レビュー

概要

『テニス サービス上達 完全バイブル 差がつくトレーニング』は、サーブに特化して上達のポイントを整理する練習書です。 ショット全般ではなく、サーブだけに焦点を当て、紹介文では50のポイントを提示するとされています。

サーブは、試合の最初の一球であり、流れを変える武器でもあります。 同時に、フォームが崩れると修正が難しく、メンタルの影響も受けやすい技術です。 本書はサーブを、専門用語の暗記ではなく「身体の使い方」に引き戻して考える構成になっています。

読みどころ

1) 「投げる」動作からサーブを見直す

監修者コメントでは、サーブは「ボールを投げる」動作と基本的に同じだと述べられます。 トスアップしたボールを捉える感覚も「捕る」感覚に似ている。 こうした置き換えが、フォーム迷子から抜ける入口になります。

2) 体幹、重心、回転を、練習に落とす

紹介文では、体幹からの力を伝える練習、重心の安定でトスを正確にする練習、回転の仕組みを体得する練習が挙げられています。 抽象論で終わらせず、コツとトレーニングをセットにしている点が実用的です。

3) 実戦の論点が「リズム」に戻る

サーブは、入れることだけ考えると威力が落ちます。 強さだけ追うと入らない。 この二律背反を、リズムの維持、コントロールの自信、威力アップといった要素に分けて扱います。 試合の呼吸に合わせて修正する考え方が残ります。

本の具体的な内容

本書は大きく3章構成で、最初に正しい身体の使い方をチェックして習得する章が置かれています。 次に、サーブ動作の全体イメージを高め、動きを連携させる章に進みます。 最後に、クオリティを高め、勝つためのサーブを手に入れる章で締めます。

紹介文の中心にあるのは「機能分析」という考え方です。 いきなりテニスの専門知識に飛びつくのではなく、身体の正しい使い方から入る。 球技の基礎能力として「走る」「投げる」「捕る」「打つ」を挙げ、サーブをその延長で扱います。 ここが、よくあるフォーム論と違うところです。

また、本書は道具を使ったり、練習方法に工夫を入れたりして、コツの習得を促すとされています。 壁、的、リズムの取り方など、環境を少し変えるだけで体感が変わるタイプの練習が想像しやすいです。

注意点として、サーブは個人差が大きい技術でもあります。 痛みが出る人は、無理をせず、フォーム確認や指導者への相談と併用するのが安全です。 本書は、上達のための観察ポイントを増やす道具として使うと力を発揮します。

進め方のコツ

サーブの改善は、原因が1つに見えないのが難しさです。 本書が提示するように、身体の使い方、トスの安定、回転の扱い、リズムといった要素に分けて考えると、修正が現実的になります。

読み方としては、最初から順に読むより、今の課題に近い章から入ってもかまいません。 たとえば試合でダブルフォルトが増えるなら、リズムや再現性に関わる項目を先に読む。 威力が出ないなら、体幹から力を伝える、重心を安定させるといった前提に戻る。 こうした行き来ができると、練習の目的がはっきりします。

また、コツを読んだ直後に短いトレーニングを入れるのが効果的です。 長時間の反復より、数分でも体感をつかむ。 体感が出たら、翌日にもう一度同じ項目へ戻る。 この往復で、サーブが理屈だけの知識になりにくくなります。

加えて、試合形式の練習へ戻る前は「目的を1つに絞る」のがポイントです。 威力、コントロール、回転、どれも大事ですが、一度に全部は変わりません。 本書の項目を使って、今日はトス、今日は重心、今日はリズム、という具合に焦点を固定すると、改善が見えやすくなります。

類書との比較

テニスの技術書は、ストローク、ボレー、サーブを一冊で扱うものが多いです。 全体像はつかめます。 一方で、サーブに悩む人は情報が薄く感じやすいです。

動画レッスンは動きが見えて分かりやすいです。 ただ、見て満足し、練習の設計が残りにくくなりがちです。

本書は、サーブだけに絞り、コツとトレーニングを対にして提示します。 読むと練習メニューに落としやすい点が、類書との差になります。

こんな人におすすめ

サーブの調子が日によってぶれる人、トスやリズムで崩れやすい人に向きます。 フォームを言語化して、練習の観察ポイントを増やしたい中級者にも合います。 サーブを武器にしたいが、何を直すべきかが曖昧な人におすすめです。

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    高橋 啓介

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    佐々木 健太

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