レビュー
概要
『アシュタンガ ヨガ ~初級・中級・上級(A&B)~』は、長い歴史を持つヨガの中でも、古い伝統を守り続けて受け継がれてきたアシュタンガ ヨガを扱う一冊です。紹介文では、アシュタンガ ヨガを「インド古来のヨガの真髄」と表現し、体系として学びたい人に向けた本であることが伝わってきます。
特徴として明記されているのが、アシュタンガ ヨガのアドバンスA、アドバンスBを収録していること。そして日本語訳の監修を、シュリ K.パタビジョイス師から教えを受けた日本のヨガ指導者ケン・ハラクマ氏が担当している点です。アシュタンガ ヨガを「なんとなくの憧れ」で終わらせず、実践に落とすための“参照できる本”として位置づけられています。
読みどころ
1) 初級・中級・上級の「段階」がタイトル通りに用意されている
ヨガの本でよくあるのは、初心者向けのポーズ紹介で終わってしまうこと。でも本書は、初級・中級・上級(A&B)と段階を示していて、読み手が「次に進みたい」気持ちを前提にしています。
特にアドバンスA/Bまで収録している点は、学びの射程が広い。最初は“眺めるだけ”だったとしても、段階が先に見えていると、練習のモチベーションが変わります。「いつかやりたい」を「いつか到達したい」に変えてくれる構成です。
1.5) アドバンスA/Bを「知る」だけでも、練習の軸がぶれにくい
アドバンスA/Bと聞くと、いきなり遠い世界に感じるかもしれません。でも、上級の内容が見えることには意味があります。いま自分がやっている練習が、どこへつながっているのかが分かるからです。
紹介文が「ヨガの真髄を感じたいあなたに」と言っているのも、上級を煽るというより、体系の奥行きを見せる意図に近いと思います。段階があること自体も、アシュタンガ ヨガの魅力なので。
2) 伝統の話を、現代の実践に接続してくれる
アシュタンガ ヨガは「伝統」「師から弟子へ」といった言葉で語られることが多いです。その分、入口は重く感じやすい。本書は、その重さを「真髄を感じたい人へ」という言葉で引き寄せつつ、具体的な体系(シリーズ)として提示してくれます。
伝統を“ありがたがる”だけだと、日々の練習は続きません。体系があるから、迷いにくい。何を積み上げればいいかが見える。そういう実務的なメリットが、段階構成の裏にあります。
3) 監修者プロフィールが「学びの安心材料」になる
紹介文には、ケン・ハラクマ氏がインターナショナルヨガセンター(IYC)、アシュタンガヨガジャパン(AYJ)、日本アシュタンガヨガ研究所(AYRIJ)を主宰し、日本人で最初にシュリ K.パタビジョイス師から指導資格を取得したことが記されています。
誰が監修しているかが見えると、独学で取り組む場合の不安が少し減ります。もちろん、体の状態には個人差があるので無理は禁物ですが、情報の出どころが明示されているのは、練習の“道標”として心強いです。
「どの段階を読むか」を決めておくと使いやすい
タイトルに初級・中級・上級が並んでいる分、全部を一気にやろうとしてしまいがちです。でも実際は、今の段階を中心に読み、必要に応じて前後を参照するくらいが続きやすいと思います。
紹介文でも、アシュタンガ ヨガが「古い伝統を守り続け、脈々と今に受け継がれた」ものだと説明されています。伝統の実践は、派手に飛ばすより、同じことを丁寧に積み重ねた人に残る。だからこの本も、「今の自分の練習の精度」を上げるための資料として使うのが合います。
この本が向いている読み方
本書は、最初から上級まで通して実践するためというより、手元に置いて参照する使い方が合います。
- いま練習している段階を確認する
- 次の段階は何が必要なのかを把握する
- 練習が停滞したときに「体系」に立ち返る
段階が明確な分、焦って飛び級したくなる気持ちも出やすいですが、逆に言えば「今の自分の場所」を確認しやすい。続けるためには、この確認作業が意外と大事なんですよね。
また、紹介文にはケン・ハラクマ氏出演のDVD(SLOW-FLOW YOGA DVD)にも触れられていて、映像で学ぶ入口も示されています。紙で理解して、映像で動きを確かめる。そういう組み合わせを考えるきっかけにもなります。
注意したいこと(焦りや無理が一番の敵)
段階がある本は、どうしても「早く次へ」と焦りが出ます。でもヨガは、焦った瞬間に体が置いていかれる。特にアドバンスという言葉が目に入ると、気持ちだけ先に飛びやすいです。
本書は体系を見せてくれる分、逆に「今はまだここ」と線引きもしやすい。できない自分を責めるのではなく、段階として受け止めて淡々と積み上げる。そういう読み方ができると、この本は長く使えると思います。
こんな人におすすめ
- アシュタンガ ヨガを体系として学びたい人
- 初級で止まらず、中級以降の“道筋”も見たい人
- アドバンスA/Bに興味があり、参照できる本を探している人
- 指導者・監修者の背景が明確な資料を重視したい人
感想
この本の良さは、アシュタンガ ヨガを「雰囲気のかっこよさ」ではなく、段階のある学びとして提示してくれるところにあります。上級者の世界を見せるだけではなく、初級・中級・上級という階段をタイトルで明確にしてくれる。だから、読む側の気持ちが散らかりにくい。
ヨガの練習は、続けるほどに「次は何を目指せばいいんだろう」と迷いが出ます。そんなとき、体系があると戻れる場所ができます。本書は、その戻り場所として頼れる一冊だと感じました。