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レビュー

「優秀さ」のイメージを壊して、企業が本当に欲しい人物像を言語化する本

採用の話になると、「学歴」「地頭」「論理的思考力」みたいな言葉が強くなりがちです。特に有名企業ほど、そのイメージが先行します。

でも『採用基準』の紹介文は、その定説をきっぱり否定します。応募する学生が論理的思考やフェルミ推定などを学んで試験に挑もうとする一方で、採用マネジャーとして延べ数千人の学生と面接してきた著者は、「本当に優秀な人材の条件」を別のところに置く、とされています。

「主な内容」から見えるのは、採用の話が人生の話に繋がっていく構成

出版社コメントの「主な内容」には、次のような項目が挙げられています。

  • マッキンゼーでの17年間
  • コンサルティングより人材育成システム
  • 誤解される採用基準
  • 採用したいのは将来のリーダー
  • スクリーニング基準と採用基準の違い
  • 日本の大企業で劣化する人
  • 能力の高い人より、これから伸びる人
  • 「マッキンゼー入社」を目標にしている人は採用されない
  • すべての人に求められるリーダーシップ
  • リーダーシップで人生をコントロールする
  • 問題が解決できる
  • 自分の世界観が実現できる
  • 世界が拡がる
  • 価値観転換機関としてのマッキンゼー

これを見ると、採用のノウハウ本というより、「どういう人が伸びるのか」を通じて、働き方や生き方まで射程に入れているのが分かります。特に「スクリーニング基準と採用基準の違い」は、就活や転職で迷う人に刺さりやすい論点です。書類で落ちる理由と、面接で評価される理由は同じとは言えません。そのズレを理解できるだけでも、動き方が変わります。

「基準」を知ると、面接の場でやるべきことが変わる

スクリーニング基準と採用基準が違う、という項目がある時点で、面接は「正解を当てる場」ではないと分かります。書類は条件の確認に寄ります。一方で面接は、伸び方や周囲への影響力の確認に寄ります。

だから本書は、受ける側にとっては「何を準備すればいいか」を整理する本になります。採用する側にとっては「何を見ればいいか」を言語化する本になります。採用の現場を知る著者が、延べ数千人を面接した経験をもとに語る、と紹介されているので、現場で起きやすい誤解のポイントも拾ってくれそうです。

「将来のリーダー」を採る、という言葉が示すもの

紹介文では、採用したいのは将来のリーダーだとされています。ここでいうリーダーは、役職の話だけではないはずです。自分で考え、周囲を巻き込み、状況を前に進める人。そういう人材を求める、という意味だと受け取りました。

さらに「能力の高い人より、これから伸びる人」という項目もあります。これは、現時点のスペック勝負をやめて、「伸び方」を見る視点です。学生や若手にとっては救いになりますし、育成する側にも重要な観点です。

「日本の大企業で劣化する人」という項目が、他人事ではない

出版社コメントには「日本の大企業で劣化する人」という項目もあります。ここは、就活生だけでなく、働いている人にも刺さるテーマです。

環境が整いすぎると、考えなくても回ってしまう。役割が固定されて、挑戦が減る。そういう状況が続くと、本人の成長が止まってしまう。だからこそ「伸びる人」「リーダーシップ」という言葉が、採用の枠を超えて出てくるのだと思います。

「採用基準」を知ることは、自分の伸びしろを作ることでもある

紹介文には、リーダーシップで人生をコントロールする、問題が解決できる、世界観が実現できる、世界が拡がる、といった言葉が並びます。採用の話を通じて、結局は「自分がどう生きたいか」に戻っていく構成だと感じました。

採用されるかどうかは、会社が決めることです。でも、伸びる人の条件を知ると、選べる行動が増えます。働き方や学び方の軸も整います。

本書がロングセラーになっている理由は、採用の現場の話が、そのまま個人の成長の話へ繋がるからだと思います。

こんな人におすすめ

  • 就活や転職で「何を磨けばいいか」を整理したい人
  • 論理力だけに寄った努力を見直したい人
  • 採用や育成に関わり、伸びる人の条件を言語化したい人
  • リーダーシップを「特別な人のもの」から自分のものにしたい人

まとめ

『採用基準』は、地頭や論理的思考力といったイメージ先行の優秀さを疑い、企業が本当に求める人物像を「将来のリーダー」「伸びる人」という言葉で捉え直す本です。スクリーニング基準と採用基準の違い、伸びる人の見方、リーダーシップで人生をコントロールする、という流れが紹介文の「主な内容」からも読み取れます。採用の話を通じて、自分の成長の軸を作りたい人に向いた一冊です。

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    佐々木 健太

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