レビュー

概要

『【学習まんが】少年少女日本の歴史 全24巻セット』は、古代から現代までの日本史を、物語として追いながら学べる学習まんがシリーズのセットです。教科書の年号暗記に寄りがちな日本史を、「その時代の空気」「人が何を怖がり、何を望んだか」に寄せて読める形にしてくれます。

セットでそろえる価値があるのは、歴史が“点”ではなく“流れ”で入ってくるからです。たとえば、武士の台頭だけを知っても、なぜそれが必要になったのかが分からない。戦国だけ読んでも、その後の江戸の統治の見え方が変わらない。24巻を通して読むと、出来事がつながり、選択の連鎖として理解できるようになります。

読みどころ

1) 歴史が「人の決断」の連続だと分かる

人物が動く理由を描いているので、事件は“突然起きた”感じになりにくいです。政治の都合、生活の苦しさ、権力争い、宗教や思想の衝突。どれも遠い話に見えるのに、読んでいると「こういう状況なら、こう動くよね」と納得してしまう。そこが学習まんがとしての強さだと思います。

2) 苦手な時代を飛ばしても、後で戻れる

日本史は人によって相性があるので、「ここは好き」「ここは眠くなる」がどうしても出ます。このセットは巻ごとに区切られているから、まずは興味のある時代から入ってもいい。戦国→江戸→明治と進めてから、古代へ戻る、みたいな読み方でも成立します。全巻があると、戻り先がいつでも用意されます。

3) 受験だけに閉じない“読み物”としての面白さ

学習まんがって、知識のまとめが主役になりがちです。でも本シリーズは、読み物としての引力が強いです。権力の移り変わりや戦の駆け引きだけでなく、民衆の暮らしが変わっていく手触りまで描かれるので、「歴史=偉い人の話」で終わりません。

本の具体的な内容

全24巻というボリュームは、古代〜中世〜近世〜近代〜現代までを一本の線でつなぐための厚みです。日本史って、同じテーマが時代ごとに形を変えて繰り返されます。土地と税、権力の正当性、外交と恐怖、情報の伝わり方。そういう“繰り返し”が見えると、暗記が一気に減ります。

たとえば、鎌倉〜室町の権力構造は、名前だけ覚えると混乱しやすいです。でも物語として追うと、「誰が何を守りたくて、何を失ったか」が分かる。戦国も、合戦の勝敗だけでなく、なぜ大名が力を持てたのかが見えてくる。江戸に入ると、武力より制度と経済の話になっていく。こういう変化が“連続ドラマ”として入ってくるので、読後に地図と年表が頭の中で勝手に整います。

また、現代に近い巻は、政治史だけではなく、社会の空気の変化がテーマになります。戦争や復興、高度成長、価値観の揺れ。歴史というより「今の日本がどう出来たか」をたどる感覚に近くて、ニュースの見え方まで少し変わりました。

セットを活かす読み方

このシリーズは、順番に読むだけでも十分ですが、セットで手元に置けば“行き来”できます。ここが強みです。 たとえば幕末を読んでいて「この不安定さ、どこかで見たことがある」と感じたら、応仁の乱や戦国の巻へ戻ってみる。明治の制度づくりを読んで「ここで決めたことが今も続いてるんだ」と気づいたら、現代史の巻で答え合わせをする。こういう往復ができると、歴史が一気に立体になります。

おすすめの使い方は、気になった人物や出来事を見つけたら、ノートに「原因→出来事→結果」を3行で書くことです。学習まんがは理解が速い分、読みっぱなしになりやすい。でも3行だけ残すと、後で別の巻を開いたときにつながります。暗記より、つなげる作業が向いているセットです。

類書との比較

日本史の入門書は、要点を短くまとめてくれる反面、出来事が“羅列”になりやすいです。一方で歴史小説は面白いけれど、時代全体は追いにくい。このセットは、その中間です。物語の面白さがありつつ、時代を横断して全体像までつかめる。まとまった分量があるからこそ、強みが出ます。

こんな人におすすめ

  • 日本史が苦手で、まず「流れ」をつかみたい人
  • 受験勉強の暗記に行き詰まって、別ルートで頭に入れたい人
  • 親子で一緒に歴史を楽しみたい人
  • 大人になってから学び直しをしたい人

感想

このセットは、「歴史って、結局は人の生活の積み重ねなんだ」と感じさせてくれるのが良かったです。年号や用語が先に来ると、どうしても眠くなる。でも、同じ出来事でも「その時、生活がどうだったか」が見えると、急に自分の話になる。

一気に全巻を読まなくても、棚にあるだけで強いです。分からない時代が出てきたら、その巻を開けばいい。気になった人物が出てきたら、前後の巻で背景を追えばいい。歴史を“調べ物”から“読み物”に変えてくれるセットでした。

あと、親子で読むなら「今日のニュースと似ている話を探す」遊びもできます。外交、税、感染症、景気、教育。テーマが重なる瞬間は必ずあります。だから歴史は、“過去の話”ではなく“今の話”として立ち上がります。学び直しにも、最初の入口にも向く、使い勝手のいいセットです。

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