『お母さんと赤ちゃんが楽しむ ベビ-ヨ-ガ (GAIA BOOKS)』レビュー
出版社: ガイアブックス
出版社: ガイアブックス
『お母さんと赤ちゃんが楽しむ ベビーヨーガ』は、赤ちゃんと母親が一緒に楽しむヨーガを、誕生から3歳までの成長段階に合わせて紹介した実践書です。ガイアブックスの公式ページでは、本書を「お母さんと赤ちゃんをヨーガの世界へといざなうガイドブック」と説明していて、単なるポーズ集ではなく、親子の絆を深めながら赤ちゃんの発達と母親の産後ケアを両立させる本として位置づけています。
著者のフランソワーズ・バービラ・フリードマンは、ガイアブックスの紹介によればヨーガ講師であり、ケンブリッジ大学の医療人類学者でもあります。南米アマゾンで得た子育ての知恵や、妊婦・産後の母親向けに開発したリラクゼーションのプログラムが背景にあるので、本書にも運動だけでなく身体感覚とケアの発想が通っています。
この本の構成はかなり明快です。公式の目次には、「なぜベビーマッサージとベビーヨーガをするの?」「いつ、どこでする?」「始める前に」「赤ちゃんの基本的な抱き方」といった導入が並びます。そのあとに実践編として「1 ベビーマッサージ」「2 初めてのベビーヨーガ」「3 生後4ヵ月からのベビーヨーガ」「4 赤ちゃんと一緒に産後のヨーガ」「5 運動能力を育てるベビーヨーガ」「6 よちよち歩きのベビーヨーガ」「7 幼児のためのヨーガ」と続きます。要するに、赤ちゃんの月齢や発達段階に合わせて無理なく進められるようにできています。
まず良いのは、いきなりポーズを並べないことです。本書は最初に「なぜ行うのか」と「いつどこで行うのか」を確認させます。親子の本では、方法だけを示して終わるものも多いのですが、本書は準備段階を重視します。赤ちゃんの様子を見ながら行うこと、無理をしないこと、抱き方や触れ方に気をつけることが土台として置かれているので、初心者でも入りやすいです。
実践編に入ると、単にストレッチをする本ではないことがよく分かります。ガイアブックスの内容紹介では、本書で扱うのは「ヨーガの真髄を元にしたシンプルなストレッチ、ポーズ、マッサージ」であり、赤ちゃんの背骨を強化し、関節の動きを良くし、全身の機能を高める動きだと説明されています。同時に、母親の産後の腹筋を整える動きも含まれる。つまり、赤ちゃんだけの運動でも、お母さんだけのエクササイズでもなく、親子双方の身体を見ているところが特徴です。
とくに第1章のベビーマッサージから第3章の生後4ヵ月以降のヨーガまでの流れは、発達を追いながら親子の関わりを深める作りになっています。最初は触れる、抱く、揺らすといった穏やかな接触から始まり、少しずつ赤ちゃんの動きに合わせた関わりへ広がっていく。ここが本書のやさしいところです。赤ちゃんに何かを「させる」のではなく、発達に応じて関わり方を変えていく本として読めます。
第4章の「赤ちゃんと一緒に産後のヨーガ」も重要です。産後ケアの本とベビーケアの本が分かれていることは多いですが、本書はそこを分けません。赤ちゃんと一緒にいる時間の中で、母親自身の身体の回復も考える。この視点があることで、育児のなかに小さなセルフケアを組み込みやすくなっています。
さらに後半では、運動能力を育てるベビーヨーガ、よちよち歩き期、幼児向けのヨーガへと進みます。ここまで視野を広げているので、本書は新生児期だけの本ではありません。誕生直後から3歳まで、親子で一緒に楽しむステップを通しで見られるのが強みです。気になる動きだけを拾って試せますし、成長に合わせて見返す使い方もできます。
全体を通じて感じるのは、本書が「できるかどうか」より「一緒に心地よく過ごせるか」を優先していることです。赤ちゃんの身体機能や母親の回復という実利はありつつも、根っこにあるのは親子の時間を整える感覚です。だから競争や成果とは無縁で、育児のなかの静かなコミュニケーションとして機能します。
ベビーマッサージの本は触れ方に特化しがちで、産後ヨガの本は母親側の回復に寄りがちです。本書はその両方をつなぎ、さらに赤ちゃんの成長段階ごとのヨーガまで含めています。親子のスキンシップ、発達、産後ケアを一冊で見通せる点で、実用性が高い本です。
この本の良さは、ベビーヨーガをおしゃれな習い事のように見せすぎないことです。赤ちゃんの身体の動き、親の触れ方、産後の回復という現実的なテーマがしっかり入っているので、生活の中に置きやすい。写真が豊富で流れも追いやすく、「今日はここだけやってみよう」と試しやすい構成でした。
読んでいて特にいいと思ったのは、親のための本でもあり、赤ちゃんのための本でもあるところです。育児中は、自分の身体のことを後回しにしがちですが、本書は親子の時間の中で母親自身の回復も考えます。赤ちゃんと向き合う時間を、ケアや運動、ふれあいの時間に変えてくれる一冊だと感じました。