レビュー
概要
離婚を考え始めた人が「何から動けば冷静に判断できるか」を弁護士視点で整理した本。再婚・子育て・住宅ローンといった現実的な要素に加え、法的なリスク、心理的な変化、自分と相手の公平な扱い方まで章立てで扱っている。3版では2024年の民法改正や新しい慰謝料判断の動向も補足されており、最新の手続き・制度を前提に動けるよう内容がアップデートされた。
読みどころ
- 第1章は「離婚を思いついた瞬間の整理」で、感情・事実・要望の3つを分けるワークを記載。たとえば「離婚の気持ち」と「相手への不満」や「養育方針の違い」をそれぞれ付箋に書き出し、読み返してから相談する人を変えるためのガイドラインがある。
- 第2章では法的な準備に踏み込む。離婚事由の立証、財産分与の対象、慰謝料の基準を具体的な判例とともに解説。自身の収入と相手の収入を比較しつつ、共有名義の住宅ローン・年金分割などを落ち着いた表形式で整理する。
- 第3章で実際の手続きと調停を扱い、当日の流れ、聞かれる質問、メモすべきポイントを時系列で提示している。弁護士との打ち合わせで使える質問リスト、証拠の残し方、弁護士費用の交渉例も含まれる。
- 第4章以降は「離婚後の生活」へ視点を移し、住まい・子どもの生活費・再就職・再婚時の相談をテンプレート化。特に子どもの名義変更や戸籍の整理に関するチェックリストが使いやすい。
類書との比較
『離婚準備 応援ブック』が手続きのフローを時系列で並べるのに対し、本書は勝手な感情より先に「どの制度・証拠・弁護士と向き合うか」を冷静に選ばせる。前者が手続きの道程を示すのに対し、本書は「まず誰に相談するか」「何を記録するか」を丁寧に言語化するため、感情が高ぶっているときに手元に置いておけるバイブル的役割となる。
こんな人におすすめ
・離婚を考えているが感情の整理がつかない人。章のワークを通じて少しずつ客観視できる。
・弁護士面談を初めて受ける人。質問リストや証拠の整理があるから、慌てずに伝えられる。
・子どもや両親に説明したい人。家族への言葉かけの例があるため、溝を深めずに共有できる。
感想
離婚の本を読むときに「裁判の勝ち方」や「慰謝料の相場」ばかり追うと心がざわつくが、この本は「まず自分の気持ちと現実」を丁寧に区分していく。弁護士視点の説明なので、手続きの前に取るべきステップが冷静に並び、混乱しがちな時間の中で自分の軸を持たせてくれる。親権や養育費の章では、子どもを巻き込まない言葉選びが細かく書かれており、決断のあとにどんな生活を描くかにも想像力を与えてくれた。