Kindleセール開催中

297冊 がお得に購入可能 最大 99%OFF

レビュー

概要

社会保障制度を経済学的視点から体系的に分析する教科書。第1部では社会保障の概念と歴史的背景、第2部では医療・年金・介護・雇用保険の個別制度、第3部では制度の財政持続可能性と政策オプションを検討する構成。各章に練習問題として演習データと政策判断のシナリオが提示され、その答え合わせが章末の解説に収録されている。福祉国家モデルの比較や、代替的な再分配手段との対比も交え、制度の正当性や効率性を読み取る眼を読者に与える。

読みどころ

  • 第2部の医療保険の章では、医療費の伸びと保険料の関係を計算する「脳内シミュレーション」を導入。インフレ率や診療報酬改定を入力したモデルケースをワークシートで追い、どこでコストが膨らむかをステップごとに追う。
  • 年金制度の章では、賦課方式・積立方式の比較を数字で示すだけでなく、少子高齢化下で財源がどのように圧迫されるかを世代間で比較するパネルを用いて視覚化している。若年層の期待値と高齢者の給付額を連動させたモデルグラフも収録。
  • 第3部では「財政持続性」の評価指標として、税収に対する社会保障給付の比率を示し、ポリシーミックス(現物給付 vs 現金給付 vs 課税)ごとのシナリオとリスクを比較している。

類書との比較

『社会保障のイロハ』や『現代社会保障入門』は入門書として使いやすいが、本書は分析の深さと政策判断の練り込みが強み。類書が制度の概要を示すに留まるのに対し、財政面でのトレードオフやパラメータの変更による影響を試算する演習が豊富で、政策担当者や研究者でも使えるテキストになっている。『公共経済学』の章立てに似ているが、社会保障に特化し、条文ではなく経済モデルで考える癖をつけさせる点で差別化されている。

こんな人におすすめ

  • 社会保障政策の現場で政策立案に関わる官僚やNPOスタッフ。
  • 社会保障を専門的に勉強したい大学院生や政策系学部生。
  • 経済学的な手法で制度の持続性を評価したい市民活動家。

感想

演習問題を実際に手を動かしながら解く章は、制度の本質――誰がコストを負担し、誰が給付を受けるか――を数字で追えることに驚いた。特に税収に対する社会保障費の比率を変化させたときのシミュレーションは、世代間のトレードオフが視覚的に示されていて、感情的な対立ではなくデータに基づく議論が可能になる。代替的な再分配手段との比較も的確で、現行制度の位置づけを俯瞰的に理解する助けになった。政策を語るときに必要な経済モデルの思考が無理なく身につく一冊だと感じた。

この本が登場する記事(1件)

本の虫達

要約・書評・レビューから学術的考察まで、今話題の本から知識を深めるための情報メディア

検索

ライター一覧

  • 高橋 啓介

    高橋 啓介

    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
  • 森田 美優

    森田 美優

    出版社勤務を経てフリーライターに。小説からビジネス書、漫画まで幅広く読む雑食系読書家。Z世代の視点から現代的な読書の楽しみ方を発信。
  • 西村 陸

    西村 陸

    京都大学大学院で認知科学を研究する博士課程学生。理系でありながら文学への造詣も深く、科学と文学の交差点で新たな知の可能性を探求。
  • 佐々木 健太

    佐々木 健太

    元外資系コンサルタントから転身したライター。経済学の知識を活かしながら、健康・お金・人間関係の最適化を追求。エビデンスベースの実践的な知識発信を心がける。

Social Links

このサイトについて

※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。