レビュー

概要

2018年9月に刊行された、中井学プロによる100切りを本気で目指すアマチュア向けの定番本。テレビやYouTubeでも人気の”ボディターン理論”をベースに、スウィングはたった2つの動作で構成できると明言する。グリップと構えを固めたうえで、ボディローテーションとアームローテーションを分けて練習し、それをサイドベントで調整することで約90を切る許容範囲につなげる構成になっており、感覚論に依存せず体幹の動きを丁寧に可視化した。単行本176ページのボリュームながら、各章で”なぜこの動きだけでスコアが安定するのか”を反復的に説明してくれる。

読みどころ

  • 「たった2つの動作」への集中:第4章で示されるボディローテーションとアームローテーションを、動作順序ごとに分けて説明。体重移動を伴った肩の回転と、クラブを持って動くための手首の使い方をそれぞれトレースすることで、かつての”腕だけ”に頼るスイングから体全体を連動させた動きへと切り替わる。
  • サイドベントでのリカバリー:第5章で力を抜いたサイドベントの重要性を説き、フィニッシュで必ず左腰を動かす理由を実践的に提示。この章のトレーニングでは、シンプルな壁のストレッチを使いながら右への腰の押し出しと、左サイドへの伸びをセットで確認する。
  • 「90を切る」ための疑似スコアカード:冒頭で示される”90を切るための知識”と第7章の「実践に役立つ技術」により、練習メニューがスコアに直結している感覚。フォームのマーカーを8つに分解し、毎回の練習でチェックすることで自分の”90のバッジ”を作る仕様。
  • 動画のカット割りのような記述:YouTubeやTeachableで中井プロが”2つの動作”を再三動く映像を見せるとき、本書の各節に「カット1」「カット2」といったキーワードが並ぶ。文章を読むだけでも映像のリズムを再生できるため、動画を見る習慣と本書の併用が練習効率を高める。
  • メディアで伝える有名性:docリサーチでも取り上げた通り、YouTubeやテレビでの露出が多く実績が見えやすい。著者自身が実演しながら「肩を回す→手を合わせる」の手順を実演する写真は、そのまま前傾角度の参考になり、受動的な読書ではなく体を動かす連動読書になる。
  • 初心者にも安心な言語:難しい用語を避け、「踏み込む」「ねじる」といった日常語で感覚を伝えるため、50代の読者でもすんなり入っていける。中井プロの語り口は、失敗を許容しながら再トライする雰囲気を持たせる。

類書との比較

スイングを直線的にとらえる『ゴルフは直線運動で上手くなる!』は手の出し方の訓練が中心だが、本書は体幹に焦点を移す。直線運動派が”理屈より構え”を重視するのに対し、中井プロは”回転と面を同時に考える”体験を誘う。『科学的ゴルフ上達法』のようにデータで軽く振り分けるタイプとも異なり、ここでは「どう動いたらスコアが変わるか」を2つの軸で区分し、思考も2つのフレームワークで整理するため、90切りを目指すアマチュアにとって実行しやすい。

こんな人におすすめ

  • 平均スコアが90〜110台で、体の使い方に整合性を求めたい人
  • 右手だけで振ってしまいがちで、体重移動のイメージがつかめない人
  • 友人やコーチと”ボディターン”の感覚を共有したい人
  • メディアで中井プロのレッスンを見ながら本格的な説明をもう一度確認したい人
  • ビデオで感覚を補完しながら、紙のアドバイスで反復練習したい人

感想

  • 「ボディローテーションとアームローテーションの分け方」が目から鱗で、背中が固まっていた自分でも”この2つを意識すればよい”というシンプルさに安心した。練習場に持っていき、打ち始める前にこの2つを紙に書いておくと、リズムがガラッと変わった。
  • サイドベントの章は、まるでサイドステップのための“ストレッチチュートリアル”だ。腰を軽く浮かせた状態でまあまあの距離が出るという感覚を得ることで、力任せだった頃の振りを忘れるきっかけになった。
  • 90切りに必要な技術を7章まで分解し、各章に確認シートをつけているので、1冊を読み終えるころには「自分の90切りチェックリスト」が完成する読後感があった。実戦での再現性を高くできる内容だ。

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    高橋 啓介

    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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