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レビュー

概要

『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』1巻は、現代で人生をこじらせた男が、異世界で赤ん坊「ルーデウス」として転生し、「今度こそ本気で生きる」と決める導入巻です。
転生ものは、チートで無双して気持ちよく勝つ話になりやすい。でも本作の1巻は、気持ちよさより先に「やり直しの怖さ」をちゃんと描きます。過去の後悔を抱えたまま、もう一度人生が始まるからです。

漫画版は、ルーデウスの内面の“情けなさ”と“必死さ”が、表情やテンポで伝わりやすいです。笑える場面があるのに、笑いが薄っぺらくならない。そこが導入として強いです。

読みどころ

1) ルーデウスの決意が、綺麗な言葉じゃなく行動で出る

「本気で生きる」と言うのは簡単です。
でも1巻のルーデウスは、勉強し、練習し、積み上げます。魔術を覚える場面は分かりやすい成長ですが、もっと大きいのは、外に出て人と関わることを選ぶ意志です。引きこもりの癖は、転生したから消えません。だからこそ、一歩が重い。

2) 異世界の生活が、ただの背景にならない

家族、地域、言葉、常識。異世界では、“当たり前”が違います。暮らしの感覚も別物です。
1巻は、その生活の中で、ルーデウスが「自分の過去の失敗」を繰り返さないように、慎重に動く姿を描きます。転生の利点を使うというより、転生の重さを背負う感じです。

3) 物語が「才能」だけで押し切らない

ルーデウスには才能がある。でもそれが万能の救いにはならない。
人間関係の不器用さ、怖さ、変なプライドは残る。だから、成長が派手な覚醒ではなく、日々の選択として見えてきます。1巻は、その地味な積み重ねが一番刺さります。

1巻で立ち上がるテーマ(やり直しは、過去を消せない)

転生は、人生のリセットに見えます。でも実際には、過去の記憶を持ったまま始まる。
だから“やり直し”は、過去をなかったことにする救いではありません。過去と一緒に生き直す挑戦です。1巻のルーデウスは、その挑戦を逃げずに引き受けます。

個人的に好きなのは、ルーデウスが「良い人」に生まれ変わる話ではなく、「ダメな自分のまま、マシな選択を積み上げる」話になっているところです。
完璧に改心するのではなく、揺れながらも戻ってくる。だから、読者も自分の失敗を重ねられます。

1巻で描かれる“具体的な成長”(赤ん坊から始まる、地味でリアルな積み上げ)

1巻は、まず「赤ん坊の体で、頭だけ大人」というズレから始まります。
笑えるんだけど、笑っていいのかちょっと迷う。その居心地の悪さが、過去の後悔を背負った転生だと教えてくれます。

印象に残るのは、ルーデウスが“環境”を変えるのではなく、自分の行動を変えようとするところです。
本を読み、文字を覚え、魔術を練習する。たとえば魔術は、派手な必殺技よりも、基礎を反復して「できるようになった」を積み上げていきます。漫画だと、その反復がテンポ良く進むので、成長の実感がつかみやすいです。

そして1巻の大きな軸が、家庭教師ロキシーとの時間です。
先生が“憧れの対象”として登場するだけじゃなく、教わる・褒められる・できなくて落ち込む、という当たり前の学びの流れが描かれます。転生ものなのに、ちゃんと「勉強もの」になっているのが気持ちいいんですよね。

読む前に知っておきたい注意点(合う・合わないが出やすい)

このシリーズは、主人公のダメさも含めて描く作品です。
1巻の時点でも、ルーデウスの言動には「うわ…」となる瞬間が出てきます。そこを“最初から理想の主人公”として読もうとすると、たぶんしんどい。

逆に言うと、「ダメなままスタートして、少しずつマシになる」物語が好きな人には、かなり刺さります。
嫌な部分をごまかさずに出しているからこそ、変化が見えたときにちゃんと嬉しい。1巻は、その土台を作る巻です。

こんな人におすすめ

  • 転生ものが好きだけど、ちゃんと“人生”の重さも欲しい人
  • 主人公の成長が、段階を踏んで描かれる作品を読みたい人
  • やり直したい気持ちを、物語で整理したい人

感想

1巻を読み終えた時点で、「この先の成功」を見たいというより、「この人が折れずに続けられるか」を見守りたくなります。
ルーデウスは強くなっていく。でも、その強さは戦闘力だけじゃない。人と話す、外へ出る、怖いまま動く。そういう当たり前のことを“当たり前にする”強さです。

異世界ファンタジーのワクワクと、人生のやり直しの苦さが同居している。1巻は、その混ざり方が一番分かりやすく味わえる導入巻でした。

電子版で読むと、表情の“情けなさ”の描き込みが分かりやすくて、笑いと痛みの同居がより強く感じられます。
ページをめくる速度が上がるのに、ふと止まりたくなるところもある。そういう意味でも、1巻は軽く読めるのに軽く終わらない漫画でした。

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    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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