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レビュー

概要

『NEW GAME!』第1巻は、ゲーム開発会社イーグルジャンプの企画制作現場にスポットを当てた青春コメディです。新人デザイナーとして入社した衣笠祥子(通称アオバ)が、憧れのゲームをつくった会社で毎日を過ごす中で、自分の描いた立ち絵が実際のキャラクターになる瞬間や、締切前の徹夜でチームと噛み合う喜びを丁寧に描きます。周囲には若手のプログラマーやプロデューサー、そして先輩・滝本ひふみや青葉のアート先輩・涼風がいて、個性豊かな会話が仕掛けになっています。なかでも、主人公がセリフを先輩に添削されるエピソードは、デザインだけでなく「意図を伝える力」も求められる業界の姿を浮き彫りにします。

読みどころ

1) 成長のリアルを絡めた先輩後輩関係

アオバは初出勤でさまざまな失敗をしながらも、ひふみやねねっちに助けられていきます。ひふみが自分の失敗を笑いながら「できるのはいいけど、完成度を下げると怒られるよ」と釘を差す場面から、会社での信頼を得るには間接的な「気配り」が必要なことが伝わる。さらに、ひふみの自宅に居候するストレスが描かれ、ひふみ自身が先輩になる責任を感じながらも、自分の描きたい線を持っている存在だと気づかされる。その層の厚い関係性は、単なる“憧れの先輩”を超えたリアルな人間関係の成長譚です。

2) 「ゲームの”いま”」を描く作業場面

原画・彩色・UI・チェックという工程の切り替えをつぶさに描き、アオバが線画の表情を微調整するたびに、「この角度ならプレイヤーに伝わる」感覚が伝わります。1章では「かわいいポーズ」で社内の検閲を通るために何度も修正が入り、アオバが決定的に成長する瞬間として最後にOKが出る描写が満足感を醸成。締切間近の夜のオフィスも、ガラスの向こうに見える東京の夜景と同様に等身大で、背景に「疲労しながらもアートを描く」空気が漂います。

3) 女性ゲーマー・開発者の視点

作品全体に漂うのは、女性がゲーム業界に入るときの「視線」と「心の距離感」。アオバが「女性だから」と見下される描写は特にないが、先輩たちが「かわいいものを描いてほしい」というリクエストを素直に持ち込むことで、女性の感性が重宝される一方、声優の設定やキャラの可愛さを過度に求められるプレッシャーも出てきます。このバランス感覚があるからこそ、女性読者も自分の働き方を重ねられるのではないかと感じます。

類書との比較

開発漫画では『働きマン』や『寄宿学校のジュリエット』などもあるが、本作の魅力は「業界のノウハウ」と「ゆるやかなギャグ」を両立させるところです。『バクマン。』がマンガづくりの成果を重視するとすれば、『NEW GAME!』は「毎日組んでいる作業」を描き、その中にある友情や試行錯誤を丁寧に描写。技術的には『WHITE ALBUM 2』のような制作進行の舞台設定、テンション的には『女子高生の無駄づかい』のようなゆるいテンポといずれにも近いですが、ゲーム開発という舞台が「テクニカルな職人仕事」に親しみにくさを感じている読者を引き込む役割を果たしています。

こんな人におすすめ

  • ゲーム開発に興味があるが、具体的な現場を知らない読者
  • 日常系青春マンガが好きで、仕事版を読みたい人
  • クリエイティブなチームワークの温度感を知りたい女性
  • アニメやCG制作に携わる人たちの心理的距離を感じたい人

感想

アオバのドキドキする初出勤より、後半のチームの会話や仕様検討のシーンが印象に残ります。個人の感性が集まってキャラクターを生み出し、先輩たちの励ましが「線を変えよう」と思わせる。読むたびに「楽しいけれど甘くない」現場の空気を味わえ、「この仕事をしてよかった」と胸を張れる瞬間がどこにあるかを考えさせられる良いスタートでした。

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    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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