レビュー
概要
『だるまさんが』は、「だ・る・ま・さ・ん・が…」の溜めから始まり、ページをめくった瞬間に笑いが弾ける、超シンプルな参加型絵本です。文章量は少ないのに、読み聞かせの場が一気に“遊び”に変わる。赤いだるまさんの動きと、リズムの強さが核になっています。
読みどころ
- 「…」の間が、子どもの集中を引き寄せる
- 絵の動きが大きく、まねしたくなる
- 短い言葉で「大げさに表現する」練習ができる
読み聞かせのコツ(“間”を主役にする)
この本は、感情を乗せるよりも、間を設計したほうがうまくいきます。最初の「だ・る・ま・さ・ん・が…」は、できれば一定のテンポで刻む。最後の「…」で止める。ここで子どもが身を乗り出したら成功です。
ページをめくる瞬間は、少しだけ大げさにすると盛り上がります。声を張る必要はありません。むしろ小声でもいいので、めくる前に息を吸って、めくった後に「おっ」と表情で見せる。すると、子どもは“反応していい場”だと理解します。
絵の設計がすごい(目で追える・体でまねできる)
背景がすっきりしていて、だるまさんの存在感が際立ちます。視線が迷わないので、0〜1歳でも「見て→気づく」のハードルが低い。しかも、動きが大きいから、手足の動きに変換しやすい。ここが他の赤ちゃん絵本と違うところです。
「まねする」といっても、正確さは要りません。揺れる、体を丸める、顔を寄せる。その程度でも“参加した感覚”が出ます。だから、家庭や園で、読み聞かせの後に自然と遊びが続きます。
類書との比較
同じく乳幼児向けの“繰り返し絵本”は多いですが、本書はとにかく動きが強いです。音で笑わせるのではなく、動きで笑わせる。だから、読み手が多少照れくさくても、ページをめくれば子どもが反応してくれます。読み聞かせが得意でない人でも「型」に乗りやすいのが良さです。
こんな人におすすめ
- はじめての読み聞かせで、子どもの反応がほしい人
- 0〜2歳のクラスや、親子イベントで盛り上がる絵本を探している人
注意点
文章が少ないぶん、「物語を聞かせたい」と思っている大人には物足りなく感じるかもしれません。けれど本書の価値は、ストーリーよりも“反応の引き出し方”にあります。読むというより、場を作る本。そこに期待を合わせると満足度が上がります。
もう1つは、子どもの視界に絵を入れる位置で読むことです。 変化は面白さの中心です。顔を上げたときにページを見せられていないと、反応は薄くなることがあります。 少しだけ高めに構えるだけで、食いつきが変わります。
感想
この絵本の面白さは、読み聞かせが“上手い/下手”の領域を超えるところにあります。読むというより、一緒に動く。だから、読み手の声の大きさよりも、間の取り方と、顔の表情が効きます。
最初の「だ・る・ま・さ・ん・が…」は、ただの導入ではありません。ここで少し引っぱると、子どもの目が絵に吸い寄せられます。ページをめくる前に、つい体が前のめりになる。絵本の中の“次”を待つ経験が、そのまま集中力の練習になっている感覚があります。
そしてページをめくると、だるまさんが大胆に変化します。転がったり、のびたり、つぶれたり。動きが大きいから、子どもがまねをしやすい。読み聞かせの場で「同じ動きしてみよう」と声をかけると、自然に全身を使った遊びになります。言葉がまだ少ない時期でも参加できるのが強いです。
個人的に好きなのは、笑いの作り方が“びっくり”寄りなところです。怖がらせるのではなく、「えっ、そうなるの?」という明るい驚き。短いページ数でも何度も読まれやすいのは、展開が分かっていても、体が先に反応してしまうからだと思います。
読み終わった後、子どもがページをめくるしぐさを真似し始めたり、だるまさんの動きを自分で再現しようとしたりします。絵本が終わってからも遊びが続く。ファーストブックとして紹介される理由が、体感として納得できる一冊です。
短いからこそ、“一日に何回でも”が成立します。朝の支度でぐずったとき、寝る前の切り替え、移動前の数分。長い物語が難しいタイミングでも、同じ絵本で気分を整えられるのはありがたいです。
また、繰り返し読むうちに、子どもが「…」のところで先に笑ったり、ページをめくる前に体を動かしたりします。展開を覚えることが退屈ではなく、むしろ“参加の精度”が上がっていく。絵本が遊びの道具になっていく過程まで含めて、よくできた一冊だと感じました。
出版社紹介の言葉通り、ページをめくるたびに「あらら」「びっくり」「大わらい」が起きるタイプの絵本です。まずは1冊、反応を見たい。そんなときの最短ルートとしておすすめできます。持ち運びにも便利です。