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レビュー

概要

『プログラミングでなにができる? 第2版』は、プログラミングを「コードを書く技術」より前に、「何を作れて、どう社会や生活に役立つか」から説明する入門書だ。ScratchやPythonの文法解説から始めるのではなく、ゲーム、アプリ、ロボット、Web、データ活用といった出口を先に見せる構成なので、初学者が目的を持ちやすい。子ども向けに見えるが、大人の入門にもかなり向いている。

本書の強みは、プログラミング学習を単なる知識獲得で終わらせないところだ。何を作るかを考え、試作品を作り、人に見せ、改善するという流れが一貫している。だから、「プログラミングを学ぶと何の仕事につながるのか」「学校教育でなぜ重視されるのか」まで見通しが立ちやすい。

読みどころ

読みどころは、「プログラミングでできること」を具体例で一気に見せてくれる点だ。ゲームを作る、センサーを使う、データを扱う、Webページを作る、作ったものを発表する。こうした一連の流れが章ごとに分かれているので、読者は「自分は何に興味があるか」を探しやすい。いきなり言語を決めるより先に、用途から入るのがこの本のうまさだと思う。

また、プログラムを書くことそのものより、課題を設定して形にしていくプロセスが見える。たとえばアプリや作品づくりを扱う場面では、完成品を夢見るだけでなく、まず小さく試す、動かしてみる、問題点を見つける、修正するという考え方が入っている。これがあると、プログラミングは天才だけの作業ではなく、試行錯誤の技術だと分かる。

ハードウェアやロボット寄りの話が入るのも良い。画面の中だけで完結するのでなく、センサーやマイコンを通じて現実の物とつながる例が出るので、「コードが現実を動かす」感覚が伝わりやすい。年齢を問わず分かりやすく、プログラミング教育でロボット教材が使われる理由も自然に理解できる。

さらに、著作権やネットで公開するときの注意、チームで作るときの共有の考え方まで触れているのが実践的だ。単なるお遊びの本ではなく、ものづくりのリテラシー本としても役に立つ。

類書との比較

Scratchの操作本やPython入門書は多いが、本書は「どの言語から始めるか」より「どんな世界につながるか」を見せてくれる点で役割が違う。だから、すでに手を動かす教材がある人には学習の意味づけがしやすい。逆に、まだ何をやるか決まっていない人には、方向を決めるガイドになる。

たとえばゲーム制作だけに絞った本だと、その世界に興味がない人は入りづらい。本書はアプリ、データ、ロボット、Webと複数の出口を並べるので、途中で「自分はこっちが好きかも」と見つけやすい。進路探索や探究学習の入り口としても使える。

作って終わりにしない点も良い。人に見せる、反応をもらう、改善するという流れまで視野に入っているので、学校の発表やコンテスト、家庭内の共有にもつなげやすい。プログラミングを孤独な作業ではなく、対話を含むものづくりとして見せてくれる。

本書を読むと、プログラミングで大事なのは正解を暗記することではなく、試しながら組み立てる力だと分かる。エラーが出たら直す、思った動きと違ったら原因を探す、使う人の反応を見て変える。そうした基本姿勢が、技術の話と並行して自然に入ってくる。

進路や仕事とのつながりも見えやすい。将来エンジニアになるかどうかは別として、アプリ開発、Web制作、データ分析、ロボット制御のように分野が広いと分かるので、学ぶ意味を持ちやすい。特に中高生の最初の一冊としては使い勝手がいい。

こんな人におすすめ

  • 子どもにプログラミングを学ばせたいが、何から始めればいいか分からない保護者
  • 言語の文法より、プログラミングの全体像をつかみたい初心者
  • 学校や地域でプログラミング教育に関わる人
  • ゲームやロボットづくりに興味があるが、学び方の道筋が見えない人

感想

この本を読んで良かったのは、プログラミングを「将来役立つからやるもの」ではなく、「面白いものを作るための手段」として自然に見せてくれるところだ。教育論に偏らず、でも学びとしての意味もきちんと残る。そのバランスがいい。

特に、プログラミング未経験の大人が読む価値も高いと感じた。子ども向けの解説本は多いが、親や先生の側が全体像をつかめていないことも多い。本書は技術の細部に沈まず、「何ができるか」「どう広がるか」を見せるので、学ぶ側も支える側も使いやすい。最初の一冊としてかなり親切だった。

文法を厳密に学ぶ本ではないぶん、実際にコードを書く段階では別の教材も必要になる。ただ、その前に「なぜ学ぶのか」を腹落ちさせる本としてはかなり優秀だ。プログラミングの入り口で立ち止まっている人に渡しやすい一冊だと思う。

保護者や先生が先に読んでおくのも有効だと感じた。どの言語が正解かを急いで決めるより、まず何に興味を持っているかを見極めて学び方を選ぶほうが続きやすい。本書はその見立てを作る助けになる。

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    佐々木 健太

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