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レビュー

概要

『マインドフルネスと7つの言葉だけで自己肯定感が高い人になる本』は、自己肯定感を上げる話を、気合いやポジティブ思考だけに寄せず、呼吸、意識の向け方、日常で使う言葉の選び方から整えていく本です。自己肯定感という言葉は抽象的になりやすいですが、本書は「どう考えるか」より先に、「どう立ち止まるか」「自分にどんな言葉を返すか」を扱うので、実践の入口がつかみやすいです。

この本がいいのは、自己肯定感の低さを性格の欠陥として扱わないことです。疲れ、焦り、比較、失敗体験の積み重ねで、自分を責める言い方が習慣になっている人は少なくありません。本書は、その習慣を少しずつほどくために、マインドフルネスと短い言葉を組み合わせています。難しい理論を並べるのではなく、日常の反応を穏やかに変えるための実践書として読むと入りやすいです。

自己啓発本の中には、「自分を好きになろう」と結論だけを急ぐものもあります。しかし本書は、その前段階として、まず自分の状態に気づき、反応を観察し、きつい言葉を少しやわらげることを重視します。この順番が現実的で、読んでいて無理がありません。

読みどころ

読みどころの1つ目は、自己肯定感を上げる方法を、感情論ではなく習慣として捉えていることです。落ち込んだときに「前向きになろう」と言われても、人はすぐには変われません。本書は、まず呼吸や注意の向け方を整え、そのうえで自分に返す言葉を少し変えていく構成なので、気分が不安定なときでも取り入れやすいです。

2つ目は、「7つの言葉」という形で実践の軸を絞っていることです。自己肯定感の本は概念が多くなりがちですが、本書は持ち帰るポイントを限定しているので、読み終えたあとに何を意識すればいいかが残りやすいです。完璧に変わろうとするのではなく、毎日の中で同じ言葉を繰り返し使い、反応を変えていく発想が現実的でした。

3つ目は、他人との比較や評価への振り回されやすさに効くことです。自己肯定感が下がる場面は、たいてい一人で静かに起こるというより、仕事、恋愛、子育て、人間関係の中で起こります。本書は、そうした場面で自分にどんな言葉を返すかを整える本なので、日常の使いどころが分かりやすいです。

また、マインドフルネスを宗教的でも特別でもないものとして扱っている点もよかったです。呼吸や観察という基本から入り、過剰な演出をしないので、瞑想に抵抗がある人でも入りやすいです。心を劇的に変える技法としてではなく、反応のクセを少しゆるめる手段として読めます。

類書との比較

自己肯定感の本は、「考え方を変える」タイプと「過去を癒やす」タイプに大きく分かれます。本書はそのどちらかに極端に寄るのではなく、今ここで起きている反応を少し整えるタイプです。だから、重い過去を深く掘る本がしんどい人や、前向きな言葉だけでは逆につらくなる人にも向いています。

マインドフルネスの理論書と比べると、説明の深さでは譲る部分がありますが、その分だけ実践に寄っています。逆に、短い言葉だけを並べた自己啓発書よりは、観察と呼吸という土台があるので、気分任せになりにくいです。この中間の立ち位置が、本書の使いやすさだと思います。

「自分を認めよう」とストレートに励ます本が合わなかった人ほど、本書の距離感はちょうどいいはずです。自分を好きになれなくてもいいから、まず自分を雑に扱わないところから始めようという雰囲気があり、その控えめさがむしろ信頼できます。

こんな人におすすめ

おすすめなのは、落ち込んだときに自分への言葉がきつくなりやすい人です。失敗すると必要以上に責めてしまう人、他人の反応で気分が大きく揺れる人、自分を励ます言葉がうまく出てこない人にはかなり相性がいいです。

恋愛や仕事、人間関係で消耗しやすい人にも向いています。問題そのものをすぐ解決する本ではありませんが、揺れた心をそのまま悪化させないための受け身が作れます。気持ちの回復を早めたい人にも役立つはずです。

逆に、臨床的な心理療法の詳しい説明を求める人には少し物足りないかもしれません。ただ、日常で使える実践を探している人には、十分に価値があります。

感想

この本を読んでよかったのは、自己肯定感を「高めるべき能力」としてではなく、「日々の扱い方の結果」として捉え直せたことです。自信があるかないかという二択ではなく、自分に返す言葉を少しやわらげるだけでも、心の負担はかなり変わります。本書はその感覚を、無理なく実感させてくれます。

また、読後にすぐ試せることが残るのも強みでした。呼吸、観察、短い言葉という組み合わせは、忙しい日常でも持ち込みやすいです。立派な朝習慣を作らなくても、つらい場面で一度立ち止まるきっかけになります。

自己肯定感に関する本はたくさんありますが、本書は「元気なときに読む理想論」ではなく、「しんどいときにも使える現実的な本」でした。自分に厳しすぎる人が、その厳しさを少しゆるめるための入口として、かなり役立つ一冊だと思います。

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