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レビュー

概要

『どんな本でも大量に読める「速読」の本』は、目の訓練や特殊技法に頼る速読ではなく、読む目的と読み方を分離することで読書量と理解の両立を狙う実践書です。中心となるのは「高速大量回転法」という考え方で、一冊を一回で完璧に理解しようとせず、複数回転で必要情報を抽出するアプローチです。

この本の強みは、速読を才能や特訓の問題にしない点です。読めない理由を眼球運動の未熟さより「読み方の固定化」に求め、目的別に読む深さを変える運用へ導きます。読書で挫折しがちな人ほど、心理的ハードルを下げやすい設計です。

読みどころ

1. 速さより設計を重視する

本書は、速く読む前に「何を持ち帰るか」を決める重要性を示します。目的が曖昧なまま読むと、速くても残りません。目的設定→回転読書→要点抽出の順で進めるため、理解と記憶の効率が上がります。

2. 高速大量回転法が実践しやすい

一周目で全体地図を作り、二周目で重要章を深める方式は、ビジネス書や実用書と特に相性が良いです。最初から精読しないため着手しやすく、途中離脱の罪悪感も減ります。

3. 時間が細切れでも回しやすい

まとまった読書時間が取れない人でも、短時間でページを進める運用に向いています。回転型読みは10分単位の実行が可能で、忙しい生活に組み込みやすいです。

4. 読書の自己否定を減らせる

「最後まで読まないと失敗」という思い込みを外し、目的に不要な部分を捨てる判断を肯定します。読了主義から有用性主義へ切り替えることで、読書習慣の継続性が高まります。

類書との比較

速読本には視線訓練型が多いですが、本書は運用型です。トレーニングより実装を優先するため、読書習慣がない人でも入りやすいのが特徴です。

また、一般的な読書術本が要約・アウトプットに重心を置くのに対し、本書は「大量に読むための入口設計」に強みがあります。まず量を確保したい読者には適したアプローチです。

こんな人におすすめ

  • 速読教材で挫折した経験がある人
  • 仕事で読むべき本が多く、消化できない人
  • 読んでも内容が残らず困っている人
  • 限られた時間で読書量を増やしたい人

一方、小説や専門書の精読には別の読み方が必要です。本書は全ジャンル万能ではなく、目的に応じた使い分けを前提にするほうが効果的です。

感想

この本を読んで有益だったのは、読む前の設計を重視する習慣がついたことです。以前は最初から丁寧に読もうとして途中で失速していましたが、いまは一周目を俯瞰、二周目を深掘りに分けることで読書の完走率が上がりました。速読というより、読書運用の改善です。

特に効果を感じたのは、業務インプットの場面です。必要章だけを素早く抽出し、要点メモを残す運用に変えると、読書時間あたりの成果が増えました。全部読む執着を減らすことで、かえって理解が深まる場面も多いです。

また、読書習慣が止まりやすい人にとって、開始ハードルの低さは大きな利点です。短時間で進められるため、忙しい日でもゼロになりにくい。習慣化に必要な再開容易性が高いと感じました。

総合すると、『どんな本でも大量に読める「速読」の本』は、速読の技術本というより読書の運用設計本です。読む量を増やしつつ理解も保ちたい人にとって、実践しやすい入口を提供してくれます。読書で成果を出したい人が最初に試す方法として、十分価値のある一冊でした。

運用を安定させるには、読書開始前に「この本で持ち帰ることを1行で決める」習慣が有効です。目的が明確なら、読む深さの判断が速くなり、不要な精読を避けられます。速読の成否はページ速度より目的設定の精度で決まる、というのが実践しての実感です。

さらに、読後1分で「要点3つ」をメモするだけでも記憶定着率が上がります。大量に読むほど復習負荷が増えるため、短い要点記録は必須です。本書の高速大量回転法は、読みっぱなしでなく回転と回収をセットにすると真価を発揮します。量と理解を両立したい人にとって、再現しやすい方法論でした。

また、速読を習慣化するには「読む前に目的を決める」「読後に要点を残す」の2手順を固定するのが重要です。ここが定まると、読む速度より理解効率が安定します。結果として読書量も自然に増えていきます。

読書量を増やしたい人だけでなく、読む時間の質を上げたい人にも有効な一冊です。

再読しやすいです。

十分実用的です。

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    佐々木 健太

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