レビュー
概要
『誰でも一瞬で字がうまくなる大人のペン字練習帳』は、ペン字の「なぞり書き」だけでは上達しないという前提に立ち、上達のポイントを先に学ぶタイプの練習帳です。 出版社の紹介文では、2000人が効果を実感したこと、4つのポイントを押さえるだけで上達するといった特徴が示されています。 テレビで紹介され反響があったことも触れられています。
字がうまい人は、手先が器用なのではなく、見ているポイントが違います。 角度、間隔、中心線、はらい。 こうした要素が、無意識にそろっている。 本書は、その無意識を意識へ引き上げる練習帳として読めます。
読みどころ
1) 4つのポイントを先に固定する
練習帳を買っても上達しない理由は、基準がないことです。 お手本を見て、何を真似ればよいかが分からない。 本書は、正しいポイントを学ぶ必要があると明言し、4つのポイントを軸にします。 基準があると、練習の質が上がります。
2) クセ字を「直す対象」として扱う
字の癖は、性格ではありません。 運動の癖です。 癖は、分解して直せます。 本書は、上達しない人が抱える癖を前提に、改善の方向を示します。 自分の字を分析する視点が手に入ります。
3) 練習の成否が分かりやすい
ペン字の練習は、努力の割に手応えが弱い。 そう感じやすいです。 本書は、ポイントが明確なので、変化が見えやすいです。 練習時間が短くても、観察の精度が上がる。 この作りが続けやすさにつながります。
本の具体的な内容
本書の核は、なぞる練習から入らない点です。 まず、字がきれいに見える理由をポイントとして押さえる。 次に、練習でそのポイントを反復する。 この順番です。
紹介文では、4つのポイントを押さえるだけで上達するとされています。 ここで重要なのは、ポイントが「正解の形」ではなく「観察の基準」になることです。 線の方向や、文字の中心の取り方が分かると、初めて修正ができます。 なぞり書きは、基準がないまま手を動かすので、上達が遅くなります。 本書はその落とし穴を避けます。
もう1つのポイントは、道具の話を最小限にしている点です。 特別なペンを買う前に、書き方を整える。 この順番は合理的です。 もちろん、ペン先の太さや滑りで書きやすさは変わります。 ただ、書きやすさの前に、文字の骨格をそろえる必要があります。 本書は、骨格の話から入るため、道具に依存しにくい練習帳です。
また、練習帳は「続けられる設計」も大切です。 最初から大量に書かせると挫折します。 本書は、ポイントを押さえたうえで練習へ入るため、短時間でも手応えが出やすいです。 字は急に芸術にはなりません。 ただ、読む人にとっての読みやすさは上げられます。 その現実的な目標設定が、本書の実用性です。
ペン字の上達は、線をきれいにする前は「揃える」が先です。 文字の大きさを揃える。 傾きを揃える。 余白を揃える。 この揃えができると、字は一気に整って見えます。 本書のポイント学習は、この揃えを作るための近道として使えます。
類書との比較
ペン字練習帳には、お手本をひたすらなぞるタイプが多いです。 手は動きますが、何が改善点かが分からないと伸びにくいです。
書道の教本は、線質や筆遣いが深い反面、日常のペン字へ落とすと難しい場合があります。
本書は、ポイントを先に教え、そのポイントに沿って練習させます。 短時間で手応えを作りやすい点が、類書との差です。
実践的な読み方
最初に、自分の字を1回だけ書いて残します。 住所、氏名、よく書く単語。 その紙を残すと、変化が見えます。
次に、4つのポイントを、短い言葉で自分用に書き換えます。 たとえば、中心線、間隔、角度、はらい。 このように、意識できる語にするのがコツです。
最後に、練習を「量」ではなく「比較」にします。 同じ文字を2回書く。 2回目はポイントを1つだけ意識する。 この差分練習を繰り返すと、クセ字の修正が進みます。
さらに、書く場面を想定すると練習が続きます。 メモ、宛名、サイン。 よく使う文字を選び、そこだけ整える。 日常で出番がある文字から直すと、上達が生活に返ってきます。
こんな人におすすめ
ペン字練習帳を買ったが、上達した気がしなかった人に向きます。 字の癖を、気合ではなく手順で直したい人にも合います。 短時間でも変化が見える練習法を探している人におすすめです。