青葉の成長に複数の方向から光が当たります。職場ものとして単調にならない理由はここにあります。

また、ゲーム制作を題材にしながらも、専門知識をひけらかさないのも魅力です。UI、モーション、キャラクター設定など、作業の断片はちゃんと見せつつ、中心にあるのは「良いものを作りたい」という気持ちです。そのため、ゲーム会社の内部事情を詳しく知らなくても、ものづくりの現場として十分楽しめます。

第1巻の段階では、会社員としての現実が厳しすぎる方向へは振れません。残業や締切はあるものの、読後に残るのは消耗感より「こんな職場なら働いてみたい」という前向きさです。仕事マンガでありながら日常系の居心地も持っているので、疲れる話が苦手な人でも読みやすいです。

青葉の「好き」が、空回りではなく学ぶ力として描かれているのも印象に残ります。憧れの会社に入れた新人は、普通なら舞い上がるだけで終わりがちですが、本作ではその高揚が観察力や吸収力へつながっています。先輩の作業を見る、指摘の意図を考える、うまい絵を真似してみる。そうした小さな反応が積み重なるので、成長物語としての手触りもかなり良いです。

さらに、女性ばかりの職場を描く作品でありながら、単に仲良し日常ものへ寄り切らないのも強みです。締切があり、役割分担があり、先輩には先輩の責任がある。そのうえで空気は優しく保たれているので、「厳しさ」と「居心地の良さ」の両方が見えます。働くことに少し不安がある人にも、最初の入口として勧めやすい1巻です。

類書との比較

仕事マンガとして見ると、『バクマン。』や『重版出来!』のような成果と競争を強く押し出す作品とは方向が違います。『NEW GAME!』はもっと日常に近く、職場の空気や先輩後輩の関係、チームで作る面白さを中心に描きます。そのため、成功譚の熱さより、毎日の積み重ねを眺める楽しさが前に出ます。

また、萌え系の絵柄から軽い日常ものに見えますが、仕事の描写は意外と地に足がついています。逆にガチガチの業界マンガほど重くないので、仕事ものの入口としても使いやすい作品です。

こんな人におすすめ

  • ゲーム会社やものづくりの現場に興味がある人
  • きつすぎない仕事マンガを読みたい人
  • 可愛い絵柄と職場コメディの組み合わせが好きな人
  • 新人が少しずつ成長する話を見たい人

感想

第1巻を読んで印象に残るのは、青葉が憧れを現実へ変えていく最初の一歩です。夢の会社に入れば全部うまくいくわけではないけれど、好きな仕事だからこそ直しにも意味がある。その感覚がとてもまっすぐに描かれていて、読後感が明るいです。

ゲーム制作という題材を借りながら、実際には「初めて働くこと」と「誰かと一緒に作ること」の話としてよくできています。可愛らしい絵柄に油断して読むと、思った以上に仕事の楽しさと難しさがしっかり入っている。シリーズの出発点として、とても気持ちの良い1巻でした。

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    佐々木 健太

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