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レビュー

概要

『儲かる!空き家・古家 投資入門』は、築古物件や空き家を安く仕入れ、再生し、賃貸や売却で利益を出すための考え方をまとめた実践的な不動産本です。新築や駅近の人気物件を高値で買う王道とは違い、条件の悪さに見える部分をどう価値へ変えるかに焦点を当てています。

空き家や古家の本というと、DIY やリノベーションの楽しさに寄った内容を想像しがちですが、本書の軸はあくまで投資判断です。どんな物件なら再生の余地があるのか、どのくらいの改修で価値が戻るのか、どこから先は手を出さない方がいいのか。そうした線引きが全体を通して意識されています。

古家投資は利回りの数字だけ見ると魅力的に見えますが、現場では修繕コスト、地域需要、工事の見積もり、入居付けなど、見えにくい論点が多いです。本書はその現実を踏まえながら、仕入れから出口までの流れを立体的に理解させてくれます。

読みどころ

読みどころの1つ目は、古家投資を「安いから買う」話にしていないことです。築古物件は価格だけ見れば魅力的でも、直す費用や地域の需要を見誤ればすぐ苦しくなります。本書は、物件そのものだけでなく、立地、周辺の賃貸需要、近隣環境、出口戦略まで含めて判断する必要を繰り返し示してくれます。

2つ目は、改修に対する考え方が現実的なことです。古家再生は見た目をきれいにするだけでは足りず、耐久性や設備、募集時に見られるポイントまで考えないと意味がありません。本書は、どこへお金をかけると価値が出やすいか、逆にやりすぎると回収が難しくなるかを考える視点があり、初心者が暴走しにくいです。

3つ目は、地方や郊外も含めた古家投資の実務感があることです。空き家問題は都市部だけの話ではなく、地域によって需要の形がまったく違います。本書は、物件単体の魅力だけでなく、誰に貸すのか、どういう使われ方を想定するのかという目線が入るため、投資を地域の文脈で考えやすいです。

また、ビフォーアフターや再生事例の発想が強いので、単に危険性を並べる本よりも、どう利益を生む形へ変えていくかのイメージが持ちやすいです。古家投資の魅力もリスクも両方見えてくる本でした。

類書との比較

不動産投資本の多くは、新築一棟、区分マンション、あるいは一般的な賃貸経営に重点を置いています。その中で本書は、古家再生という少しクセのある分野に絞っているのが特徴です。だからこそ、万人向けではない一方で、この領域に興味がある人には刺さります。

DIY やリフォーム中心の本と比べると、本書は投資判断が軸にあります。反対に、一般的な大家本と比べると、物件取得後の再生プロセスに重心があります。つまり、「どう直すか」だけでも「どう買うか」だけでもなく、その両方をつなぐ本です。

空き家活用に関心があっても、地域貢献の文脈だけで読むと収支の現実が見えにくくなります。本書はそこをしっかり投資の言葉で整理してくれるので、夢見がちな古家再生論とは距離があります。その堅実さが好印象でした。

こんな人におすすめ

おすすめなのは、築古物件や空き家を使った不動産投資に興味がある人です。新築や王道の区分投資ではなく、もう少し工夫の余地がある分野で勝負したい人にはかなり参考になります。

DIY やリノベに興味はあるが、それを収益とどう結びつけるかが分からない人にも向いています。単なる趣味の改装ではなく、費用対効果の視点を持ちたい人には役立ちます。地方や郊外の古家に可能性を感じている人にも相性がいいです。

逆に、手間を極力かけず、標準化された投資商品として不動産を持ちたい人にはやや不向きです。古家投資は手間と判断の量が多いので、そこを面白いと思える人向けの本です。

感想

この本を読んで感じたのは、古家投資の魅力は「安く買える」ことより、「見落とされた価値を拾える」ことにあるという点です。ただし、その価値は勘ではなく、現地確認、見積もり、需要把握を通して見つける必要があります。本書はその当たり前を、具体的な視点に分解してくれます。

また、古家投資をロマンや節約術ではなく、ちゃんと事業として見る姿勢が一貫しているのもよかったです。古い家を直すこと自体に満足してしまう危うさを避け、最後に利益が残るかどうかで考える視点を持たせてくれます。

空き家問題と不動産投資の両方に関心がある人にとって、本書はかなり使える一冊でした。派手な成功談に寄りすぎず、現場で何を見るべきかが見えるので、古家再生を投資として考えたい人の入口に向いています。

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