レビュー
直前期は「勉強量」より「取りこぼしの削減」が効く
『TOEIC L&Rテスト直前の技術(テクニック)』は、直前期のスコアを押し上げるための対策書です。内容説明は、定番技術と新技術を両方そろえると言います。ここが実務的です。TOEICは、英語力だけでなく形式への適応が得点に影響します。直前期に効くのは、知識を増やすより、失点パターンを潰すことです。
目次がそのまま設計図になっています。応答問題、短文穴埋め、長文穴埋め、会話、説明文、読解、写真描写。パート別に「直前にやるべき技術」を並べています。自分の弱いパートへ集中しやすい構造です。
「定番技術」と「新技術」を分ける視点が役に立つ
直前期にありがちな失敗は、手を広げすぎることです。模試を解く。単語を詰める。文法をやり直す。どれも必要です。けれど時間は足りません。本書は、まず技術へ寄せます。たとえば写真描写なら、写真に写っていない物の名前が聞こえたら即消去というような、判断のルールを用意します。迷う時間を減らす。これが直前期の強い戦い方です。
さらに、新形式や傾向変化にも触れると説明されます。形式が変わると、勉強の当たり方がずれます。ズレたまま直前に突っ込むと伸びません。本書はそのズレを直前期に補正する狙いがあります。
パート別に「判断の型」を仕込むと、時間が増える
目次を見ると、応答問題、短文穴埋め、長文穴埋め、会話、説明文、読解、写真描写の順に並びます。ここはTOEICの全体を広く押さえた上で、直前期に効く型へ落とす意図が見えます。直前期の最大の敵は、迷いです。迷いは時間を食います。時間が減ると、後半の読解が崩れます。
型があると、迷いが減ります。迷いが減ると、時間が増えます。時間が増えると、落ち着いて読み直せます。読み直せると、ケアレスミスが減ります。直前期はこの連鎖を作るのが一番効きます。本書は、その連鎖を作るためのルール集として読めます。
パート別に読むと、短期間でも効果が出やすい
本書は「11日間の即効対策プログラム」をうたいます。働きながらだと厳しい人もいると思います。それでも、使い方は工夫できます。まずは自分のスコア帯で失点が大きいパートを決めます。次に、その章だけを読む。技術を2つ選びます。最後に、問題演習で技術の再現性を確認します。ここまでを小さく回すと、短期間でも手応えが出ます。
直前期は、解き方が安定していないと点がぶれます。技術があると、ぶれが減ります。ぶれが減ると、時間配分が安定します。時間配分が安定すると、最後まで走れます。本書はこの連鎖を作る本だと感じました。
11日間を現実にするなら、日割りではなく「優先順位」で組む
11日という数字は魅力的です。ただ、日割りの通りに進められる人は多くありません。ここで大事なのは、11日というカレンダーより、失点が大きい場所へ時間を寄せることです。たとえばリスニングが弱い人は、応答問題と会話問題に寄せます。リーディングが弱い人は、長文穴埋めと読解に寄せます。写真描写は、直前にルールを入れるだけで改善しやすいパートです。短い投資で回収しやすい。
本書の目次がパートを網羅しているので、弱点へ寄せても全体が見えなくなりません。直前期に必要なのは「全部やった気」ではなく「本番で崩れない型」です。本書はその型の材料を、パート別に渡してくれます。
直前期にやってはいけないことも、意識すると伸びやすい
直前期は焦りが出ます。焦ると、模試を解き散らかして満足しがちです。ところが模試を解くだけだと、失点パターンが残ります。本書のような技術本は、模試のあとに効きます。間違いを分類し、分類ごとに技術を当てる。これが最短です。
また、直前期に新しい教材へ飛ぶのも危険です。教材が変わると、判断の型が変わります。型が変わると、時間配分がぶれます。ぶれは点を落とします。本書のように、型を固定できる本を軸にしたほうが、直前期は伸びやすいです。
類書比較:単語・文法の積み上げ本より、試験の判断ルールに寄っている
TOEICの類書は、大きく2タイプに分かれます。1つは単語と文法を積む本です。もう1つは解法テクニックへ寄る本です。本書は後者です。直前期は特に後者が効きます。知識は短期間で増えにくいからです。
一方で、テクニックだけに頼ると伸びが止まります。本書は、定番技術と新技術を分けることで、単なる小手先に寄りすぎないように見えます。技術を使うためにも、最低限の読解力や語彙は必要です。その前提を保ったまま、失点を減らす方向へ寄せています。
直前期の類書には、日数だけを強調して中身が薄いものもあります。本書は目次の時点で、全パートをカバーする意志が見えます。全体を押さえつつ、弱点へ集中できる作りがある。直前期に必要な「絞り込み」を助ける本として価値があります。
こんな人におすすめ
- 受験日が近く、勉強の優先順位を決め切れない人
- 形式は分かっているのに、時間配分で崩れる人
- 直前期に、取りこぼしを減らしてスコアを上げたい人
直前期の勉強は、気合いではなく最適化です。本書はその最適化を、パート別の技術としてまとめた実用書でした。