レビュー
概要
『本当に頭のいい人が実践している AI時代の読書術』は、読書を「知識の詰め込み」ではなく「頭脳を鍛える習慣」として位置づける本です。著者は年間1000冊以上のビジネス書に目を通し、要約と書評のメルマガでも知られる人で、AI時代に必要な読書の仕方を分かりやすく解説します。
この本が面白いのは、AIが発達したからこそ「脳の筋トレ」が必要だ、と言い切るところです。検索や要約が便利になるほど、人間側に残る価値は思考の体力になる。だから読書を、仕事のスキルというより“土台づくり”として語ります。
読みどころ
1) AI時代に問われる「頭の良さ」を定義する
第1章では、AI時代に問われる頭の良さとは何かが語られます。読書はAI時代でも脳の筋トレになる、という主張がここで置かれ、読書が趣味ではなく生存戦略として扱われます。
2) 読書の誤解をほどいて、準備体操から始める
第2章は「こう読めば頭が良くなる」。読書の誤解を解き、読書前の準備体操が出てきます。いきなり速読やメモ術に飛ばないので、挫折しにくい構成です。
3) 選書と活用まで含めて、読書を“使える形”にする
第3章で選書、第4章で活用に進みます。何を読めば頭が良くなるのか、良書に出合える選書眼とは何か。そして、本をたたき台にして読んだ時間の3倍考える、知識をアウトプットする、といった使い方が語られます。
本の具体的な内容
章立ては次の通りです。
- 第1章:AI時代の読書(AI時代に問われる頭の良さ、読書は脳の筋トレ)
- 第2章:こう読めば頭が良くなる(読書の誤解、読書前の準備)
- 第3章:頭が良くなる本はこう選ぶ(何を読むか、選書眼)
- 第4章:頭が良くなる読書の活かし方(読んだ時間の3倍考える、アウトプット)
- 第5章:おすすめ30冊(創造性、戦略と経営などのジャンル別)
第5章で30冊が紹介されるのは、助かるポイントです。読書術の本を読んでも「で、次に何読めばいいの?」で止まりがちですが、この本はそこで止めません。創造性を育む本、戦略と経営を学ぶ本など、目的別に入口が用意されています。
また、出版社内容情報の中で、読書の効果として「思考力が伸びる」「コミュニケーション力が向上」「生活の満足度や幸福が高まる」「身体・脳・メンタルの健康につながる」といった効能が並びます。全部がすぐ実感できるとは限りませんが、読書を続ける理由を多面化してくれるのが良いです。仕事のために読めない日があっても、生活のために読む、という逃げ道が作れます。
読書を“筋トレ”にする小さな工夫
第4章で触れられる「読んだ時間の3倍考える」は、いきなり全部やろうとすると苦しいです。おすすめは、まず「1つだけ問いを作る」ことだと思いました。たとえば、読んだ内容を自分の仕事に当てはめるなら何が変わるか。反対に、今の自分の前提が間違っている可能性はどこにあるか。問いが1つあるだけで、要約を読んで終わる読書から抜け出しやすくなります。
さらに、アウトプットも大げさにしなくていい。人に話す、メモを残す、次に読む本を決める。小さなアウトプットを続けることで、読書が“知識の保管”から“思考の運動”に変わっていきます。本書は、その最小単位を意識させてくれる本だと感じました。
おすすめ30冊の使い方
第5章の30冊は、全部読むためのリストというより、「自分の弱点を補う入口」だと思います。創造性、戦略と経営など、切り口が複数あるので、まずは今の自分に一番必要そうな棚から1冊選ぶ。読んだら、次の1冊を同じ棚にするか、別の棚に移るかを決める。その繰り返しで、読書が“流行の追いかけ”ではなく“自分の設計”になります。
読書術の本は、読んだ直後はやる気が出ても、数日で元に戻りがちです。本書は「選書→読み方→活かし方」まで流れがあるので、戻りにくくする工夫が見えます。
こんな人におすすめ
- AI時代に、自分の強みが何になるのか不安
- 読書はしているけど、思考力につながっている感じがしない
- 何を読めばいいか迷って、積読が増えている
- 本の内容を仕事や生活で使える形にしたい
感想
この本を読んで一番良かったのは、「読書は時間がある人の趣味」という空気が薄れたことでした。AIが便利になるほど、人間は考えなくなる。だから意識的に、考える体力を作る。読書を筋トレとして捉えると、サボった日があってもまた戻れます。
特に「読んだ時間の3倍考える」という発想は、読書を“やった感”で終わらせないための良い目印だと思いました。要約を読むだけでも知識は増えるけれど、思考の筋肉はつきにくい。だから、自分の言葉で問いを立てて、少しだけ考える。その習慣を作るための本として、使える一冊だと感じました。