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レビュー

概要

『マンガのマンガ 初心者のためのマンガの描き方ガイド コマ割りの基礎編』は、マンガの「コマ割り」を、マンガ形式で学べる入門書です。
絵が描けても、マンガとして読ませるのは別スキル。そこで本書は、コマ割りを「センス」ではなく「読者に伝わる設計」として扱い、初心者がつまずきやすいポイントを言語化してくれます。

読みどころ

1) 「なぜこのコマが大きいのか」を説明できるようになる

マンガを読んでいると、見開きや大ゴマで“見せ場”を作る場面があります。真似しようとしても、理由が分からないと再現できません。
本書は、「なぜそのコマが大きいのか」を読者目線で整理してくれるので、勢いでコマを割る癖が減ります。コマのサイズは、感情の強さや時間の伸び縮みとつながっている。そういう感覚が手に入ります。

2) 「視線の流れ」を意識したコマ割りに変わる

コマ割りで一番ありがちな失敗は、読み順が迷子になることです。読者の視線は、コマの配置やフキダシの位置で誘導されます。
本書は「視線の流れ」を軸に、読者が止まらずに読める画面設計を教えてくれます。描き手の頭の中だけで成立しているマンガから、読者に届くマンガへ切り替えるための視点です。

3) 「なんとなく4コマ」から「意図のあるコマ割り」へ

初心者の時期は、4コマっぽいテンポでページを埋めがちです。すると、見せたい場面が埋もれます。
本書を読むと、コマを割る目的がはっきりしてきます。説明のコマ、溜めのコマ、見せるコマ。役割を分けて考えられるようになり、ページ全体のメリハリが出ます。

こんな人におすすめ

  • キャラ絵は描けるのに、マンガにしたとき読みにくいと言われる人
  • コマ割りの“正解”が分からず、毎回ページで迷う人
  • 同人誌やWebマンガを描き始めたいが、構成に自信がない人

感想

この本を読んで一番良かったのは、コマ割りが「絵を並べる作業」ではなく、「読者の体験をデザインする作業」だと腹落ちしたことです。
描く側は頭の中でストーリーが見えているので、つい説明を省いたり、逆に情報を詰め込んだりします。でも読者は、ページの上の情報しか持っていません。だから、視線が迷わない順番、溜めが効く間、見せたい場面の強調が必要になります。

本書は、そうした“当たり前”を、初心者でも実感できる形に落としています。読み終えたあと、コマを割る前に「このページで何を感じてほしいか」を考える癖がつきました。
マンガを描く楽しさは残しつつ、読ませる技術を習得したい人に、ちょうどいい一冊です。

具体的な活かし方(ネームの前にやる3チェック)

本書を読んでから、いきなりネームを描き始めるより、次の3つを先に確認する癖がつきました。

  1. このページのゴールは何か(読者に驚いてほしい、泣いてほしい、理解してほしい)
  2. 見せ場のコマはどれか(大きくする理由が言えるか)
  3. 読み順が迷子にならないか(視線が自然に流れるか)

ここが定まると、コマ割りが“埋め作業”になりにくいです。逆に言うと、迷ったまま割ると、読みづらさは配置に出ます。

ありがちなつまずきと、本書が効く場面

セリフが多くなり、画面が詰まる

初心者にありがちですが、説明したいことが増えるほど、フキダシも増えます。その結果、絵もセリフも小さくなって視線が渋滞する。
本書は「読者目線」を軸にしているので、削る基準が作れます。言いたいことを全部入れるのではなく、読者が追える量に落とす。コマ割りの話から、情報整理の話にもつながります。

見せ場が弱く、同じテンポで進む

「全部同じサイズのコマ」で1ページが埋まると、読んでいて息継ぎがありません。見せたい場面ほど、逆に流れてしまう。
本書が教えてくれるのは、大ゴマの使い方そのものというより、「大きくする理由」を言語化する視点です。理由が持てると、見せ場が立ち上がります。

注意点

コマ割りの“型”を覚えると、いったんは安全に描けます。ただ、型に寄りかかりすぎると、画面が無難になります。本書は入門として、まず読者に届く形を作るのに向きます。そこから先は、作品のジャンルやテンポに合わせて崩していく。そういう段階を意識すると、学びが長持ちします。

また、本書は「コマ割りの基礎編」なので、キャラクター作りや長編構成の話を期待するとズレます。まずは1ページのネームを作り、コマの役割をラベリングしてみる。次に同じ場面を、コマの大小だけ変えて描き直してみる。そうやって“変化の理由”を体で覚えると、読み味が一気に変わります。

コマ割りは地味に見えますが、ここが整うと、作画の粗さより先に「読める」になります。最初の基礎として取り組む価値が高い分野です。

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    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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