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レビュー

概要

本作は、日本史の有名人物や出来事を猫のキャラクターに置き換えて描く学習まんがです。いわゆる本格的な通史の参考書ではなく、まず歴史に親しむための入口として作られているのが特徴で、難しい用語や人物名に身構えやすい読者でも入りやすいです。人物の性格や立場を猫の見た目や行動に変換して見せるため、「この人は何をした人か」がふわっとした印象ではなく、キャラクターとして頭に残りやすくなっています。

1巻では古代から比較的早い時代の人物や出来事が中心で、教科書で見かける名前を「堅い知識」としてではなく、小さな物語の連続として受け取れる構成になっています。1話ごとにテンポよく読めるので、歴史の流れを一気に把握する本というより、「この人物はこんな人だったのか」と興味をつなげていくタイプの本です。笑いのある漫画として読める一方で、名前や時代の空気を記憶に残す助けにもなり、歴史が苦手な人ほど相性がいいです。

歴史の入門本は、正確さを優先するほど説明が重くなりがちですが、本作は「まず歴史を嫌いにさせない」ことに成功しています。子ども向けに見えて、大人が学び直しの最初の1冊として読むのにも向いています。人物名だけは聞いたことがあるものの、関係や位置づけが曖昧な人にとって、かなり有効な助走になる本です。

読みどころ

  • 最大の強みは、歴史上の人物を猫のキャラクターとして覚えさせる工夫にあります。名前だけを並べられると区別がつきにくい人物でも、表情やしぐさで役割が見えると印象が一気に定着します。学習まんがは数多いですが、本書は正確さを保ちながら、まずは「忘れにくい記憶」に変えることを優先しています。
  • 1話完結に近い短い構成なので、子どもでも途中で疲れにくいです。長い説明で知識を積むというより、人物や事件を1つずつつかんでいく読み方がしやすいです。まとまった時間を取らずに読めるため、寝る前に少しずつ読む本としても使いやすいです。
  • ギャグが前面に出ていますが、ただふざけているわけではありません。歴史上の人物の性格づけや立場の違いを、笑いとして処理しながら整理してくれるので、「誰が何をしたのか」「なぜ印象に残るのか」が自然に見えてきます。学ぶ前のハードルを下げるという意味では、教科書とは役割が違いますが、かなり有効な1冊です。

特に良いのは、人物を偉人として遠ざけず、身近なキャラクターとして見せることです。歴史が苦手な人は、人物名を「覚えなければいけない記号」として捉えがちです。本作はそこをほぐして、「この人はこういうタイプだった」と印象でつかませます。あとから教科書や解説書を読んだときにも、その印象が記憶の足場になります。

また、笑いのテンポが一定なので、勉強の本というより娯楽に近い感覚で読めます。だからこそ、歴史を読むこと自体への拒否感が薄れます。知識量では本格派の学習まんがに及ばなくても、「次も読みたい」と思わせる力はかなり強いです。

類書との比較

『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』や『講談社 学習まんが 日本の歴史』のような定番シリーズは、通史の整理や受験向けの理解には強いです。一方で、情報量が多いため、歴史が苦手な読者には最初の一歩が重く感じられることもあります。本作はそこを逆から攻めています。まず親しませること、笑いながら人物名へ慣れさせることに特化しています。

そのため、本書だけで歴史学習を完結させるというより、歴史を好きになるための補助線として使うのが向いています。細かな年代や背景まで深く知りたいなら他の学習まんがや解説書が必要ですが、「歴史アレルギーをなくす」「人物名の入口を作る」という点では独自の価値があります。勉強の前段階として読むと、後から本格的な本に移ったときの抵抗感がかなり減ります。

つまり、本作の価値は「正確に全部教える」ことではなく、「学ぶ準備を整える」ことにあります。子どもが歴史好きになるきっかけとしても、大人が再入門する足掛かりとしても機能します。この立ち位置を理解して読むと、かなり優秀なシリーズです。

こんな人におすすめ

  • 歴史の人物名がなかなか頭に入らない小学生
  • 教科書系の学習まんがだと重く感じる子ども
  • 親子で会話しながら歴史に触れたい家庭
  • 大人になってから気軽に日本史を学び直したい人
  • まずは「楽しい」と感じるところから歴史に入りたい人

感想

この本を読むと、歴史を正確に暗記する前に、まず「人物に親しみを持つ」ことがどれだけ大事かを実感します。歴史が苦手な理由の1つは、名前が全部同じ重さで並んでしまい、誰がどんな人物なのか手触りがないことだと思います。本書はそこを猫のキャラクター化で一気に崩してくるので、笑いながら読んでいるうちに、人物名がちゃんと区別できるようになります。

大人が読むと、もちろん情報量そのものは軽いです。ただ、その軽さがむしろよくて、歴史の入口としての機能に徹しているのがわかります。知識を詰め込む本ではなく、もっと知りたくなる気持ちを作る本であり、その役割をかなり上手く果たしています。子ども向けの顔をしていますが、学び直しの最初の1冊としても十分に使えるシリーズだと思います。

特に印象に残ったのは、「難しい話を簡単にする」のではなく、「難しい話に近づく気持ちを作る」本だという点です。歴史の理解は結局ほかの本で補う必要がありますが、その前に必要な好奇心と親しみをきちんと育ててくれます。勉強の準備運動として、かなり価値のある本でした。

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    佐々木 健太

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