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レビュー

概要

『サプリ』6巻は、広告代理店で働く藤井ミナミの生活が、ただ忙しいだけでは説明できない段階に入っていく巻として読めます。
仕事は慣れたはずなのに、慣れるほど「代わりがきく自分」や「成果の見えにくさ」にぶつかる。恋愛も友情も、若さの勢いだけでは乗り切れなくなる。シリーズの中盤にあたる6巻は、その“逃げられなさ”が濃くなります。

ミナミの周りには、フリーのコピーライター柚木曜子、同じ代理店の田中ミズホといった存在がいて、飲みの場や会話の中で、仕事と人生の現実が剥き出しになります。励まされるのに、同時に刺さる。その痛さが、この作品の魅力です。

読みどころ

1) 「働く女子」の物語が、根性論に寄らない

忙しさの描写は、ただの苦労自慢になりません。
段取り、修正、締切。頭を下げる場面もあるし、妥協しないと回らない局面もある。そこで「どう折り合いをつけるか」を、ミナミの選択として描きます。

2) 友情が“救い”だけでは終わらない

ミナミと曜子の関係は、癒しの親友関係というより、時々ぶつかるから成立している感じがあります。
励まし合うだけなら楽です。でも、羨ましさや焦りが混ざると、言葉は簡単に鋭くなる。6巻は、その鋭さを隠さずに見せるから、関係が軽く見えません。

3) 仕事の夢が、現実の中で形を変えていく

ミナミは「見た人が幸せに感じるCMを作りたい」という夢を持っています。
ただ、夢はずっと同じ形では保てません。生活が変わるほど、夢は問いになります。「何のために働くのか」「何を作りたいのか」。6巻は、その問いが現実の重さとセットで迫ってきます。

6巻で意識したい人間関係(支え合いと、刺し合いが同居する)

ミナミの周りには、立場も価値観も違う人がいます。だからこそ、助かる瞬間もあれば、しんどい瞬間もある。
たとえば曜子は、強そうに見えるのに、将来への不安も抱えています。恋愛の形も、世間の想像する“正解”とはズレている。だから言葉が鋭くなることもある。

ミズホは、美人で仕事もできる先輩です。既婚者としての顔もある。
外から見たら「勝っている人」に見えるのに、本人の内側では別の問題が進む。そういう人が近くにいると、ミナミは励まされる一方で、焦りも加速します。

6巻は、その焦りを“努力不足”に回収しないのが良いところです。努力ではどうにもならないズレがあり、人生の選択は、同じ努力量でも違う結果になる。
その不公平さを抱えたまま、それでも仕事を続ける。そこで出てくる言葉が、きれいごとになりません。

6巻の読み方(感情の“正しさ”が崩れていく面白さ)

この作品の良いところは、誰かの感情が常に正しいわけではない点です。
忙しいから冷たくなることもあるし、寂しいから優しくできないこともある。逆に、優しさが相手を追い詰めることもある。6巻は、そういう感情のねじれが増えていくぶん、読後に残るものが深くなります。

仕事も恋愛も、「正しい選択」はあとからしか分からない。だから、今の自分を信じるしかない。ミナミの揺れを見ていると、その不確かさがリアルに感じられます。

こんな人におすすめ

  • 仕事に慣れたはずなのに、急にしんどくなる時期を経験した人
  • 恋愛と友情の両方が生活に絡む物語が好きな人
  • “頑張る”を美談にしない漫画を読みたい人

感想

6巻を読んで感じるのは、ミナミの戦いが外側より内側に寄ってくることです。締切や徹夜は相変わらずきつい。でも本当に苦しいのは、「このまま続けた先に何があるのか」を自分で引き受けるところ。
誰かの正解に乗れないから、全部が自己責任に見えてしまう。そういう年代の苦しさが、ミナミの言葉や沈黙として滲みます。

個人的に刺さるのは、登場人物たちが強く見えるのに、実は脆いところです。仕事ができても不安は消えない。恋愛があっても満たされない。
その現実を、ドラマっぽい演出より、日常の会話で切ってくるのが上手い。6巻は、シリーズの中でも「生活の深さ」を味わえる1冊だと感じました。

シリーズを途中から読むのは不安、という人もいると思います。でも6巻は、仕事の疲れ方や人間関係のこじれ方がかなり普遍的で、ここからでも刺さる箇所が出てきます。
1巻で始まった「働く」と「生きる」の話が、より逃げにくい形で戻ってくる。そういう読み味の巻でした。

だからこそ、読後に少しだけ自分の生活を見直したくなります。

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    佐々木 健太

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