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レビュー

概要

『こちら葛飾区・亀有公園前派出所 1』は、下町の派出所を舞台に、破天荒な警察官・両さんこと両津勘吉が騒動を巻き起こしていくギャグ漫画です。1巻では、両さんがコンバット・シューティング・クラブの顧問を引き受けるエピソードが紹介されています。暴走族が現れて頭にきた両さんは拳銃をぶっぱなすものの、最後は上からの命令で水鉄砲になる、という落ちです。

この作品の魅力は、両さんの「正しさ」より「勢い」が先に立つところです。ルールに従って淡々と仕事をするタイプではない。だからこそ、組織の常識や社会の綺麗事が、笑いの材料として露出します。1巻は、そのキャラクターと世界観の立ち上げが速いです。

読みどころ

1) 両さんの怒りが、事件のスケールを勝手に拡大する

暴走族が出てくると、普通なら「通報」「説得」「応援要請」の順番になります。しかし両さんは、理屈より先に感情で動く。拳銃をぶっぱなす、という描写は過激ですが、そこから「上からの命令で水鉄砲に」という落差で笑わせます。両さんの行動は危なっかしいのに、漫画としてはテンポが良いです。

2) コンバット・シューティング・クラブ顧問という設定の妙

派出所勤務の警察官を射撃クラブの顧問にする、という設定だけで、すでに面白いです。正義のための銃ではなく、クラブ活動としての銃。そこへ両さんの雑さが入り、事件が起きる。現場の泥臭さに、どこかズレた青春要素も混ざり、この作品らしさが出ます。

3) 初期作品「山止たつひこ笑劇場」収録の価値

1巻には初期作品として「山止たつひこ笑劇場」も掲載される、とされています。作品が長期連載になった後から読むと、初期のノリや作画の雰囲気、笑いの作り方の違いが見えてきます。シリーズの原型を確認できるのは、1巻ならではの楽しみです。

本の具体的な内容

紹介文から読み取れる1巻の中心は、両さんの「暴走」です。コンバット・シューティング・クラブの顧問になった両さんが、暴走族の出現で頭にきて拳銃をぶっぱなす。しかし、上からの命令で水鉄砲に変えられる。この流れは、両さんの過剰さと、組織の都合の良さの両方を笑いに変えています。

また、初期作品の収録があることで、いわゆる「キャラが固まる前」の空気も味わえます。長寿シリーズは途中から入ると敷居が高く感じますが、1巻は入口として分かりやすいです。まず両さんがどういう人物なのか、何が笑いの核なのかを、短いエピソードで理解できます。

さらに、1巻は短編の積み重ねなので、「交番の仕事」や「町のトラブル」が次々にやってきます。両さんは正義感で動くというより、感情と欲望で動くタイプなので、ちょっとした火種が大騒動に化ける。そこに、大原部長の雷が落ちる。基本形がとにかく分かりやすいです。

また、シリーズを読み進めると当たり前のように出てくる中川や麗子といった同僚たちも、派出所の“常識枠”として両さんと対比されていきます。両さんだけが異常なのではなく、異常を受け止める側の顔があるから笑いになる。1巻は、このチームの原型が見えるのも面白いポイントです。

類書との比較

職業コメディや日常ギャグは多いですが、本作の特徴は「公務員の制服を着たトラブルメーカー」を主役にしている点です。派出所という公共性の高い場で、両さんが私情と欲望で暴れる。だから、普通の会社コメディよりも、権限と責任のズレが大きく、笑いの振れ幅も広がります。

1巻の見方

1巻を読むときは、両さんの言動を「警察官として正しいか」で評価すると疲れます。むしろ、両さんが踏み越えた瞬間に、周囲がどう反応して物語がどう落ちるかを楽しむほうが合っています。拳銃をぶっぱなしたのに水鉄砲になる、という落ちは象徴的で、権限の暴走と組織の都合が同時に見えてきます。笑いながら「現実もこういう調整で回っているよな」と思えるのが、この作品の強さです。

こんな人におすすめ

  • 長寿シリーズを1巻から追い直したい人
  • 下町の空気感とドタバタが好きな人
  • きれいごとよりも、勢いのあるギャグが読みたい人
  • 両さんのキャラクターがどう立ち上がるかを見たい人

感想

1巻は、両さんが「何をやらかす人なのか」を最短距離で理解させてくれます。暴走族にキレて拳銃、からの水鉄砲という落差だけでも、作品の色がはっきり分かる。危ういのに笑える。そのバランスの作り方が、シリーズの強さだと思いました。

また、初期作品が入っていることで、長寿連載の始点を体感できます。途中巻からの印象とは違う部分も含めて、1巻はシリーズ全体の「基準点」になる1冊です。

後の巻を知っているほど、1巻の“下町感”が新鮮に感じます。交番という小さな舞台で、人の欲や見栄がそのまま事件になる。両さんはその欲を隠さずに突き進むから、笑いながらも「人間ってこうだよな」と思わされる。長寿シリーズの入口として、ここまで土台が太いのはさすがです。

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