レビュー

概要

神経科学の立場から記憶と物語(ナラティブ)のつながりを分析し、「記憶」そのものが外界との対話で創られる過程であることを明らかにする。著者は脳科学者として実験データと臨床事例を縦横に使い、記憶の中身をどう言葉や物語が編んでいるかを丁寧に解説する。

読みどころ

  • 第1章は記憶の基礎の再定義で、エピソード記憶、意味記憶、手続き記憶を区別しながら、「ナラティブ」として再構築される過程を描く。
  • 第3章では記憶の再生時に伴う誤情報の混入と、その予防方法を紹介。特に証言の場面で記憶がどう変質するかを示し、信頼性の高い記録法を提案。
  • 第5章以降は記憶の再形成を促す実践、メモ、リフレクションのワーク。

類書との比較

『脳はなにを記憶するのか』が脳のメカニズムを中心に解説するのに対し、本書は記憶の現象を物語(ナラティブ)で捉え直し、体験の構造を語る。前者が神経科学の仕組みを詳述するなら、本書は記憶を社会的に再構築する方法を提供する。

こんな人におすすめ

・記憶に興味がある人。
・記録する仕事をする人。
・記憶と語りをつなげたい人。

感想

記憶を「ただの保管庫」ではなく、語ることで起きる再生と再構築のプロセスとして捉えることで、日々書き留める習慣が鮮やかになった。気づかなかった記憶のトーンがくっきりして、自分の人生が少し物語に近づいた気がした。

この本が登場する記事(1件)

本の虫達

要約・書評・レビューから学術的考察まで、今話題の本から知識を深めるための情報メディア

検索

ライター一覧

  • 高橋 啓介

    高橋 啓介

    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
  • 森田 美優

    森田 美優

    出版社勤務を経てフリーライターに。小説からビジネス書、漫画まで幅広く読む雑食系読書家。Z世代の視点から現代的な読書の楽しみ方を発信。
  • 西村 陸

    西村 陸

    京都大学大学院で認知科学を研究する博士課程学生。理系でありながら文学への造詣も深く、科学と文学の交差点で新たな知の可能性を探求。
  • 佐々木 健太

    佐々木 健太

    元外資系コンサルタントから転身したライター。経済学の知識を活かしながら、健康・お金・人間関係の最適化を追求。エビデンスベースの実践的な知識発信を心がける。

Social Links

このサイトについて

※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。