レビュー

概要

「動画でわかるAfter Effects教室」は、Adobe Creative Cloud(2024年のAfter Effects 24.3)を初めて触る人を対象に、実際のレイヤー操作やエフェクト挿入の様子を動画で確認しながら学べる構造になっている。初心者むけにPhotoshopやPremiere Proで下準備した素材をAfter Effectsに読み込み、プリコンポーズ、マスク、トラッキング、レンダリングまで一気通貫で紹介。各章は「今日やる定番仕事」「3分でできる小ワザ」「すぐ使える書き方」という3部構成で、ページ上部にQRコードを設けて実際の操作動画を視聴できるため、書籍を見ながら手を動かしている感覚を失わない。加えて、会話調の解説をまじえた構成なので初心者の「今何を押せばよいか」が自然に理解できるようになっている。

読みどころ

  • 動画とのダブル学習: OCRやタイムラインを一つひとつ解説する字幕付き動画が章と連動しており、「どこに何を操作すべきか」を映像で確認しながら進められる。After Effectsの数多いパネル配置も、動画を頼りに実物の画面を追えるので、いきなりソフトを開かせるより難易度が下がる。
  • 段階的に広がるプロジェクト: 第1章はロゴアニメーションの制作、第3章ではカメラワークと3Dレイヤー、第5章ではVFX的なエフェクトの応用と、毎章で作る作品の難易度が上がってリズムがいい。特に「マスクを使った文字の出現」「Particle System楽しみ方」の演習は、After Effectsならではの見た目の変化がすぐに再現できる。
  • 現場で使えるテンプレート: テキストアニメーションの位置揃え、グラフィックのエクスプレッション、レンダリングプリセットまでプリセットファイルが付属し、テンプレートをそのままカスタマイズする練習ができるため、実務の納期を意識したワークフローが体感できる。
  • 手元のトラブルに言及: 合成した素材のスケーリングによるジャギーや、マスクのパスがずれるといった実際の失敗談とその対処法が1章ごとに挟み込まれており、躓いたときにどうリトライすべきかが明示されている。

類書との比較

「同様の初心者書である『Adobe After Effects Classroom in a Book』」はCC版の基本操作を丁寧に追う点で安定感があるが、本書は日本の案件で使うような字幕+レイヤー分け+字幕ロゴといった工程を1冊に詰め込み、動画での見せ方に特化している。対して『できるクリエイター After Effects CC』のような解説書はテキスト中心で手取り足取りではあるが動きのタイミング感や音との同期を掴みづらい。本書は動画+携帯のQRコードというハイブリッドアプローチでつまずきを減らし、短期集中の学習にも向く。さらに、VFXやモーショングラフィックスのトーンを合わせた『宇宙船で学ぶAfter Effects』のような実験的な書籍とも異なり、汎用的な作業を日常業務としてこなせるように細部を整えている。

こんな人におすすめ

社内プレゼン動画やSNS向けショートムービーを自分で作る必要があり、アニメーション作業の経験がないクリエイターにぴったり。特に直感的な操作に慣れていない営業/マーケティング担当者には、動画の手本があることで躓きを最小限に抑えられる。カメラマンがAfter Effectsに初めてチャレンジするときも、同様に初動の不安を和らげてくれる。テンプレートに沿って作業を進めればすぐに納品できるので、動画制作パートを内製化したい組織にも向いている。

感想

「一気にビギナー卒業!」という副題の通り、本書を5章くらいまで進めるとタイムラインの間隔やエフェクトのプロパティ構成が自然と身につく。資料を見ながら動画を止めて、自分のプロジェクトに反映するという使い方が合っていて、動画のレスポンスが軽いため並行して操作するリズムが崩れない。After Effects特有の「キーフレームを打つ緊張感」を軽減しながら、実際のワークフローでよくある「マスクを動かしたら文字が消えた」ような躓きまでカバーしてくれる安心感がある。巻末にある「困ったときのチェックリスト」は、実際にプロジェクトがバグったときに開いてほしい内容で、今まで教材で見落としがちだった表示崩れの原因をすぐに整理できるのが心強い。

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    高橋 啓介

    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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