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レビュー

概要

『ゴルフ 寄せが安定する!サイコーアプローチ』は、グリーン周りの「寄せ」を、感覚や根性ではなく“失敗しにくい設計”として組み立て直す本です。キーワードは「もっとも失敗しないアプローチ」。狙うのはスーパープレーではなく、想定外のミスを減らしてスコアを守ることにあります。

本書の提案がユニークなのは、トップを恐れて手先で合わせるのではなく、あえてトップを狙う打ち方を採用している点です。クラブのリーディングエッジをボールの赤道の少し下に当て、低い球を打つ。そうすると、転がしの距離が読みやすくなり、結果として“想定内”に収まりやすい。寄せの失点パターンを知っている人ほど、納得しやすいロジックだと思います。

読みどころ

1) 「ピタッと寄せる」より「ムダ球を減らす」へ発想を切り替える

寄せの練習をしているのに、コースだとスコアが荒れる。そういうとき、原因は技術不足だけではなく、目標設定が現実離れしていることがあります。本書は「誰でもピンベタ」より「もっとも失敗しない」に寄せていくので、マインド面の負担が軽くなります。

たとえばトップして奥へオーバーするのが怖くて、インパクトで緩む。結果としてダフる、トップする、距離感も崩れる。この悪循環を、最初から避ける設計です。

2) 低い球で“転がし”を前提にすると、距離感が安定しやすい

本書の基本は、低い球で転がしを使うことです。高い球をふわっと上げて止める寄せは魅力的ですが、再現性が下がりやすい。特に緊張した場面だと、いつもの振り幅を出せずにミスが出ます。

低い球を基本にすると、打ち出しの高さのブレが減ります。着地点のイメージも作りやすい。結果として、寄せの距離感が“毎回違う”状態から抜けやすくなります。

本書の説明では、リーディングエッジをボールの赤道の少し下に当て、低い球を打つことを意識します。ここで大事なのは「当てにいく」ではなく、「想定した入射角で振り切る」こと。転がしが前提だと、落としどころを早めに設定できるので、ピンだけを見て手先で合わせるミスが減ります。

3) 上げたいときは「ダフらせる」で、ミスの種類を選ぶ

どうしても高く上げたい場面もあります。ピンが手前、転がすと止まらない、など状況はありますよね。そこで本書は、今度は逆に「ダフらせる」選択肢を提示します。クラブのソールを地面に当てる打ち方へ切り替え、トップを防ぐ方向で振り切る。

この考え方の良さは、ミスをゼロにするのではなく、「致命傷になりにくいミス」を先に選ぶところです。寄せで崩れる人ほど、ここに救われます。

トップで奥へ、という最悪のミスを避けるために、あえて“当たり方”を切り替える。ここに本書の現実主義があります。寄せの技術は、成功率だけでなく、外したときの被害まで含めて設計するものだと気づかされます。

4) 練習ドリルと動画導線で、フォームの確認がしやすい

上達のための練習ドリルが複数紹介され、さらにレッスン動画へつながるQRコードも用意されています。グリーン周りは言葉だけだと掴みにくいので、動きを確認しながら練習計画を組めるのは助かります。

寄せの練習でありがちな失敗は、球数を打つほど“その場しのぎ”が上手くなってしまうことです。ミスの原因が、入射角なのかフェースの向きなのか、体重移動なのかが曖昧なまま、何となく当たる打ち方が固定されてしまう。本書は「失敗しない」の定義を先に置くので、練習の目的が散らかりにくいのも良さだと感じました。

類書との比較

アプローチ本は「スピンで止める」「ロブで寄せる」など“見栄えのいい寄せ”に寄ることがあります。もちろん技術としては重要ですが、スコアを安定させたい段階だと、再現性の壁が先に来ます。

本書は逆に、トップを避けるためにトップを狙う、上げたいときはダフりを選ぶ、というように「ミスのコントロール」に重心があります。派手さは控えめでも、ラウンドで効くタイプの入門書です。

こんな人におすすめ

  • グリーン周りでトップやダフリが続き、スコアが一気に崩れる人
  • “ふわっと上げる寄せ”に憧れる一方で、再現性に悩んでいる人
  • 寄せの練習をしても、コースだと距離感がバラつく人

感想

アプローチは、成功すると気持ちいい反面、失敗するとその日のメンタルを持っていかれがちです。本書は、気持ちよさより先に「失点を減らす」設計を置いてくれるので、ラウンドの現実に合っています。

寄せで大事なのは、たまに神がかった1打より、ミスの上限を下げること。そのために、打ち方を“見た目”ではなく“失敗しにくさ”で選ぶ。そこに納得できるなら、この本はかなり頼れる味方になると思います。

YouTubeの人気レッスンが土台になっていることもあって、言い回しが具体的で、行動に移しやすいのもポイントです。「寄せが怖い」を「寄せの方針が決まっている」に変えるだけで、ショット全体の緊張感が変わる。そんな手応えを作ってくれる本でした。

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    佐々木 健太

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