レビュー
「そのうち教えよう」では遅いお金トラブルを、マンガで先に疑似体験できる
子どものお金トラブルって、起きてから気づくことが多いです。友だちとの貸し借り、ICカードの使いすぎ、ゲーム課金の高額請求。大人から見ると「気をつければいい」で終わりそうでも、子ども側は“どこが危険なのか”がまだ分からないまま動いてしまいます。
本書は、子どもたちの身近に潜むお金のトラブル事例をもとに、防止策をアドバイスする構成です。監修はメディアでもおなじみの菊地幸夫弁護士とされていて、家庭の話だけでなく、現実に起きるトラブルを法的な観点も踏まえて整理してくれます。
具体例の守備範囲が広く、今の小学生の生活に寄っています
印象的なのは、扱う範囲が「貸し借り」「使いすぎ」だけで終わらないことです。フィッシング詐欺や闇バイトのように、犯罪につながる内容まで入っています。
スマホを持つ子が増え、キャッシュレス化も進んでいます。結果として、子どもが巻き込まれる金銭トラブルも増えている、という前提はかなりリアルです。大人でも引っかかる詐欺がある時代に、子どもだけで完全に防ぐのは難しい。だからこそ、家庭でのルール作りや、危険の見分け方を「先に」共有しておく価値があります。
ルール作りが「禁止」ではなく「設計」になっているのが良い
子どものお金の話は、叱る方向に寄りやすいです。でも本書は、トラブルに遭わないための心構えや、家庭でのルールの決め方、お金との付き合い方、万が一トラブルに遭ってしまったときの対処法までを、マンガを交えて分かりやすく解説するとされています。
ここが大事だと思いました。トラブルの多くは「知らなかった」「想像できなかった」から起きます。だから、禁止だけではなく、判断の基準と逃げ道を一緒に作るほうが強いです。たとえば課金の上限を決める、親に相談する合図を作る、怪しい連絡が来たら画面を見せる、などの運用ルールです。
フィッシング詐欺や闇バイトまで扱うから、「ネットの危険」が他人事になりにくい
この本の説明には、フィッシング詐欺や闇バイトといった犯罪につながる内容まで入ると書かれています。ここは、今の時代の必修だと思いました。
闇バイトは「怖い話」ではなく、「条件が良く見える」「簡単に稼げそうだと思わせる」入り口から始まります。フィッシング詐欺も同じで、ぱっと見は普通の連絡だと思ってしまい、引っかかります。子どものうちに、「お金が絡む話は、まず疑う」「困ったら一人で抱えない」という反射神経を作っておくのが大事です。
「お金の教育」を、怖がらせずに現実へつなげる
闇バイトや詐欺の話題は、怖がらせる方向にもなりがちです。でも小学生向けの本である以上、最終目的は「自分を守れるようになる」ことだと思います。マンガ形式で疑似体験しながら、やってはいけないことと、困ったときの行動をセットで覚えられるのは強いです。
親の立場としても、子どもがどこで引っかかりやすいのかを具体的に想像できるので、話し合いのきっかけになります。「お金は大事だよ」という抽象論から、生活の中の具体へ移れる本です。
「万が一の対処法」まであると、親子の会話が前向きになります
トラブル回避の本は、危険を列挙して終わると、読む側が疲れてしまいます。本書は「万が一トラブルに遭ってしまった時の対処法」まで扱うとされているので、怖い話を「じゃあどうする?」に変えられます。
子どもにとっては、完璧に避けるより、困ったときに相談できることが大事です。親側も「叱る」より「一緒に解決する」の姿勢を取りやすくなるので、家庭の空気を壊しにくいと思いました。
読み終わったら、家族で決めておくと良いこと
本書は、読むだけで終わらせず、家庭のルール作りまでつなげると効果が出やすいです。たとえば次のような項目を、子どもと一緒に決めておくと安心です。
- お金の貸し借りは、必ず親に相談します。
- ICカードや電子マネーは、使ったらその場で残高を確認します。
- 課金が必要なときは、勝手に決めずに「一度止まる」ルールを作ります。
- 変な連絡が来たら、スクショして大人に見せます。
ルールは厳しさより、運用しやすさが大事です。マンガで事例を見た直後に決めると、子どもも納得しやすいと思います。
こんな家庭におすすめ
- 子どもがスマホやICカードを使い始めた家庭
- 友だちとの貸し借りや課金など、すでに小さな不安がある家庭
- 詐欺や闇バイトなどの危険を、早めに共有しておきたい家庭
まとめ
この本は、小学生の生活圏にあるお金トラブルをマンガで疑似体験し、回避策と対処法までつなげる1冊です。貸し借りや使いすぎといった日常の話から、フィッシング詐欺、闇バイトのような犯罪まで扱うので、家庭のルール作りの土台になります。子どもが「困った」を言える環境を作りたい家庭に向いています。