レビュー
概要
『【仕訳アプリ付】みんなが欲しかった! 簿記の教科書 日商簿記3級 商業簿記 第13版』は、簿記を初めて学ぶ人が、借方・貸方の考え方から決算整理までを無理なく理解できるように作られた定番テキストです。フルカラーと図解の多さが特徴で、簿記に苦手意識がある人でも入りやすい構成になっています。
簿記3級でつまずきやすいのは、専門用語そのものより、「お金の流れがどの勘定科目にどう入るのか」が見えにくいことです。本書はそこを、イラスト、表、具体例、確認問題の組み合わせで少しずつ理解させてくれます。読むだけの参考書ではなく、理解を積み上げる教材として作られている印象です。
また、仕訳アプリが付いていることで、紙で読んだ内容をすぐ反復しやすいのも大きな利点です。簿記は概念理解だけでは足りず、手を動かして仕訳を切る回数がものを言うので、この反復のしやすさはかなり重要です。
読みどころ
読みどころの1つ目は、初学者が混乱しやすい部分を先回りしてほぐしてくれることです。資産、負債、純資産、収益、費用の関係や、借方・貸方の動き方は、最初にここで止まりやすいです。本書はその壁を、イメージと具体的な取引例を並べながら崩していくので、挫折しにくいです。
2つ目は、仕訳の反復導線が明確なことです。簿記は、説明を読んで分かったつもりでも、自分で切れるようにならないと試験で点が取れません。本書は確認問題や付属アプリを通じて、同じテーマを複数回触れられるため、知識が定着しやすいです。
3つ目は、決算整理や財務諸表までの流れが分かりやすいことです。簿記3級は仕訳だけの試験ではありません。最終的に試算表や精算表、損益計算書、貸借対照表につながる流れを理解する必要があります。本書はそのつながりが見えやすく、「なぜこの仕訳を切るのか」が理解しやすいです。
また、フルカラーであることを単なる見た目の良さに終わらせていない点もよかったです。情報の階層が分かりやすく、重要事項と補足の区別が付きやすいので、独学の負担が軽くなります。
類書との比較
日商簿記3級の本では、『スッキリわかる』シリーズや『パブロフ』シリーズと並んでよく候補に挙がります。その中で本書は、「とにかく視覚的に分かりやすい」「説明がやさしい」という強みがあります。講義を受けている感覚に近い本です。
『スッキリわかる』と比べると、本書の方が教科書らしく、体系立って進めやすい印象があります。ストーリーやテンポのよさより、安心して一歩ずつ進みたい人向けです。逆に、短期で演習を回したい人は、問題集との併用が前提になるでしょう。
難しいことを削りすぎているわけではなく、初学者の理解順に並べ替えているのが本書のうまいところです。独学者の最初の一冊としての安定感があります。
こんな人におすすめ
おすすめなのは、簿記を完全に初めて学ぶ人です。数字や会計に苦手意識がある人でも、いきなり拒否感を持ちにくい作りになっています。社会人の学び直しにも向いています。
また、通信講座なしで独学したい人にも相性がいいです。説明の丁寧さと確認問題の流れがあるので、テキスト単体でもかなり戦えます。アプリで復習したい人にも使いやすいです。
逆に、すでに基礎を一通り理解していて、試験直前の高速回転だけしたい人には少し丁寧すぎるかもしれません。ただ、最初の土台作りとしては非常に優秀です。
感想
この本の良さは、簿記を「覚える科目」ではなく「流れを理解する科目」として教えてくれることでした。借方・貸方の丸暗記にしないので、あとから応用が利きやすいです。3級でここをきちんと理解しておくと、2級への移行も楽になります。
また、仕訳アプリの存在で、紙の本だけより反復のハードルが下がるのも大きかったです。簿記は結局、どれだけ手を動かしたかが効いてくるので、その環境が最初から整っているのは強いです。
フルカラーで視覚的に追いやすいため、勉強の再開ハードルが低いのも良かったです。仕事や家事の合間に少しずつ進めたい人でも、前回どこまで理解したかを思い出しやすい構成になっています。
初学者向けの簿記本として、かなり安定した一冊でした。まずは挫折せず、でも甘すぎないテキストを探している人にはすすめやすい本です。簿記の最初の壁を越えるための伴走役として、かなり信頼できます。独学の入口として安心して選びやすい一冊です。