『英会話ペラペラビジネス100 - ビジネスコミュニケ-ションを成功させる知的な大人の会話術 [CD2枚付]』レビュー
著者: スティーブ・ソレイシィ 、ロビン・ソレイシィ
出版社: アルク
著者: スティーブ・ソレイシィ 、ロビン・ソレイシィ
出版社: アルク
『英会話ペラペラビジネス100 : ビジネス・コミュニケーションを成功させる知的な大人の会話術』は、知性と教養のある大人として身につけておきたい英会話を、100のフレーズで整理した本です。内容説明は「パワーワーズ&フレーズ」という言い方をします。派手な語彙で圧倒するのではありません。短いのに、相手へ伝わり、場が崩れない表現を増やします。
この本の良さは、整理の軸が「接触頻度」だという点です。目次はFirst Contact、Light Contact、Regular Contact、Heavy Contactの4部構成です。初対面、たまに会う、いつも会う、頻繁に接する。関係性で言葉の温度が変わります。本書はその温度差を、章立てへ埋め込みます。
本はCD2枚(各約60分)と赤チェックシートが付く構成です。これは実務で効きます。ビジネス英語は、正しい文章を作るより先に、反射で口から出ることが大事です。会議や電話は待ってくれません。音声で耳を慣らし、赤シートで確認する。反射を作るための道具が揃っています。
レビュー欄では、NG表現の指摘を評価する声も見かけます。納得です。ビジネスでは、間違った英語より雑な英語が痛い場面もあります。伝わるのに角が立つ。そういう地雷を避ける注意点が入るので、学習の密度は上がります。
目次には具体例が並びます。たとえばFirst Contactでは「何ておっしゃいました?」や「どうぞ、おかけください。」のように、入口の丁寧さを作る表現が入ります。Light Contactは「おいくらかお伺いしてよろしいですか?」や「頑張ってみます。」のように、距離を縮めすぎず、関係を積み上げる言い方が中心です。
Regular Contactは、いつも会う相手との尊重がテーマです。「…はどうですか/うまくいっていますか」のような確認や、「お手すきの時に…していただけますか」のような依頼が出ます。Heavy Contactは、信頼が前提の相手に使える表現が並びます。「とりあえず」や「時間通りに/間に合う」のような、現場感が強い語も入ります。こういう言葉は覚えていても、とっさに出にくい。だから本にして反復できる価値があります。
レビューでは、I look forward to that.のような一言が、会議でよく使う表現として挙げられています。長い文章で丁寧さを作ろうとすると、口が止まります。短く言えて、空気が崩れない表現を覚えると、会話の運転が楽になります。
同じレビューには、I just …の「たった今…したところ」の感覚や、not … reallyの「それほど…ではない」のニュアンス、take care ofの「対処する」「片付ける」の広さも出てきます。こういう表現は、単語の意味を知っていても運用が難しい。だからフレーズとして反射で出る状態にしておく価値があります。
100個を均等にやる必要はありません。たとえば電話や初対面が多いならFirst Contactを厚くします。社内での調整が多いならRegular Contactを厚くします。よく会う相手ほど、言葉の角が立つとダメージが大きいからです。自分の仕事の接触頻度に合わせて回すと、学習が最短で効きます。
CDと赤チェックの組み合わせは、通勤や移動にも相性が良いです。音で耳を作り、赤シートで穴を見つける。穴だけを繰り返す。これで「知っているのに出ない」を減らせます。
ビジネス英語の類書には、文法解説中心の本があります。文法は必要です。ただ、会話の現場は文法より空気が先に動きます。本書は、空気を壊さない言い方に寄っています。接触頻度の4区分があるので、丁寧すぎて距離ができる問題も、馴れ馴れしくて崩れる問題も避けやすいです。
フレーズ集の類書は、量で勝負することがあります。本書は100に絞ります。その代わりに、場面ごとの「言葉の軸」を作ります。少数精鋭で反射を作りたい人に向きます。
短い英語で場を整えられると、内容の議論へ時間を使えます。英語が目的にならず、仕事が目的に戻ります。本書はそのための土台を作る本でした。
短く言える表現を増やすほど、会話の余裕も増えます。
ビジネス英語で必要なのは、難しい単語ではありません。関係を崩さずに前へ進める短い英語です。本書は、その短い英語を場面別に整えてくれる1冊でした。